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2017.04.04

『騎士団長殺し』


村上春樹の新作。永年のハルキストの期待に沿った物語、文体の構成となっている。ファンタジーを取り混ぜた進行、冷静で時に皮肉を含んだ比喩、お洒落な舞台背景、孤独で孤高で完璧な登場人物。

60代後半の年齢になってしまった著者。おそらく永年の熱狂的なファンも同年代なんだろう。いわゆる団塊の世代。この小説の主人公のように世を捨て気ままに生きていく時間が、会社人生の中で設けられなかっただろう人々がファンの中心層だと思われる。村上春樹の小説の登場人物の生きかたには憧れがあるんだろうか、本の中(という安全な場所で)一時的に味わうことにこそ楽しもがあるんだろうかなんて想像しながら、ページを繰る。

2冊に分かれている長編小説。読むのにもかなり時間を費やしました。しかし冗長ではなく、メリハリの効いた構成になっていて、飽きさせない。最初は現実世界の描写から始まり、徐々いファンタジー要素を含ませ、後半はどっぷりファンタジーの世界に浸る。そして大冒険でハラハラさせて終結を迎える。しかし、その終結がどうなるかは冒頭で言ってるんですね。それをわかっていながらハラハラさせる技術も素晴らしい。

この物語には、車の車種を効果的に使っている。旅に出たプジョー、山の中の生活に使うカローラワゴン、完璧な隣人が乗るジャガー、少女の叔母のプリウス、港町の駐車場に止まっていたフォレスター。この本を読む直前に観た映画「ラ・ラ・ランド」でプリウスとリビエラ(古いアメ車)の対比が気になっていたことから、余計に車種に焦点を当てて読んでしまったのかもしれません。車離れの現代だからこそ、ちょっと古めの憧れの先にある車を焦点に当てたのかなと考えたり。

ところで、この小説の舞台は根府川あたりなんでしょうか?

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