2020.03.16

『みずほ銀行システム統合 苦闘の19年史』


永遠に終わらないかと思っていたみずほ銀行のシステム統合とシステム更新。もう名物案件化してましたね。SEが「青いところに足を踏み入れちゃった」と自嘲気味に話してたり。

昨年、ようやく長いプロジェクトが完了した。日経コンピュータでも大々的に取り上げられ、日本のIT業界の一区切りが付いたなと感慨深いものです。もはや「第一勧業銀行」「富士銀行」「日本興業銀行」なんてみんな忘れ去ってしまっただろうし。

本書は、こんな長いプロジェクトの中で発生した2度の大規模システム障害から銀行の体制を遡り、経営におけるシステム軽視の危険性を説くものです。

日経コンピュータはみずほを敵視するような書きっぷりをすることがあり、本書も相当激しく糾弾するかなと思ってたら、意外にも穏やかな表現です。現場の技術者たちへの遠慮が感じられる。経営体制の批判はしますが、批判対象の経営陣はすでに一線を退いてますし。


そんなわけで、比較的淡々とかかれています。技術的にも19年間の今となっては過去の技術な訳だし。でも、基幹系と言われるようなシステム更新を企むことがあれば、きちんと本書を読み直して轍としたいですね。

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2020.02.28

『ハッピー★アイスクリーム』


雑誌『ねむらない樹』で短歌が掲載されていて気になった歌人、加藤千恵。さっそく調べて、歌集をKindleで購入しました。

歌集だと思って開くと、短編小説集だった。ローティーン向けの軽い恋愛小説に、鋭いアクセントとして短歌が差し込まれている。青春臭い加藤千恵の短歌が、よりピンクの青春の小説に斬り込んでいくようだ。

全体として、小説は淡く幼い。短歌は青春の奥にある不安を鋭く表現している、大人が描いた子供心のよう。

後半が歌集。あとがきによると、歌集として出版したものに、あとから短編小説を加筆したらしい。幼く感じる小説部分が大人になってからの作品で、鋭く書かれた短歌が高校生の頃に詠まれたもの。この関係が意外。加藤千恵の他の作品を知らないが、短歌を詠んだ高校生時代の気持ちを下敷きに短歌を浮かび上がらせようと、高校生っぽい小説を仕立てたのだろうか。


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2020.02.25

『AWSクラウドの基本と仕組み』


漠然とした認識しか持っていないクラウドサービスについて、具体的なイメージを持つために読みました。大手クラウドサービス事業者の一つ、AWS(Amazon Web Services)の入門書的な本です。

通読して、この本では技術的なことはほとんど書かれていませんでした。サービスの種類と、その特徴(というかオンプレミスと比較しての利点)をメインに書かれています。実際に業務システムでクラウドサービスを使おう!ってなった時にこの本を読んでサービス選択に当たりをつけるための参考本といったところでしょうか。でも、ざっくりとクラウドサービスの全容が掴めるので、取っ掛かりとして重宝しそうな本です。

紙の本が1,980円、Kindle版が990円だったのですが、ほとんどAWSの広告なんだからせめてKindle版くらい無料でばら撒けばいいのに。


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2020.02.19

『50歳からの逆転キャリア戦略』

40歳代も後半になり、55歳の役職定年が向こうのほうにぼやっと見えてきています。新入社員の頃の役職定年のイメージは、定年までの数年間を新聞を読みながら過ごす、いわゆる「窓際族」だったのですが、今は役職定年後はプレーヤーとしての働きを求められる時代になりました。すっかり管理職として過ごすことに慣れてしまったのちにプレーヤーが務まるのか?という不安でいっぱいなわけです。世の中にはそういう不安が多いのでしょう。しかも僕より少し年上のバブル入社世代は実際に役職定年を迎えつつあります。たぶんそんな事情でこのような本が流行しているのでしょう。

本書は、転職や企業を推奨する本ですが、在職のまましっかり準備してから転身せよと説きます。そして、肩書きや年収の呪縛から解き放たれるべきだとも説きます。年収の話で言うと、妻の収入が親の資産があることが前提になり、そんなのごく一部の恵まれた環境の人だけやん!とツッコミたくなりますが。

在職のまま、将来のビジョンをしっかり持ち、いかにそのビジョンに向かって前進するか、それこそが生き生きとした長い老後を過ごすために大切なことですね。


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2020.02.18

『ジョゼと虎と魚たち』

田辺聖子の短編集。地味な女性の、やや不幸好き傾向の物語が集められている。一般的なステレオタイプな幸福ではなく、普通だったら「大変やろ」と思う生活にずぶずぶとはまり、その視点からの小さな幸せを描く。人それぞれの幸福があり、それぞれの幸福の価値がある。小さな幸福を大切にして生きていきたい。


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2020.02.17

『統計検定3級対応 データの分析』

にわかにデータサイエンティストに憧れて、第一歩として統計検定3級のテキストを読んでみました。

内容は高校3年生の頃に習った「確率統計」とほぼ同内容、同レベルです。理系大学の出身者にとっては懐かしく感じるのではないでしょうか。と言っても習ってから30年くらいたっているわけで、思い出すきっかけがないとどんどん忘れていってしまっていた分野です。

内容は簡単で、1章あたり章末問題も含めて15分~30分くらいで読めてしまいます。箱ひげ図(4分位を表現するグラフ)など知らなかった統計手法なんかもあり驚きましたど。(実務でも新聞雑誌でも目にしたことがない…)

巻末問題は25/27点と、なかなかの好成績でした!(^^)!


