2017.10.19

運慶展

奈良の興福寺の工事の関係で東博で開催されている「運慶」作品の展覧会。雑誌とかで見かけて気になっていたので、雨の中ではあるものの上野まで足を運びました。

運慶だけでなく、父の康慶から子の湛慶まで含め運慶の系譜を辿る展示。やはりその中でも運慶の作品は迫力があってひと味違います。

寺院の建物の中で観る仏像と違い、照明などをより印象的に工夫されて設置されているので、仏像の迫力が増します。運慶の作品は、立体感がより増幅された印象を持つよう作られているようで、展示会の照明で増幅されて、800年の気迫をまともに受けてしまいます。

ところで、今回の展示は四天王立像が多かったのですが、足下の餓鬼、そんなに虐げられるほどヒドいことしたんですかね。



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2017.10.17

『LIFE SHIFT - 100年時代の人生戦略』

高齢化社会の進展に伴って就労などを含む人生設計に不安感を持つことが多くなってますが、その中で一つのプランを示した著書です。

この本では、1945年生まれ(日本でいう団塊)のジャック、1971年生まれ(団塊ジュニア)のジミー、1998年生まれのジェーンの3人をモデルに、世代ごとのあるべき人生設計を描きます。

終身雇用と定年制の社会制度で何ら困ることはないジャックの世代に比べ、ジェーンは雇用を固定化せず、いろんなレールに乗り換えてスキルアップし、老いてなお活躍するプランで長い人生を送ります。

これだけ読むと、なるほど、自分の進む道を早い時期に固定せず、寄り道しながらスキルを身につけるべきだと思ってしまいそうですが、ジミーは能力が高く運もいい、極めて稀な成功例だと思います。そうでない多数が長い人生をどう送るかの回答にはなっていないんですよね。このことは終章になってから著者も認めていて、ジェーンのような人生を送ることができるのは高スキル人材だけであって、中低スキル労働者がどう生きるかは社会の課題であると、、、。

あと気になるのが、人が歳を取っても努力を継続すれば能力は衰えないという前提。現実を見ていたら、人によっては50代半ばから事務遂行能力に翳りが見え始め、60代半ばでは一部の人を除き厳しい状態になっているかと。70歳を過ぎてもなお能力が衰えず指導力を発揮することができるのはごく一部に思えるのです。

本書の言うキャリアを中断してスキルを付ける生き方は、現実世界ではなかなか難しい。企業は雇用にあたって「ハズレ」を引くわけにはいかないから雇用が固定化してるのが今の日本の現状。もっと画期的に雇用が流動化する政策を取らなければ本書が前提とするような雇用環境にはならないのですが、移行期に痛みを伴う人が相当多いと想定されるので、そういう政策はなかなか選択されないと思います。

そんな中で、自分はどうするか。まずは65歳まで勤務先に見捨てられないようしがみ付くとともに、せいぜい今の知能の衰えを遅らせるための努力をしないとなあ。

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2017.10.05

『人工知能と経済の未来』

一時期、AIに仕事が奪われるなんて煽り文句が流行りましたが、そういう世の中になった時の経済をマクロ経済学視点で予想・解説した本です。1年くらい前に発売された本ですが、まだいろんなところで紹介されたり引用されたりしていますね。

まずは、AIとは何か。AIの開発の歴史と手法が簡潔にまとめられています。その後、人間の労働をAIが取って代わることがさけられない展望を描き、そして人間が労働をAIに奪われた後の世界をどう設計すべきかについて、ベーシックインカムの提案を紙幅を割いて説明されています。

いくつか、気になる点が。

今後(この本では2030年頃と予想)やってくるAIが人間の労働を置き換える時代。しかし、このような変革を人間は何度か見てきているはずです。定住革命だったり、農業の機械化や効率化、工業化など。しかし、その変革では人間の労働機会はなくならず、むしろ労働機会が増す結果に終わっていると思います。AI革命でも「何か」労働機会の発生があるんじゃないのかなぁ。その何かが思いつかないけど。

あと、消費は飽和していないという筆者の主張です。このへん、経済学に疎いのでちゃんとした理論で僕の気持ちをここに書けないのが残念なのですが、あるていど消費は飽和していると思うんですよね、現代の日本経済。確かに、第3章の最終節「需要創造型のプロダクト・イノベーションは必要か?」の中で、追加で金銭を受け取ったら追加の消費をする行動について書かれていますが、だからと言って今の日本経済において追加の金銭を受け取るために追加の労働を行いたい人間がかなり減っているのでは?と思うのです。70年代頃は労働機会があればどんどん労働に励んでいたと思うのですが、2010年代の今では「ワークライフバランス」など追加の労働が好まれない傾向にあり、やはり消費を増加する思いが頭打ちに思います。

