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2012.11.23

ノードストローム・ウェイ

ノードストローム・ウェイ
アメリカ西海岸を中心に全米展開する高級百貨店ノードストロームの従業員意識向上について書かれている本です。初版が1991年、改版が2001年とやや古いですが、ビジネスの本質は変わっていないでしょう。

ノードストロームの販売員はコミッション制というインセンティブによっていかに顧客満足を向上させてきたかということが書かれています。出来高払に近い給与体系ですが、この給与制度のおかげで店全体の顧客満足が高まり、結果として平均給与も向上して従業員満足も向上していると説いています。

本を読み進めていくと、店が販売員にかなりの高レベルの接客を求めていることがわかります。これが維持できているのは、そもそもノードストロームに入社するのが志し高い人間であり、さらにそこから篩にかけられて残った人間だけで成り立っているからなんだと感じます。このへんは、カタカナ生保や外資系金融機関などの労働生産性が一般に比べて飛び抜けて高いのと同じ構造でしょう。

アメリカの百貨店の営業活動がどのように行われているのかは不勉強で知らないのですが、この本から読み解くと、売り場の販売員が顧客を抱えていて、その顧客に対してはどんな商品でも売っているようです。日本では、販売員は原則として自分の持ち場の商品のみを販売し、担当顧客に対して何でも販売するのは外商の役割のところが多いと思います。とすると、この本で書かれている販売員は日本の百貨店の外商員に該当します。外商員のインセンティブ制度と生産性に対して示唆をしている書物と捉えることができるのでしょうか。

この本に書かれているコミッション制は、なかなか日本の雇用慣行の中では難しいのかなと感じる部分がたくさんあります。帰宅してからや早朝出勤での残務処理なども労働法上問題ですし、最近はワークライフバランスの面でも敬遠されます。

過度な成果主義は能力が劣る社員に背伸びを強いて、結果として不正が蔓延ってしまうことがよくあります。アメリカのように雇用流動性が高い社会では成績が出せない人は別の分野に移るだけですが、日本では無理にそこにとどまるため、成績水増しに手を染めてしまう恐れがあるのです。

そうは言っても、カタカナ生保などではノードストローム並みのコミッション制が取られているので、そういう分野も参考になるのでしょうね。

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