カテゴリー「書評」の548件の記事

2020.01.19

『達人に学ぶDB設計徹底指南書』


データベーススペシャリスト試験を受験するにあたり、試験対策書だけでなく関係方データベースの理論と実務も学びたいと読んだ本です。

概念スキーマ、内部スキーマ、正規化、ER図と、データベーススペシャリストの午後試験対策で学んでおかなければいけないことを、システム構築実務に近い視点で学ぶことができました。試験対策のベースにもなってくれていればと思います。

後半は、パフォーマンス関係と、バッドノウハウ。バッドノウハウのほとんどは、正規化の段階で関係演算の理論をきちんと捉えず横着して設計したことによるものなんだろうと感じます。実務でありがちなルール違反を明確に示しているので、データベース設計の際に心しておかないと。この分野は、きちんと設計された状態で出題されるデータベーススペシャリストの午後試験には関係なさそうです。

データベース設計を仕事にしている人は、必ず読んでおいた方がよさそうな本ではないでしょうか。

| | コメント (0)

2020.01.16

『テロリストのパラソル』

新宿中央公園での爆弾テロ。やたら頭が切れるアル中の男。ヤクザ、浮浪者。いろんな人物を巻き込んでのハードボイルド小説。次々と関連してくる人物が、たまたま過去に繋がりのあった人物が連続し、そんなご都合がよいことが!と突っ込みたくなるストーリーですが、最終的には「そことそこが繋がっていたのか!」と膝を叩くようなストーリーで終わっています。

いちいち話のスケールが大きく、娯楽小説として楽しめるのではないでしょうか。しかし、全共闘やらヤクザやら、やや重いのも事実。特に小説の根底には全共闘が社会を斜に構えて見ている視点と青春が混じり合った生臭さがあるので、特にセクトと接点を持ったことがある人にはズシリと来ると思います。

1995年出版の本ということで、当時の新宿西口は今よりも混迷にあったと思う。25年経った新宿からみたら、舞台となった新宿は別世界のようである。

| | コメント (0)

『パラサイト 半地下の家族』


隣国である韓国の庶民というのがどのような生活をしているのかを知る機会ない。21世紀になって先進国の暮らしをしていると思っているが、現実は知らない。社会の分断を描いたとの評判のこの映画だが、描いているのは現実そのものではなく、作品として象徴的に描いているのだろう。こういう映画の現実との対比を捉えられないまま観ることになるのが残念な作品ではある。

実際に、韓国の集合住宅には映画に出てくるような半地下住居が存在するのだろうか。通りの酔っ払いの立ち小便をかけられ、半階上がった便所で携帯電話の電波を探るシーンは印象的であり、その画像にアンカリングされた上で物語が進む。

前半は痛快である。いかにも韓流らしいコミカルな喜劇として、成功を収める。この成功には、精緻な計画がある。すなわち、計画通りに事が進むのだ。危うい事があっても計画が達成されるシーンが連続することこそ、この作品の重要な伏線である。

雨の夜のシーン。雑誌などの作品紹介で、山の手の雨が庶民の住む低地に濁流となって流れる、あのシーンである。作品においては、もっと重い気持ちでこのシーンに臨むことになる。階段を降りる、もっと降りる、まだまだ降りる。絶望の中に降りていく象徴的なシーンとなる。

絶望感を観客に十分に味わせて、最後のシーンに移行する。憎悪を消化できないまま、幕が降りる…。

| | コメント (0)

2020.01.12

プログラマの数学


プログラミングを学ぶための基礎になる数学を少しのユーモアを取り混ぜながら優しく説明した本。優しく説明と言っても高校数学レベルの知識は前提で、その土台を思い出しつつプログラミングの際に気をつけなきゃいけない概念を学ぶようなものです。

論理、帰納、再帰など、SEやプログラマが理解不足のせいで誤った設計やコーディングをしてしまうことは実務でもありがち。当たり前のように見えて勘違いしがちな数学はあちこちに潜んでいるもの。本書の通読で、少しでも落とし穴に気付くことができればと。

| | コメント (0)

2020.01.10

『対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方』

ビジネススクールの講師に勧められた本。DXを考えるために罫線戦略コースを受講したと伝えたため、この本がリストに上がった可能性が高いかなと。

タイトルの通り、DX(この著書が書かれた時はまだDXという言葉はないが)の進展に対し、領地を侵犯される既存企業はどのように生き残るのか?という課題について述べた本です。前半は、いくつかのデジタルによるビジネスモデル変革の事例が挙げられており、ITストラテジストの論文事例に使えそうな感じ。で、後半は「既存企業」の組織について焦点を当てられます。

既存企業のアジリティ(敏捷性)を高める策を次の3つにまとめています。
情報にもとづく意思決定能力→迅速な実行力→ハイパーアウェアネス(察知力)→情報に…
これら「情報」「迅速」「察知」あたり、なんとなくAIの出番か?と思ってしまうのですが、既存企業のいちばんの強みは厚みのある従業員、そして現場。現場にいる従業員こそがいちばんたくさんの情報に触れており、現場にいる従業員こそが最もたくさんの判断を行なって迅速にアクションを起こしているのです。そうか「デジタル」って何でもかんでもコンピュータのことしか考えるのでなく、ワークフォースの最大活用こそが既存企業の戦い方なのか。

ところで、情報システム部員の私にとって耳の痛い記述があった。「IT部門は、社内で最も変化を嫌う部門になりがちだ。」レガシーなシステムの保守に追われて革新的なビジネスモデルに取り組めていない情報システム部は至る所で悪者にされているのも事実で、DXとか2025年の壁なんてのもその類の批判だ。情報システム部員は心すべし。


| | コメント (0)

