カテゴリー「書評」の567件の記事

2020.09.17

『将棋名人血風録 ー 奇人・変人・超人』


棋士の加藤一二三九段が、歴代の名人の人となりを語った本。木村義雄や升田幸三と言った将棋の歴史を語る本に書かれているような棋士との対局が語られていて、加藤一二三は本当に長く現役棋士をやっていたんだなと驚く。

本のタイトルに「奇人・変人」とあるが、内容は至って温厚で、ひふみんの人の良さが表れているほんわか本。努力と信心で栄光を掴むことができる、いま成果が出せなければ、成果を出せる時が来るのをきちんと待つ。一局一局が大切でありながら、長期的な研究の方針を立てなければいけないという棋士の両面も見ることができる。

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2020.09.12

『うつ病九段』


3年前に鬱病で休場していた棋士先崎学九段の手記。鬱病に罹患して入院してから、仕事を休みリハビリして棋戦に復帰する直前までを振り返ります。

先崎九段は元A級棋士という実力よりも、3月のライオンの監修やエッセイストとしての知名度の方が高い人物。半分くらいは文筆業の人だと思ってよいか。鬱病を自ら振り返り書かれた本はなかなかないだろうが、この本はキチンと読ませる本に仕上がっている。鬱病は心の風邪みたいに言われるが、本書を読むとそんな気軽な病気でないことがわかる。先崎の軽やかな文章で、病気の深刻さが重く伝わってくる。


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2020.09.08

『ネットは社会を分担しない』


ネットは社会の政治的意見を左右に分断しているのか?という疑問に対し10万人規模のアンケートによって確かめるという企画。この仮説の結論はタイトルの通り。

本書はみんなが何となく感じている「ネットが社会を分断している」現象について状況を述べたあと、紙幅のほとんどを10万人アンケートの解釈に使う。アンケートの様式、回答の分類と数値化、クラスタ分け、相関など。ネタとして取り扱っている社会分断や政治志向はもうネタでしかなく、このネタによってデータマイニングやデータ分析の実習をやってるんじゃないだろうかという内容。自粛期に統計学とか勉強してたから興味を持って読めたが、そうでない人には冗長でつまらないのでは?と思ってしまう。


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2020.09.02

『笹の船で海をわたる』


学童疎開を経験したというから昭和10年前後生まれだろうか。その世代の、ごく普通の主婦の老後の回顧を描く。

常に受け身で、自分の意思を出すことなく流されるままに生きることがこの世代の特徴なのだろうか。こういう普通の女性と、自分で世界を切り開いていく新しい時代の女性を対比させ、自分自身のあり方に疑問を持つという構図。『対岸の彼女』と似た関係か。

戦後すぐの頃から老後まで、昭和の世相を交えてだらだらと回顧が語られる。これだけだらだらした文章は角田光代に相応しくなく、恐らく主人公の流される生き方の表現として意図的に作ったものだろう。この文章の読み辛さは、主人公の生き辛さの表現でもあると。

喉の奥に刺さった棘を気にしながらも抗うことなく生きてきて、老後にふと悟る。ここでの行動が主人公にとっていい選択だったか悪い選択だったかはわからないが、自分で考え自分の責任で行動することの価値を角田光代が描いて集結する。読みながら、この小説はどこに向かっているんだろう?と心配になったが、ちゃんとこの作者らしい終結で安心した。

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2020.08.26

『あやうく一生懸命生きるところだった』


まず、タイトル。一生懸命生きなきゃいけないと思い込んでた。一生懸命になることで得ることがあり、一生懸命だからこその幸せがあると思ってた。それが思い込みだってタイトルだけで突き付けられた。

・人生に正解はない
・人と比べると不幸になる
このあたり心掛けるだけで、随分と楽になりそうだ。

今まで正解を追い求めて駆け回ってた気がするが、ひと息つきたい。


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2020.08.24

『夜は短し歩けよ乙女』


京都を舞台にしたファンタジー。文語調と軽妙な語感の組み合わせで、独特の世界観を作っています。先輩と乙女の口調を微妙に変えることで、怠くなりがちな文語口調からの息抜きができるのも読者にとって嬉しい。

