カテゴリー「書評」の598件の記事

2021.06.12

『独学プログラマー』


独学の方法を教えてくれる本かと思って読み始めたら、Python勉強の本だった:-P

でも、一般的なPython自習本に比べると、コードそのものより考え方を重視している印象。それでもこの紙幅では情報量が少なく、著者の書きたいことは書ききれてないんじゃないかという印象。この本だけでは職業プログラマーにはなれないので、この本で少し手を動かしつつプログラマーってなんなのかを掴み、最後の方に紹介されている本を使った本格的な勉強への足掛かりにするのがいいのではないだろうか。

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2021.06.01

『新宿の逆襲』


大手町丸の内有楽町や渋谷に比べて新宿が出遅れているという議論から始まる。そして新宿のポテンシャルの高さを歴史を辿りながら説き、グランドターミナル構想などこれからの新宿への期待で締め括る。

そもそもだが、「新宿」という主体は存在せず、新宿に関与する人々の思惑が今の新宿を型作り、次世代の新宿を作ってゆくという視点を持たずに書かれているので、なかなかしっくり来ない。

新宿を俯瞰して未来を語る都市政策視点か、新宿に関与する各主体にとっての新宿の方向性を語るかでないと、まとまりがつかないのではないだろうか。

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2021.05.29

『平成ネット史 永遠のベータ版』

インターネットの歴史と言うよりは、インターネット上のサブカル史。平成が終わろうとしていた2年前(2019年1月)のテレビ対談の書籍化とのこと。

前半のモデムやテレホーダイ、侍魂の先行者などは懐かしいなという気分で読んでいたけど、第3章のブロードバンドあたりからはオジさんにとっては現在進行形なモノのような気がして。

インターネットやコンピューターの技術の変遷よりも、これらに乗っかったオタクの文化の変遷の対談と捉えた方が面白く読めますね。

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2021.05.20

『ヒトラーの経済政策』


アンリミで見つけてダウンロード。誤字が多く、個人のブログかよってくらい。お金を払って読んでたら怒ってしまうくらいの品質で、本当に印刷して本屋に置いてあるんだろうか?

内容は、タイトルの通りナチスドイツの経済政策について。独裁恐怖政治のイメージが強いナチスですが、選挙に勝って政権を取った政党だという事実。そのための経済政策はどうだったのかということを述べています。

タイトルは「ヒトラーの」ですが、実質的には「シャハトの」でしょうか。ベルサイユ条約後のハイパーインフレに悩まされたドイツが、どのように国債を発行して経済を立て直したか、その絶妙な匙加減を味わってくださいと言った道路でしょうか。

それにしても、シャハト退任後のナチスの暴走ぶりよ…

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2021.04.26

『承久の乱』

いい国作ろう鎌倉幕府でお馴染みの1192年鎌倉幕府成立。短歌のことを調べだしてから、政権が軍人に奪われたにも関わらず後鳥羽上皇や藤原定家は勅撰和歌集である新古今和歌集を編纂するなど、ずいぶん呑気だなあと違和感を持っていました。その後鳥羽上皇と言えば承久の乱。それまで、鎌倉幕府はやんわりと東国の武士たちをまとめて私有地を安定化する役割を果たしていたに過ぎないという本書の説に納得です。武士に権力が渡るのは1192の鎌倉幕府成立(本当は源頼朝が征夷大将軍を授与されただけ)ではなく1221年の承久の乱の後の北条義時による強硬な処分からなんですね。

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2021.04.17

『むらさきのスカートの女』


近所にいる変わり者として有名なむらさきのスカートの女を観察する、という仕立ての小説。語り手は黄色いカーディガンの女で、この語り手の一人称小説であることがポイント。観察対象であるむらさきのスカートの女の行動は細かく描かれるが、黄色いカーディガンの女のことが描かれず物語が進むので、読んでいてだんだん気持ち悪くなる。それより一体お前は何者なんだと。

