『鉄道車両のデザイン』
鉄分高めの書籍ですが、プロジェクトマネジメントの要素も多分に含まれていると期待して読みました。
鉄道車両のデザインは紛れもなく工業デザインなのですが、
・デザインの良し悪しが売れ行きにさほど影響しない
・デザインの制約事項がやたら多い
という特徴があります。
特に、制約事項から来る処理をどのように行い、実際の運用まで結びつけるか。このあたりは「単なるデザイン=スタイリング」とはかけ離れた仕事となります。実際の鉄道車両デザイナーは、そんな仕事のようですね。
断面形状の話や塗装のイメージ、内装のユニバーサルデザインの話など鉄道デザインで考慮しなければいけない項目は多岐にわたります。蛍光灯カバーのプラスチックが溶融滴下の問題で使用できなくなっているなどは意外でした。時代とともにそんなところまで制約ができているんですね。
日本で求められている鉄道デザインと、海外で求められている鉄道デザインが違うというもの新鮮でした。最近は鉄道システムの輸出なんていうニュースも耳にしますが、現地化にかなり労力を要するということでしょうか。
さまざまな制約事項を見事に乗り越え、一つのシステムとして鉄道が運行される。だからこそ、鉄道というシステムは興味の対象ともなり続けるのだと感じました。
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