2019.03.12

『短歌ください 君の抜け殻篇』

ダ・ヴィンチの投稿短歌欄「短歌ください」の単行本化。Kindle Unlimitedにあったので購読。

新聞歌壇に比べ投稿者層が圧倒的に若いのだろう。感性が異なり、瑞々しい。お堅い短歌総合誌の連歌や、年寄り臭さを前面に出した新聞歌壇より、短歌くださいの方が読みやすく、はっと思わせる完成に出会うことができる。ただ、あるあるネタに終始してしまう危険性があるかな。

最近の若い歌人の中には新聞歌壇でもなく結社でもなく、短歌くださいからデビューする人もいるようだし。ただ、そういうスーパー投稿者にこの短歌欄が飲み込まれてしまってないか心配だ。

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2019.03.07

『金子文子と朴烈』


関東大震災後の、朝鮮人が井戸に毒を入れたというデマに関わる虐殺事件に絡んで逮捕起訴された朴烈事件の映画。

朴烈事件はもともと逮捕容疑が曖昧で、被告によるプロパガンダ要素もあり、何が何だかわからない事件。このわけのわからなさに対し、映画作品では何か一本筋を通してストーリーを作ってほしかったが、曖昧な部分を曖昧なまま作品化してしまってないか。
・政策による便乗逮捕
・朴烈によるプロパガンダ
・金子文子の偏愛
に絞って組み立てるべきではなかったかと。けっして朴烈は犬ころで終わるつもりはなかったと。

出来事が起きているのが東京なのに、韓国スタジオで韓国キャストが撮影しているのも、非常に残念。チープな日本語のせいで、作品自体がチープに感じてしまう。言い出すと、チェ・ヒソ(金子文子役)のメイクが現代風なのも気にくわないし。



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2019.02.19

『ちいさな独裁者』



脱走した上等兵が偶然に士官の制服を得て大尉を名乗り生き延びてゆくストーリー。

この映画を観て、大きな二つの要素を感じた。

まず一つは、外見(この場合は制服)が権威付けに非常に重要であること。現代社会は随分とリベラルになったが、大戦時の軍隊においては階級が非常に大切であり、たかが制服(の徽章)でこれだけ大切な事柄を決めてしまう力を持ってしまうんだと。

二つめが、戦争の非常事態性。ヘロルトは逃げ延びる手段を得たいだけなのに、大尉になりすますことで大尉になりきるしか生き延びる方法がなくなってしまっている。そして自分が生き延びるために大量虐殺をせざるを得ない状況に追い込まれている。自分自身が脱走兵にもかかわらず、大量の脱走兵を即決裁判で処刑してしまうなど、観ていて気持ち悪くなる。平時での仮定の役割が暴力に発展してしまう『[エス]』(スタンフォード監獄実験)などの事例すらあるので、戦時ならあり得るのかと思ってしまうことこそ異常なのかもしれない。

後半で踊り子が歌う「春に5月は一度しか来ない」をヘラルドがどう聴いていたか。いつかは破滅がくる大尉生活をビクビクしながら聴いていたことだろう。

ロケ隊が現代の街頭で憲兵による略奪を演じるエンディングが、この映画の気持ち悪さを増幅させて終わる。

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2019.02.12

『Who Was Steve Jobs?』



英語のリーディングに慣れる目的でWalter Isacsonの『Steve Jobs』を読み始めたけど、意外と英語が難しく読み進まない。Lexile1080なんだけど、もっと高いのではと感じるくらい。3分の1くらいでいったん中断し、もっと簡単な本を読むことに。たぶん一度読んだことのあるだが、いわゆる「多読」にはちょうどいいだろうとPenguin Booksの『Who Was Steve Jobs?』をダウンロード。

こちらはかなりすんなり読めた。ただ内容はIsacsonのものより当然かなり薄く、端折りまくり。小学生向きの伝記ものなのだろうから、まあそんなもんか。スティーブ・ジョブズの功績を(というか個人向けパソコンの歴史を)ざっと復習するのにちょうどいいという感じ。

このシリーズくらいの難易度が、TOEIC600点代後半の僕が多読するにはちょうどいいのだろうか。あと何冊かこのシリーズを読んで足慣らししてからIsacsonに戻るかな。

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2019.02.04

『将棋「初段になれるかな」会議』


将棋ウォーズ初段と3級の著者たちがプロに教えを乞うという企画。対談集のような形式。

ウォーズ1級前後って、将棋もだいぶ覚えそこそこ強くなったけど、なんとなく壁に突き当たってるなあというくらいでしょうか。そんな中途半端に強いな棋力からどういう方向性で考えていけばいいかの指南書です。

棋書を読んだらあれもこれも覚えろって感じになりますが、高野六段はプロにしかできないことをバッサリ捨てこの棋力の人が覚えるべき技術に絞って解説。そうそう、こういうピンポイント指導がほしかったんだ。

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横浜地裁に行ってみた



何度か東京地裁に傍聴に行ってますが、自分ちの管轄である横浜地裁って行ったことないなと、ふと。

電車を乗り継ぎ横浜地裁に行ってきました。朝8時半に家を出れば10時開廷の期日に余裕だろと思ってたら、日本大通り駅に着いたのが9時50分。10時開廷に間に合わないと面倒なんだよなと早歩きで地裁に。

開廷情報は1階ロビーに紙が掲示してあるだけ。検索機で検索する東京地裁とは随分と違います。東京は企業関係の訴訟も多く、高裁も兼ねているから設備も違うんでしょうかね。(もっと地方に行ったら、どうなんだろう?)