本が終わりに近づくにつれ、変わり者なのはむらさきのスカートの女ではなく黄色いカーディガンの女であることに気付いてくる。そうすると、むらさきのスカートの女は実在する人間として描かれているのかというか疑問が生じてくる。『ピクニック』のような妄想が盛り込まれているのではという疑惑が生じたり。

物語の最終盤をどう解釈すればいいのかわからない。このわからなさが今村夏子ワールドなのか。そして『花束のような恋をした』で今村夏子をここまでプッシュする意図は何だったのか。

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2021.04.11

『こちらあみ子』


映画『花束のような恋をした』から今村夏子『ピクニック』を読んだ流れで、同じ本に収録されている『こちらあみ子』を読んだ。

人から見て世間がどう見えているかなんて分からない。自分の からの視点が世界の全てである。そして、その視点が正しく唯一であることを疑わない。じゃ、その視点が知的障害者ならどうか。そこに挑戦した小説が『こちらあみ子』なのだと思う。知的障害者を描いた小説はたくさんあるだろうが、一人称視点で描いた小説はなかなかないのではないか。無知ゆえ、残酷さを感じずに生きるあみ子。しかし読み手にとっては救いようのない残酷さが心に残る。

とんでもなく不快な読後感を残す作品である。よくここまで挑んだなと。


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2021.04.08

『Marketing Python入門』


Kindle Unlimitedから見つけた本。Pythonをビジネスに活かす手法が書いてあるのか?と思ってダウンロードしたが、それほどマーケティング要素は含まれてなかった。

Pythonの文法の基本を説明したあとは、線形回帰による予測、WEBスクレイピング、形態要素解析を簡単に説明した、かなりシンプルな本でした。

今までPythonの本は統計解析に偏って読んでいたので、WEBスクレイピングや形態要素解析のコードを触ってみて、こんなこともできるのかと驚きました。こんな便利で簡単なツールがタダで使えるPythonの世界はどうなってるんだ?

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『豊田章男』


ボンボン中のボンボン、トヨタ自動車創業3代目で現社長の豊田章男の半生を追った本である。ここまでのボンボンなら(1)おとなしく過ごして周りに委ねる (2)立場を生かして変革に真っ向から立ち向かう の選択肢があったときに(1)を選ぶだろ!と思いきや、この本の章男は断然(2)だ。この本はトヨタの提灯記事なのか、第三者視点でのジャーナリズムなのか。判断は難しいが、(2)を示すことで社内外に変革の意思の強さを示しているのだろうと思わせる本であった。

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2021.03.29

今村夏子『ピクニック』


映画『花束みたいな恋をした』で繰り返し語られる「今村夏子さんのピクニックを読んで何も感じない人」という台詞が胸に残り、自分がどちら側の人間かを確かめたくなった。

ローラーシューズをはいた女性が配膳する飲食店。フーターズみたいなところか。ここで勤め始めた若くはない女性、七瀬さんが主人公。若く、ちゃんとローラーシューズをはきこなして踊りもできるルカの視点で小説は進む。七瀬さんは自分より少し不幸であることがルカにとって望ましいという微妙な立ち位置で安定するのがよい。しかし「新人」によって、安定が崩されてゆく。

嘘を嘘だと指摘するのが善人なのか、嘘に乗っかりエスカレートさせてゆくのが善人なのか。ドブ浚いをするオバさんにピーナッツを投げる善人ぶった行動の悪意の重さを、読後に振り返ることになる。

でだ、八谷絹(有村架純)が語る「今村夏子さんのピクニックを読んで」感じなければいけないこととは何だったのか。山根麦(菅田将暉)が仕事に追われ余裕と絹への愛情を失うなかで絹が繰り返し述べることの意味との関連で解釈しなければいけないのだろうが、僕には出来なかった。こういう僕は、七瀬さん側でもなく新人側でもなく、ルカ側で生き続ける人間なのだろう。




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