このへん、前提条件にいくつか疑問を持ってしまうところもあるのですが、でも最終的には一般労働者の労働機会は減ることを前提に、経済学者や経済官僚・政治家は次の日本経済を設計していかなければいけないと思います。

本書は、労働機会の減少により「職に就けるのは1割」という想定をしていますが、僕はみんなが週に10時間くらいずつ働く社会がいいなぁ。

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『ダンケルク』

クリストファー・ノーランによる戦争映画。第二次世界大戦のドイツによるフランス侵攻に伴うダンケルク大撤退をイギリス兵士視点で描いた映画です。

この「撤退」という作戦を描くというのが、映画作品として微妙な味を出しています。この作戦は撤退の成功として完了するのですが、撤退ってことは負け戦なんですよね。兵士も、他の兵士を犠牲にしてでも這々の体で逃げ帰ることが目的になっており、かなり意地汚い、醜いストーリーです。これをどう描くの?というところが気になるわけですが、期待通りの醜さで描いてくれました。なので戦争映画によくある正義が勝利して爽快!という感覚は一切ありません。

主ストーリーは海岸から避難する陸軍兵士ですが、このほかにドイツ軍爆撃機を追撃するイギリス空軍兵士、避難用に民間徴用された小型船の船長の息子の視点からも描く、3軸並行で映画の時間が流れます。こういう進行をすると時間軸が混乱してストーリーを追えなくなることがよくあるのですが、この映画では3軸の接点を明確に示していて、わかりやすく効果の高い表現方法かなと思います。

爆撃機追撃のシーンは、期待通り迫力。やはり映画館で観てよかった。撃って撃たれて空を巧妙に駆け巡ります。

ダンケルク海岸からの脱出が成功して、英国に逃げ帰る兵士。その複雑な心境で映画が終わります。撤収した兵士が、その後ナチスの降伏まで、どのような思いで時間を過ごしたのかが気になります。

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2017.09.26

黒川2号線高架下のガードレール

はるひ野1・2・5丁目にある黒川2号線の小田急多摩線ガード下で、ガードレール設置工事が進行中です。




ここは横断歩道がないものの、レクセルやはるひ野2丁目いろどり公園裏周辺からはるひ野駅北口への通路として多くの歩行者が横断する場所です。

横断歩道がないにも関わらず横断者が絶えない理由は、そもそもの街の設計がよくないように思います。いろどり公園脇の階段を降りてきても横断歩道がないし、極めつけはレクセルからの動線。



写真の赤印のところに横断歩道が設置されておらず、本来なら青線のように道路横断をしなければなりません。これが現実的でないので、ガード下の横断歩道がないところを横断してしまうんですよね。

たぶん、このガードレールに効果はなく、多くの歩行者が街路樹とガードレールの間の隙間から道路横断することになると思います。歩道への出入りに手間取る分だけ、より危険になるような気がしますけど。

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2017.09.25

『マクドナルド化する世界経済」

マクドナルドをはじめとする大企業が農作物、食品経済を占有していく状況を解説する本です。

この本の全体的に、陰謀論が下敷きになっているように感じます。マクドナルドやモンサントは世界を支配する目的ではなく、経済的合理性のための戦略の一つとしてシェア拡大、店舗運営の低コスト化、集中した仕入れと食材加工などを行なっているのですが、その状況を「支配」と言われると、ちょっとなあと感じます。

寡占の抑止、農薬や添加物の安全性確保、国家ごとの食料自給率の制御などは国家の仕事であり、国家の方針は選挙で決まるので、安いマクドナルドをどう考えるのかってのも投票行動に反映したいなとは思いますが。

しかし、安いファストフードを全否定するのではなく、ファストフードも手作りの家庭料理も、適度なバランスで食する現代日本がそこそこいいように、僕は思うのですけどね。

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2017.09.19

『5手詰将棋』

タイトルの通り、5手詰め限定の詰将棋問題集です。全202問。

短手数の詰将棋本と言えば浦野真彦八段の「ハンドブック」シリーズが有名ですが、残念なことにハンドブックにはKindle版がないため、高橋道雄九段の詰将棋本をダウンロード。ネットの評判だと、浦野本に比べやや易しく、実戦に近いとのこと。

会社の夕休(20分)に4問のペースで2ヶ月以上かかって解きました。でも正答率5〜6割くらいとひどい状態です。3手詰めに比べて難しいのが、途中の局面を覚えなきゃ解けないことです。解答を見てもわからないときは、iPhoneの柿木将棋アプリで並べて確認しなきゃいけないくらいです。もともと短期記憶に自信がなかったのですが、弱点がストレートに出てしまった感じで悔しいです。

