カテゴリー「書評」の543件の記事

2019.11.13

『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』


漠然としか捉えられずブラックボックスであったAI。結局AIはどんな理屈で動いてるの?という疑問が残ったままでした。ディープラーニングの模式図なんかはWEBや雑誌で見かけるが、だから何なの?と。本書をKindle Unlimitedで見つけた時にそんな感覚を思い出し、しばらく電子積読として温めていました。

情報処理技術者試験が終わったので、ちょい気合を入れて読んでみようかと。1〜4章が数学(微分、ベクトル、行列)、5〜7章が数学知識を使ったAIへの実装の考え方が書かれています。数学の部分は実際に紙に数式を書いて解くことで、高校大学で習った数学の勘を取り戻しながら読み進めました。この手の分野の本は実際に手を動かすことで理解が深まるので、数式を書くことはおすすめです。実践編の5〜7章は流し読みでしたが、直前に手が覚えていることで、どういう方向性の作業を行なっているかの理解ができ、AIってそういうものなのかということが腑に落ちました。

実際にAIを始めるにはこの本ていどの数学知識では足りなさそうですが、AIって何?の疑問を解決するにはちょうどよい本だったと思います。


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2019.10.31

『ジョーカー』

いわゆる「無敵の人」の狂気と恐怖。


無敵の人とはネットスラングで、失うものが何もない、犯罪を起こして逮捕されようが何しようがダメージを受けない人のこと。


昼は看板持ちのピエロとして働き、夜はウケないコメディアンとしてステージに立つ精神病を患ったアーサー。救いようのない人生を痛々しく描く。もうこれだけで、観ている方はいっぱいいっぱいである。ツラい。仕事をクビになり、電車では気持ち悪いと乗客にバカにされ、泥沼である。


物語と並行して、市の財政難から福祉が打ち切られ、アーサーへの支援も打ち切られ、街の治安も悪化して貧富の差の拡大から、どうしようもなくなる。やはり、救いようがない。


結局、何も救われないず、事態は重篤化してエンディングを迎える。どちらかというと最悪のエンディングだが、それでもアーサーよくやった!と称賛してしまいそうな感情を呼ぶところがこの映画の怖いところだ。


アーサーはサイコパスとしては描かれていない。しかし、サイコパスの怖さをアーサーの復讐に見てしまう。



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2019.09.25

『じゃりん子チエ』


全34巻中10巻がKindle Unlimitedになっていたので、10巻まで読みました。

子どもの頃にアニメで見ていたじゃりン子チエ、戦後頃の少し昔の時代を描いたものだと思っていました。しかし、チエは1968年生まれ、僕と4歳しか違いません。今となってはほぼ同世代と言ってもいいでしょう。ちなみに、僕が小学校1年生の時にチエが5年生です。

描かれているのは西成区の萩之茶屋だと思われる大阪の下町。

父親テツは定職につかず、母親が内職やパートをする傍ら小学5年生チエがホルモン焼き屋を営んで生計を立てているという、かなり極貧の家族の設定。作中も旧友に「赤貧」など言われていることから、貧乏でダメ親でも楽しく生きている少女を描いているんだと思われます。

1970年代後半の大阪。これから大阪万博を迎えようとしている、不思議な熱気があったのも確かでしょう。だから、ヤクザ者のテツでも活き活きと生きている。ヤクザが足を洗って土方に出たり、新たな商売を始めようとしたりするあたりも70年代の大阪。焼肉ドラゴンで観た時代と一緒だよと言われると納得するかも。

作中に現代なら差別用語とみなされる言葉もいきなり出てきてヒヤっとすることもありますが、これも70年代の大阪を味わうのにいい刺激なのかも。チエ51歳が現実にいたら、今はどんなところでどうやって生きているのかなぁ。

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『[新版]グロービスMBA経営戦略』


仕事の都合で(なのに自費で)読まなきゃいけなくなった本です。
本の体裁的に、ビジネスフレームワークが次々に出てきて、このフレームワークはこうやって使うんですよ…的な教科書を想定していたのですが、(Kindoeで)開いてみたら、違っていました。

各章に「自社の強みの構築と活用」だとか「戦略の動的プロセスとラーニング」などといったお題が与えられ、その章の学ぶべきポイントが簡潔に記された後、ケースが書かれます。そのケースに適用できるフレームワークを紹介し、フレームワークを機械的に当てはめるとダメだよという警鐘を鳴らす、という組み立て。

フレームワークを学ぶと言う密度では薄いかもしれませんが、フレームワークをどうやって活かすかという視点で価値の高い教科書なんでしょうね。きちんとフレームワークの使い方を学び使いこなしていきましょう。