細々とした訴訟が連続で行われる法廷に。今回は建物明渡訴訟が多いイメージ。一つは原告がURで被告が一般男性の訴訟。こちらは裁判官が和解を持ち掛け、原告被告とも応じる意向。男性が継続して居住したい意思を持っているようで、未納賃料の弁済方法を詰めて和解することになりそう。

別の建物明渡請求訴訟(被告は出頭せず)では、被告からの連絡を裁判所も原告も受けていないものの9月〜1月までの賃料の入金があったため訴状の一部を減縮するというのがありました。これで賃料が全部支払われてるんだから、訴訟となる原因がなくなったんでは?と思うのですが…これは訴状を見てみたい一件。

原告が日本学生支援機構、被告が一般女性という訴訟がありました。こちらは既に和解案が出ていての期日で、209万円(元金169万円+遅延損害金38万円+α)を平成50年までの9,000円231回払いという和解が成立しました。あと20年もの超長期の分割払いに驚きましたが、奨学金の返済なので元々が長い弁済計画だったのを延滞したので遅延損害金込みで仕切り直したと考えるのが妥当なんでしょうね。

原告が個人で被告が国の、損害賠償請求訴訟がありました。原告席は1人、被告席は13人というパイプ椅子裁判。前に座った3人が代理人弁護士で後ろの10人が役人かなあ。そもそも国って代理人を立てるんだろうか?傍聴では何を争ってるのかわかりませんでした。騒音に関する技術資料の理解に時間がかかる旨を裁判官が話していたので、たぶん騒音被害絡みなんでしょう。

原告が個人事業主の個人、被告が横浜市という訴訟がありました。事件名は失念。カイロプラクティックが地方税法でいう請負契約に当たるかが争点らしく、裁判所が被告の市に対し法律構成を解釈を求めていました。

11時に殺人事件(裁判員裁判)の初公判があったのですが、こちらは満席で傍聴できず。横浜地裁も人気の事件には人が集まるんですね。

最後に傍聴したのが、銅線返還等請求事件。なんだかわからない事件名。どうやらキュービクルの撤去工事に伴い持ち去ったはずの銅線を返してくれっていう訴訟らしい。原告が本人訴訟っぽく、法律構成が明確でないとの裁判官のお小言。他人物売買の解除か、寄託物返還請求かとのことで原告は寄託物返還請求であると回答。しかし持ち去った銅線は現存しないとの被告の話から、仮に原告勝訴しても強制執行が不可との裁判官の話があり、予備的請求の損害賠償請求にならないか?との裁判官の質問にウヤムヤで終わっちゃいました。被告代理人が「現場でシミズさんの言ったことの信憑性がそもそも怪しいので、キュービクルの仕様書を調べてほしい。」と原告に要求。これらのことから推測するに、撤去工事の際にシミズさんが「このキュービクルなら銅線が300キロあるで」と言ったので、じゃあ300キロの銅線を返せよ!と言っている、というところでしょうか。みなさん、現場で出まかせにヘタなこと言うもんじゃありませんね。

帰りに通った赤レンガは、随分と賑わっていました。


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2019.01.29

『ボヘミアン・ラプソディー』


クイーンのフレディー・マーキュリーの物語。実在のバンドだし(フレディー以外は存命だし)熱烈なファンだった人も多いので、作品化はかなり難しかったと推測する。なにせ現実のクイーンという制約のもとで映画作品を作らなきゃいけない。

この中でフレディーの社会からのはみ出し具合を描いてストーリーを紡いでいくのだが、主題であった同性愛だって描き方が中途半端に終わっている印象。

音楽映画としての完成度は高い。もう、ストーリーなんか追っかけずに音楽を楽しみたい。そして、単にライブエイドで涙したい。



ミュンヘンのスタジオ兼自宅で金閣寺の入場券が壁に貼ってあったのが気になって。あれ、わざわざ演出なの?金閣寺がクイーン(またはフレディー)にとって重要な場所なの?