ファンタジーはご都合主義だ。世界は気付かぬうちに自分を中心に回っており、外堀はいつしか埋められて、周囲は大いに巻き込まれ、オモチロイことが満載で展開する。

こんな調子でコロナも潤肺露で一撃ならいいのに。


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2020.08.18

『大きな嘘の木の下で』


メガネチェーン「OWNDAYS」の経営者が幸福の価値観と成功への心得を語った本。と言っても、こうすれば幸せになる、こうすれば成功するなんてノウハウは書かれていない。一歩を踏み出さなきゃ幸せになることも成功することもないってことが書かれています。

やはり四六時中楽しんで仕事をする、仕事は義務感じゃなく自分から追い求めていく、そうしないと成功を得るのは難しいんだなと思い知らされる。仕事のことを考えるのは週40時間だけという風潮のなか、人々はどう仕事に取り組むべきか。

成功者の成功本は経営の参考にはならずエンタメとして読む。経営の参考になるのは帝国データバンクの倒産情報。なかなかの視点じゃないか。大成功を収めた経営者も、日々悩んでいる。


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2020.08.06

再読『データサイエンティスト養成読本』

Kindleのライブラリに「データサイエンティスト養成読本」なる本があるのに気付いた。3年前に読んだ本だ。

当時は統計学もRもPythonも何も知らずに読んで、何じゃこれ?という状態だったが、今は統計の勉強もして、SQLの勉強もして、Pythonも一通りいじった後なので、何を言わんとしているか理解できる状態での読了。ちょっとした自分自身の土台の違いで、理解する方向性が全く違いますね。やっぱ知識は広げておくものだ。

今はデータ分析ならPython一択みたいな風潮ですが、3年前はRだったのでしょうか。とすれば、流行の流行り廃りの早さに驚きを隠せません。Rは統計検定で結果画面の解釈の勉強はしたものの、自分自身で動かしたことはまだないなぁ。

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2020.07.28

『まんがでわかる隣のサイコパス』


Unlimitedおすすめに並んでてホラー系の読み物かと思ったら人間関係の本だった。

こんな人はサイコパスで周囲の心を蝕むから近寄るなっていう典型例を7例あげた本。まんがで〜って書いてるけど、文章での説明が多い。

で、挙げられたサイコパスの例だが、こんなのがサイコパスなら僕の周囲の人間の半分くらいサイコパスなんだが。まあ、こういう人が存在しない世界はストレスフリーなんだろうなとか感じなくもないけど、普通に社会で生活していると、多様な人間がいるこその社会であり、この程度でサイコパス呼ばわりして排除するのは社会として好ましくないかと。

「前頭葉が〜」とか説明があるけど、それって社会生活が困難なくらい極端な患者の観察結果じゃないのだろうか。

この程度の多様性を排除するような生き方は、サイコパスな生き方だと思うよ。

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2020.05.11

『Data Analytics Made Accessible』


アンリミにデータ分析の本あるかな?と探してたら洋書がヒットした。どうせアンリミでタダなので、難しくて読めなくても構わないやとダウンロードしました。

開いてみると、英語はそんなに難しくなく、ちゃんと読めそう。和書に比べると読破には時間がかかりそうですが、久し振りの英語の勉強にもなるやと読み進めました。

前半は、BI、DWHといったツールの概要、データマイニングやデータビジュアライゼーションといった技法の概要。後半はデシジョンツリーや回帰と言った分析手法の説明が、簡潔に書かれています。データ分析についての全体的な考え方を捉えるのに、ちょうどよい内容です。英語なので斜め読みができず、かえってちゃんと読むことができ、けっこう腑に落ちたところもありました。


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