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2019.09.07

『なぜ倒産 平成倒産史編』


ベンチャー社長向けの雑誌の連載をまとめた「なぜ倒産」シリーズの第2弾です。改元ということで平成時代の倒産事件に絞ってまとめています。

平成時代はバブル崩壊からの長い不況期でした。既存の経済は右肩下がり、新規市場は既存企業にとって難しい戦場。その状態での然るべき倒産を描いています。

惨烈なのが、経営者の自殺による倒産のコーナー。保険があるからといって、自殺はよくない。そんなんで企業は立ち直れないし、債権者だって心が重くなるだけです。生命保険から破産配当金が支払われたって、いい気分にはなれないよね。会社経営は生活の手段なので、生活を絶ってはいけないのです。

巻末のほうに民事再生の話が出ているが、経営が厳しくなった時にどうやって立ち直るかが課題。

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2019.09.01

『この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』

ラノベ系アニメの劇場版。ジャンルを言うだけで最悪感が高いのですが、期待を裏切らないくだらなさでした。

活躍できないオレ、勘違いモテ期、無駄な魔力、下ネタ。オタク系中二病向けネタの宝庫。

ということで、そういう楽しみ方をしようと意気込んで劇場に出向かないと貴重な1800円と人生の2時間を無駄にしますが、わかってて観ると娯楽として楽しめる。そんな映画でした。

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2019.08.25

『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』


宇宙際タイヒミューラー理論という、何だかよくわからない理論の解説本。ABC予想という素数演算に絡む数学の未解決問題の証明として有力視されている、しかも数学の考え方に革命をもたらす理論とのこと。これだけだと怪しいことこの上ないwww。

ただ、「宇宙際」の宇宙とは、銀河系とかがある宇宙のことではなく、数学の理屈が通じる世界みたいなものか。そう見ると、怪しさは軽減。

最近の数学の書籍で出てくる「群論」がここにも登場。この本での群論解説は直感的に理解しやすいようにかなり噛み砕いて説明しているが、それでも「また群論か…いつかちゃんと勉強しないとなあ」と思わされてしまいます。群論の初歩を勉強したところでIUT理論にまでは全く到達できないけどね。

本書は、IUT理論の説明はほとんどない。前半は数学界を取り巻く状況と、論文が認められる手順、それとIUT理論を考案した望月新一教授の素晴らしさが本書の前半。後半は群論などIUT理論の前段の話。結局、IUT理論ってどんなのなの?で終わっちゃった気がしなくもない…。

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2019.08.06

『民事裁判入門 裁判官は何を見ているのか』

民事裁判をするにあたっての心構えや考え方を書いた本。前半は本人や代理人が準備書面を整えるのにどういったことに配慮すべきかを書いている。こうすれば有利ですよというより、どうすれば裁判官に理解してもらいやすいですよと言った解説。本人訴訟なんかきっとやらないだろうとタカをくくってる僕からすると、裁判官の立場で「こんな準備書面を出してくれたらいいのになあ」と書いているようにしか見えないんですけど。

後半は、日本の裁判制度の改善提案。一般人がここの解釈に行き着くには、まず裁判ってどういう仕組みなの?って理解しなきゃいけないわけだけど、この本の読者がどれだけ裁判所に足を運んだことがあるだろうか?と疑問。こういう「入門」を謳う本でも、なかなか入門は難しいよね。

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2019.08.04

『天気の子』

新海誠の最新作。大規模プロモーションもあり中高生の夏休み映画のマスト感が高い。子どもらを連れてイオンシネマに向かった。

家出という青春アドベンチャー。言の葉や秒速などの系譜か。ただ、今回はやたらと周りを巻き込みすぎな設定だ。青春の謳歌というにはあまりに犯罪行為を盛り込みすぎで、世界を犠牲にしている。新海誠ワールドもここまできたら、サイア人を登場させたドラゴンボールのような過剰なエスカレーションに感じる。

都市を切り取り、印象的に表現する新海ワールドは前回。今回は代々木駅前の古びたビルを誇張して描いた。新宿歌舞伎町の猥雑性もこれでもかと見せつける。だいたい「バーニラ、バニラ♪」のトラックがオープニングなんて東京を知る大人には強烈なインパクトだ。JR病院、代々木ドコモ、新宿大ガード、田端の崖、神楽坂の坂。東京に根付く物語である。これらが「聖地」として四谷須賀神社のように扱われるのだろうか。

エンタメとしては、ここまで派手な演出がよいのだろう。秒速の頃の新海アニメは遠くなったか。

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2019.07.12

『82年生まれ、キム・ジヨン』


韓国でベストセラーになった本。女性差別に虐げられて鬱になった女性の半生を精神科医の視点で振り返るとという構成。

感覚として、女性差別に対しあまりに強く抵抗しすぎて疲弊しているように感じる。そこまで強く抵抗してると、読者の方まで疲れちゃうよね、と。じゃあ女性差別は放置しててよいかというとそうでもなく、徐々に改善しつつ意識の古いオッサンたちの社会からの退出を待つのが現実なんだろう。82年(僕より10年歳下ですね)生まれの韓国人が感じていたこの感覚は、日本でいうと65〜70年くらいに生まれた女性たちの感覚でしょうか。日本はだいぶこういう感覚がなくなってきたので、韓国もあとしばらくで解消するだろうってのは楽観的すぎるかな。

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