将棋の対局では5手先くらいは当たり前に読めなければいけないので、5手詰くらいは途中の局面からの変化もきちんと追えるようにしたいんですけどね。

まだまだ5手詰はすんなりとはいかないので、詰将棋に関してはしばらく3手詰めと5手詰めを行ったり来たりしながらトレーニングしていこうかなという感じです。

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2017.09.18

『誰がアパレルを殺すのか』


百貨店やアパレル商社の低収益、アパレル販売員の低賃金など、アパレル業界が明るいとはとても見えないだろう。しかも、勝ち組だと一般に言われるファーストリテイリング(ユニクロ)でも現場はブラック職場だと報道されることが多い。そんなアパレル業界の構造を描いた本。

アパレル業の中流(卸)〜下流(小売)ってのは、そもそもがマッチングのために存在すると思う。洋服は多種多様な価値観で選択し着用するものだから、製品と消費者を結ぶチャネルは非常に複雑にならざるを得ない。百貨店展開ブランドという業態も、その複雑なチャネルを単純化する一つの方策。大規模商業集積(百貨店など)に商品と消費者を集めることで、マッチング機会を最大化するモデルかと。

しかし、商業集積を作るコストは大きく、商品はそのコストを負担しなければならない。そのため商業施設や卸によるブランディング、販売員によるセールスなどでマッチング機会をさらに増大させ商品価値を高めて販売している。また、マッチングが主目的である以上は売場で在庫切れは商売の構造上いちばんやってはいけないことになってしまう。この「マッチング」の視点は僕の独自理論なのでどうでもいいのですが、商業集積の役割について考慮されていないのが気になります。

商業集積に依存する商売だと、売れ残りは必然的に発生し、本書の言うアパレルを「殺す」状態になってしまいます。しかし、衣服は完全にネット化するアイテムでもないように思います。現場現物現認が買い物の基本でしょうし。なので、より効率的な買物機会、販売機会提供を模索しなければいけないのですが、本書後半に示した先端企業のビジネスモデルもニッチにはいいがマスとしては成り立ちにくいと感じます。

結局、既存業態が苦しみながら新興がいろんなアイデアを出してきて、何らかの妥協点を見出すようになるのでしょうが、それまで時間がかかりそうな気がします。

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2017.09.16

『生涯投資家』

あの「村上ファンド」の村上世彰氏が、自分の過去を振り返って反省の弁と自分の意見を述べた本。

本書にコーポレートガバナンスという言葉が繁く登場しますが、著者は会社は投資家のためにあるという視点がとても強いという事が再認識される本でした。

会社にはステークホルダーと言われる主体がいくつかあり、主なものは出資者(一般的に株主)、役員(取締役等)、従業員、顧客、仕入先、融資元(最後の2個は債権者になることが多い)などです。会社の大多数は株式会社で、株式会社は株主のものであり、株主総会が最高意思決定機関であることは事実です。しかし、だからと言って株主だけのものではない現実に目を背けてはならないはずなんですが、著者はその意識が希薄に感じます。特に現代日本の雇用慣行においては従業員の会社への帰属意識は強く、しかも就職の乗換コストが異常に高い、すなわち雇用主=会社にはロックオンされている状況を考えると、株主といえど徒らに従業員を不安にさせてはいけないと感じます。

あと、自分が正しいと思った意見を、腕力で押し通すやり方に反発を感じます。ニッポン放送インサイダー事件で(何で有罪になったのかは僕も釈然としないものは前からありますが)世論の反発を買ったのも、そういう面が強いと思います。しかし、そのことに本人は全く気付いてないんですね。

時代を賑わした著名人の感想戦として、いろいろ酔っ払いの絡みを入れながら楽しく読むことができました。

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2017.09.07

『MBAマーケティング』

グロービスの経営学教科書のシリーズから、マーケティングの本。

今までシステムや経理の仕事しかしていないのでマーケティングとは無縁の生活をしているのですが、営業企画の人たちがどういう価値観を持って仕事をしているのか知らないと、管理部門としても判断を誤ってしまうこともありそうなので、基礎知識は整理してインプットしておくべきですね、と。

まあ、普通に教科書です。フィリップ・コトラーやマイケル・ポーターのような理念を伴うマーケティング書と違い、直接的に業務に活用できるよう整理してあるので、「今日から使えるマーケティング」って感じですね。いわゆる良書とは違うのですが、仕事に必要不可欠な本だと思います。一読だけじゃなく、必要な時に引き出せるようにしておかないとですね。


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