2019.11.13

『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』


漠然としか捉えられずブラックボックスであったAI。結局AIはどんな理屈で動いてるの?という疑問が残ったままでした。ディープラーニングの模式図なんかはWEBや雑誌で見かけるが、だから何なの?と。本書をKindle Unlimitedで見つけた時にそんな感覚を思い出し、しばらく電子積読として温めていました。

情報処理技術者試験が終わったので、ちょい気合を入れて読んでみようかと。1〜4章が数学(微分、ベクトル、行列)、5〜7章が数学知識を使ったAIへの実装の考え方が書かれています。数学の部分は実際に紙に数式を書いて解くことで、高校大学で習った数学の勘を取り戻しながら読み進めました。この手の分野の本は実際に手を動かすことで理解が深まるので、数式を書くことはおすすめです。実践編の5〜7章は流し読みでしたが、直前に手が覚えていることで、どういう方向性の作業を行なっているかの理解ができ、AIってそういうものなのかということが腑に落ちました。

実際にAIを始めるにはこの本ていどの数学知識では足りなさそうですが、AIって何?の疑問を解決するにはちょうどよい本だったと思います。


| | コメント (0)

2019.10.31

『ジョーカー』

いわゆる「無敵の人」の狂気と恐怖。


無敵の人とはネットスラングで、失うものが何もない、犯罪を起こして逮捕されようが何しようがダメージを受けない人のこと。


昼は看板持ちのピエロとして働き、夜はウケないコメディアンとしてステージに立つ精神病を患ったアーサー。救いようのない人生を痛々しく描く。もうこれだけで、観ている方はいっぱいいっぱいである。ツラい。仕事をクビになり、電車では気持ち悪いと乗客にバカにされ、泥沼である。


物語と並行して、市の財政難から福祉が打ち切られ、アーサーへの支援も打ち切られ、街の治安も悪化して貧富の差の拡大から、どうしようもなくなる。やはり、救いようがない。


結局、何も救われないず、事態は重篤化してエンディングを迎える。どちらかというと最悪のエンディングだが、それでもアーサーよくやった!と称賛してしまいそうな感情を呼ぶところがこの映画の怖いところだ。


アーサーはサイコパスとしては描かれていない。しかし、サイコパスの怖さをアーサーの復讐に見てしまう。



| | コメント (0)

2019.09.25

『じゃりん子チエ』


全34巻中10巻がKindle Unlimitedになっていたので、10巻まで読みました。

子どもの頃にアニメで見ていたじゃりン子チエ、戦後頃の少し昔の時代を描いたものだと思っていました。しかし、チエは1968年生まれ、僕と4歳しか違いません。今となってはほぼ同世代と言ってもいいでしょう。ちなみに、僕が小学校1年生の時にチエが5年生です。

描かれているのは西成区の萩之茶屋だと思われる大阪の下町。

父親テツは定職につかず、母親が内職やパートをする傍ら小学5年生チエがホルモン焼き屋を営んで生計を立てているという、かなり極貧の家族の設定。作中も旧友に「赤貧」など言われていることから、貧乏でダメ親でも楽しく生きている少女を描いているんだと思われます。

1970年代後半の大阪。これから大阪万博を迎えようとしている、不思議な熱気があったのも確かでしょう。だから、ヤクザ者のテツでも活き活きと生きている。ヤクザが足を洗って土方に出たり、新たな商売を始めようとしたりするあたりも70年代の大阪。焼肉ドラゴンで観た時代と一緒だよと言われると納得するかも。

作中に現代なら差別用語とみなされる言葉もいきなり出てきてヒヤっとすることもありますが、これも70年代の大阪を味わうのにいい刺激なのかも。チエ51歳が現実にいたら、今はどんなところでどうやって生きているのかなぁ。

| | コメント (0)

『[新版]グロービスMBA経営戦略』


仕事の都合で(なのに自費で)読まなきゃいけなくなった本です。
本の体裁的に、ビジネスフレームワークが次々に出てきて、このフレームワークはこうやって使うんですよ…的な教科書を想定していたのですが、(Kindoeで)開いてみたら、違っていました。

各章に「自社の強みの構築と活用」だとか「戦略の動的プロセスとラーニング」などといったお題が与えられ、その章の学ぶべきポイントが簡潔に記された後、ケースが書かれます。そのケースに適用できるフレームワークを紹介し、フレームワークを機械的に当てはめるとダメだよという警鐘を鳴らす、という組み立て。

フレームワークを学ぶと言う密度では薄いかもしれませんが、フレームワークをどうやって活かすかという視点で価値の高い教科書なんでしょうね。きちんとフレームワークの使い方を学び使いこなしていきましょう。


| | コメント (0)

2019.09.07

『なぜ倒産 平成倒産史編』


ベンチャー社長向けの雑誌の連載をまとめた「なぜ倒産」シリーズの第2弾です。改元ということで平成時代の倒産事件に絞ってまとめています。

平成時代はバブル崩壊からの長い不況期でした。既存の経済は右肩下がり、新規市場は既存企業にとって難しい戦場。その状態での然るべき倒産を描いています。

惨烈なのが、経営者の自殺による倒産のコーナー。保険があるからといって、自殺はよくない。そんなんで企業は立ち直れないし、債権者だって心が重くなるだけです。生命保険から破産配当金が支払われたって、いい気分にはなれないよね。会社経営は生活の手段なので、生活を絶ってはいけないのです。

巻末のほうに民事再生の話が出ているが、経営が厳しくなった時にどうやって立ち直るかが課題。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