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2019.01.28

『経営戦略原論』


なんだかカッコいいタイトルの本。Kindleに入っているだけでインテリ感が高まりますね。でジャケ買いした経済書ですが、内容は
・経営戦略って何?
・経営戦略の歴史
・ビジネススクールの教科書の比較
・管理会計から経営戦略への紐付け
・管理的経営からヒューリスティックな経営への移行
・新興企業のための経営戦略
・国際展開における経営戦略
・技術進化による将来の経営戦略の行方
といった感じで進んでいきます。なお上記は僕が感じた本書の流れで、目次は著作紹介のサイトでご確認ください。

今までたまに思いついてかじってきた経営戦略本だったりしますが、これが経営学のどういう位置付けで、どう実務に活かすのかを全くわからないまま放置してしまっている自分がいます。多くのサラリーマンがそうかもしれません。そんな漠然とバラバラになっている経営戦略を整理してくれる本でした。なかなかよかった。この本の整理から、ときどき雑誌などに登場する経営学名著や学者名の位置付けを理解できるかな。

以下、僕の整理

経営戦略の定義はまちまち。組織、目標、道筋が大事。ミンツバーグの5P(Plan Pattern Position Perspective Play)。
実行される前に計画立案されるものから実行の中から次第に形作られるものに移行。(これはシステム開発でいうウォーターフォールからアジャイルへの移行によく似たもの?)

古代:ストラテーゲートマトン、孫子→クラウゼウィッツ『戦争論』(1832)、ジョミニ『戦争概論』(1838)
↓20世紀に経営に展開
テイラー『科学的管理法』(1911)、バーナード『経営者の役割』(1938)→ドラッカー『企業とは何か』(1946)などへ展開

チャンドラー『組織は戦略に従う』(1962)、アンゾフ『企業戦略論』(1965)で組織の意思決定について言及{戦略的意思決定(→経営戦略史の始まり),管理的意思決定,業務的意思決定}
↓マッキンゼー、BCG、ビジネススクールの台頭
“BCGマトリックス”
↓産業組織論SCPモデルも加味
ポーター“ファイブフォース”(1979)→外部市場の構造分析
↓内部は?→資源ベース理論
バーニー“企業の資源と持続的な競争優位”(1991)

このあたりまで経営戦略の歴史の概略。

ビジネススクールの教科書6選
・マイケル・ヒッツ『戦略経営論』
・ロバート・グラント『グラント現代戦略分析』
 この2冊は外部分析と内部分析→競争優位
・ジェイ・バーニー『企業戦略論』
 SWAT→VRIO
・相葉宏二『MBA経営戦略』
 フレームワークの紹介
・網倉久永『経営戦略入門』
 ポーターと事例解説
・浅羽茂『経営戦略をつかむ』
 内部分析と外部分析、ポーター、イノベーション
これら、意外と高価だったり手に入りにくかったりの本ですが、ビジネススクールでは必読書なんでしょうか。

管理会計(アンソニー1965)→ABC・BSCをへて経営戦略へ。新興企業の実務的にはKPI。

人間は限定合理的:モニタリング、インセンティブを用いたマネジメント

人間は非合理性、組織はヒューリスティック:認知、誘導、センスメイキングによるリーダーシップ発揮

新興企業は予測困難性、可鍛性、生存困難性(ミンツバーグ)のシュンペーター型競争があるとことに発生
現在は第二次グローバルの最中にあるが国境はまだ高い
現在発展中の技術(特に情報技術)が経営戦略に影響を与える


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2019.01.27

『短歌タイムカプセル』


短歌のアンソロジー。いろんな歌人の短歌を一冊にまとめた本です。

編者の主観を排し、並びは五十音順、歌人ごとの歌数も統一、採用歌の選定も編者ではなく歌人による選定。徹底して機械的に徹しているアンソロジー。

115人の歌人を20首ずつ。2300首の短歌が小さな本に収められているので、かなり密度が高い。一首一首を味わうには情報過多だ。ページごと、すなわち歌人ごとの雰囲気を感じ取り、この名の歌人はこういう作風なんだなと感じる読み方がちょうどよいかな。

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2019.01.22

『マスカレード・ホテル』


木村拓哉、長澤まさみの主演という、いわゆる豪華俳優陣によるミステリーエンタテインメント映画である。ホテルという豪華セットもあり、ああ贅沢な映画を観たなという感想になる。

ストーリーに、ホテルマンの信念をこれでもかと練り込んでくるところがポイント。荒くれ刑事の新田(木村拓哉)がホテルマンという堅苦しい役に押し込められる面白みを際立たせる演出である。これがただ単に木村拓哉のキャラ立ちを狙っただけの演出かと思っていたら、結末の伏線だったとは…

ホテル映画といえばグランドホテル形式かと思いきや、本作はそういう進行ではない。その代わり犯罪トリックが込み入って「何だよ、まだ解決しないのかよ!」というハラハラ感を持ち続けて観ることになる。単品映画にしては凝りすぎで付いていけないままストーリー展開しちゃうかもしてないので要注意である。長澤まさみ好き(あるいは木村拓哉好き)なら、1度目は流して観て、複数回観てもよいのではないか。

単なるエンタメ映画をわざわざスクリーンで観るほどでもないけどなと思いつつ映画館に行ったが、結果としてはスクリーンでの視聴に満足。大掛かりなセットでのホテルのロビーの喧騒感を全身に感じることができた。

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