『アマゾン・ドット・コムの光と影』
アマゾンジャパンの物流センターにアルバイトとして潜入した著者によるルポタージュ。常々言われている「格差社会」が凝縮されている現場の実体が描かれているのだろうと、読んでみました。
気付くのが、アマゾンが徹底的なIT化により、労働集約産業である物流を徹底的に低コスト化していること。ここで重要な視点が、投入労働量を低減するのではなく、労働量×労働単価のミニマムを目指すということ。日通の地域子会社、日通東京配送(日東配)の臨時雇用者を巧みに使う手法、さすがです。
安価な労働力が、求人広告によるアルバイト募集という、随分とオープンで明るい方法で手に入るようになったものだと思いました。荷主(アマゾン)-元請(日通)-下請(日東配)-臨時雇用(アルバイト)という階層が一般的なものとして社会に認知・浸透しているのでしょう。
比較的社会的強者の立場にある記者が、アルバイトの立場に見せかけて現場の観察をしているこの著書、痛烈な意見がさりげなく出てきて、労働集約型産業のマネジメントをしている人にとってはかなり耳が痛いのではないでしょうか。
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