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2020.02.16

『理論から学ぶデータベース実践入門』

データベースについて「リレーショナルモデル」という数学の理論面から解説している本です。

前半は、かなり数学に厳密な思想で書かれています。NULLはダメとか、第6正規形まで分割せよとか。原理主義的だなと思いながら読み進めます。DBを使った業務システムでは一般に第3正規形までしか正規化しないし、NULLなんて実務で当然出てくるし…これはあくまで「理論」部分で、後半のWebアプリケーションの実装の考え方、リファクタリングの考え方あたりでいきなり実務的になってきます。

データベースの入門書は集合論や論理演算についてさらっと書いてあることが多いのですが、リレーショナルモデルに行きつくまでの理論はたいてい書かれていないので、この本を読んでようやく腑に落ちるのではないでしょうか。実務と数学の間にこんな理論があるのだと思うと、実務のデータベースが違って見えますね。混沌としている様が見えてしまってうんざりするかもしれませんが。

実務でデータベース設計をする方法を求めている、データベーススペシャリストを受験するなどの現実的な課題に対してはそれほど有用な本ではありません。役には立ちますが、この本は遠回りです。現実世界と数学理論のつながりが面白い!なんて思える人に読み込んでもらいたいシステム技術本でした。


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2020.02.02

『ラストレター』

岩井俊二の映画。ファンタジーとノスタルジーが入り混じるテイストは今回もじっくり味わえる。ドローン撮影の導入で映像に美しさが加わったが、手持ちカメラの人間ドラマとドローン撮影の風景の美しさのギャップを埋めることができなかったのではないか。

葬式のシーンから始まり、手紙のやり取りで物語が進展していく。大人(福山雅治と松たか子)のやり取りだが、青春を思い出しながらのやり取り。手紙というアナログのやり取りの重みや味わいをじっくり見せつける映像である。そして、文章を書くことの大切さを語りかけるストーリー。福山雅治(S44生)、松たか子(S52生)という団塊ジュニア前後のキャストにこういう物語をぶつけてきて、僕たちの青春は紙に文字だったなと思い起こさせる。もはや、手書き文字こそ青春。

青春を振り返って、結局は自分って小さいと感じる。それを認めたくない不健全な大人になるか、小さくまとまって社会適合するのか。阿藤(豊川悦司)の不健全な生き方に憧れる中年もいるのではないか。

『美咲』が読みたい。


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2020.01.26

『イミテーション・ゲーム』


アマゾンプライムビデオにあった2015年の映画。先月読んだ『イノベーターズ』もあり、気になっていた作品でした。

チューリングの奇異性と戦争の危機感を不気味に重ね合わせた作品です。政治的な駆け引き、トロッコ問題のような倫理問題など複雑な状況に追い込まれ、エニグマ解読機の完成以外は孤独から来て孤独に帰っていくような人生ドラマ。自由はファシストへの戦争には勝っても、LGBT差別へは勝てませんでした。

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『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』

1年くらい前に『経済学の名著50冊が1冊でざっと学べる』なんてのを読みましたが、よく似たタイトルのものがKindle Unlimitedにあったのでダウンロードしました。昨年のが経済学で今回が経営学。ちょっとだけ分野が違います。ちなみに大学の経営学部と商学部の何が違うのかよくわからないまま4年間を過ごしていた理学部生でした。

50冊を「戦略」「顧客とイノベーション」「起業と新規事業」「マーケティング」「リーダーシップと組織」「人」の6章に分類し、系統立てて紹介しています。それぞれの本の考え方のエッセンスを分かりやすく抜き出し、本と本の関連も示しながらうまく紹介されているという印象です。この本そのものを教科書として持ち、必要に応じ元ネタにあたるという勉強方法でもよいのでは?自分の専門分野でなきゃこの本だけで勉強を済ませてしまえばいいのでは?とか思ってしまいますが、本書は考え方を示すに留まり、実務で使うためのフレームワークを示していないという点で、やはり「読み物」という作りですね。勉強はちゃんと教科書を使いましょう。

本の紹介カタログとして読み進めると、経営学の教科書に載っているこんな事項はこういう本で紹介されていたのかという発見もあります。その理論紹介に行き着くまでの経営学の流れなんかも紹介されているので、教科書の解釈に納得感を持つための副教材としていいかもしれません。

本書では組織論と人材論が厚めに紹介されているという印象がありました。あまりテクニカルな分野でないという印象を私自身が持っていて、避けがちだった分野です。この本でこれだけ厚く紹介されているってことは、はやり取り組まなければいけない分野なんですね。

この本を読み終えて、クリステンセン教授が亡くなったというニュースが入ってきました。言わずと知れたイノベーション論の大家であり、この本でも3冊が紹介されています。


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