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2017.09.18

『誰がアパレルを殺すのか』


百貨店やアパレル商社の低収益、アパレル販売員の低賃金など、アパレル業界が明るいとはとても見えないだろう。しかも、勝ち組だと一般に言われるファーストリテイリング(ユニクロ)でも現場はブラック職場だと報道されることが多い。そんなアパレル業界の構造を描いた本。

アパレル業の中流(卸)〜下流(小売)ってのは、そもそもがマッチングのために存在すると思う。洋服は多種多様な価値観で選択し着用するものだから、製品と消費者を結ぶチャネルは非常に複雑にならざるを得ない。百貨店展開ブランドという業態も、その複雑なチャネルを単純化する一つの方策。大規模商業集積(百貨店など)に商品と消費者を集めることで、マッチング機会を最大化するモデルかと。

しかし、商業集積を作るコストは大きく、商品はそのコストを負担しなければならない。そのため商業施設や卸によるブランディング、販売員によるセールスなどでマッチング機会をさらに増大させ商品価値を高めて販売している。また、マッチングが主目的である以上は売場で在庫切れは商売の構造上いちばんやってはいけないことになってしまう。この「マッチング」の視点は僕の独自理論なのでどうでもいいのですが、商業集積の役割について考慮されていないのが気になります。

商業集積に依存する商売だと、売れ残りは必然的に発生し、本書の言うアパレルを「殺す」状態になってしまいます。しかし、衣服は完全にネット化するアイテムでもないように思います。現場現物現認が買い物の基本でしょうし。なので、より効率的な買物機会、販売機会提供を模索しなければいけないのですが、本書後半に示した先端企業のビジネスモデルもニッチにはいいがマスとしては成り立ちにくいと感じます。

結局、既存業態が苦しみながら新興がいろんなアイデアを出してきて、何らかの妥協点を見出すようになるのでしょうが、それまで時間がかかりそうな気がします。

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