2024.10.06

『金魚を逃がす』

一時間しかもたないといふ保冷剤ポケットに入れあなたを待てり(鈴木美紀子/日経歌壇2024年9月28日)

この歌を朝刊で読み、一時間が何の時限かを理解できずXで呟きました。作者本人からの返信を得ましたが、僕の読みとは大きく異なる作歌意図でした。この作歌意図は意外すぎた。歌集を出している歌人だったので、歌集を手に取りました。

際どい歌が多い歌集でした。色気と残酷さを優しい言葉で包み込む歌。しかし、完全には包んでいない。ロングスカートのスリットのように。優しくつつまれた中には、冷たく鋭いものが光る。怪我することがわかっていながら、その優しさに包まれたくなる。

言い訳にならないことは自明なのに、それでも言い訳を受け入れさせる強さをこの歌人の言葉は持っています。五感の全てと官能と心の冷徹が、この歌集に散りばめられています。妖艶な女に近づき頬を打たれ、その痛みさえ性感に似た快感と捉えるような歌集でした。

https://www.coal-sack.com/syosekis/view/2984/鈴木美紀子歌集『金魚を逃がす』


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2024.09.22

『日常の絶景』

3回だけのテレ東ドラマ。主演は「お耳」の伊藤万理華だ。
・東京港のガントリークレーン
・安房勝浦の防砂擁壁
・秩父の滝沢ダム
1回目を除いて「日常」とは言い難いし、滝沢ダムとなるとしっかり観光地のような気もします。劇中に少し登場する架空のSNSの排気ダクトや室外機などのほうが「日常」で、ドラマで取り上げていたのはわざわざ行って観る非日常。ぱっとしない後方支援系の仕事をしている伊藤万理華がオフでははっちゃけているという構造は「お耳に合いましたら」と同じですね。

僕の求める街歩きの視点が、伊藤万理華が演じている町村景と似ているようで、共感を持ちました。3回だけしかなかったのが、残念です。

▼ 日常の絶景(テレビ東京)
https://www.tv-tokyo.co.jp/nichijonozekkei/
▼ お耳に合いましたら。(テレビ東京)
https://www.tv-tokyo.co.jp/omimi/

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2024.09.11

『珊瑚』

男女群島に中国機が領空侵犯というニュースを読み、男女群島とは?と調べた。五島列島の沖に浮かぶ小さな島らしい。どうやら無人島なのかなと調べを続けると、過去には珊瑚漁で賑わったことがあるという。そうやって新田次郎の小説に行き着いた。


Kindleに落として読み始めたのが、2024年台風10号の嵐の最中。この小説も男女群島での嵐のシーンから始まります。心穏やかに読むことができませんね。


少年3人の物語。男女群島での嵐、周防大島の回想、五島列島福江島の暮らしと人間模様。絆を深めて生きていくと思いきや、女性、台風と、3人の絆を危ういものにするものが現れはらはらするのは新田次郎の演出です。しかし、小説とは言えど海難事故は実際に起こったことで、犠牲者の数だけ人生の物語があったことも事実。危険な仕事に人生を賭ける男たちの心境を、僕の心にも刻みます。

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2024.08.30

『いい子のあくび』

いい子であるがゆえに生きづらい生き方をしている人っているよねと思う。いい子のネコを被っていることは、本人も認識していて、ちゃんとしたネコの被り方ができることこそいい子だと思っている。だからこそ、ネコを被ることに多大な努力を費やし、疲弊する。


この生きにくさを、心が真綿で締め付けられるような速度で描いている。読者が「いい子」の特異性にいつ気付くのかと試しているような文章だ。


この作者にかかると、全ての人生が重く苦しいものに感じられそうだ。

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2024.08.19

『燕は戻ってこない』

たまたまテレビのチャンネルを回した時にドラマをやっていた。代理母の話。衝撃的な内容で、前後のストーリーを全く知らないまま10分くらい見入ってしまった。ドラマのタイトルと原作がわかったので、きちんと読もうと手に取りました。


子が産めない妻と、子を持ちたい夫。年齢的に今のうちに子を持たないと育てられない焦り、母からのプレッシャー。この裏に隠れ見える夫婦の生まれ育ちの格差。さらに、代理母に手を挙げる貧しい女性。いまだ人間は身分の元で生きているのか。


家系に卑下する妻も、代理母から見たら圧倒的強者である。妻の立場を間に置くことで、代理母の立場を弱く描いている。しかし、この代理母も何か特別貧しい女性ではなく、ありがちな地方出身者でしかない。友人が風俗で働くのを軽蔑する女性なのだ。それでも、目の前に絶望して、自分の身体を金に変える「ビジネス」に委ねてしまうのだ。


金と引き換えに心を失ってゆく描写が恐ろしい。金で解決しようとした依頼者夫婦の描写も恐ろしい。やはり「人間」そのものを売買してはならない。金銭が人間を支配しては行けない。重い小説だった。

https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/tsubame/

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2024.08.11

『名画を見る眼』

美術史家、高階秀爾による西洋絵画鑑賞の手引本。テレビで高階秀爾のインタビューが放送されていて、気になっていました。1969年(55年前!)というかなり歴史のある本ですが、2023年にカラー版として再刊行されました。といっても僕はKindleで買ったので、文章をPaperWhiteで読んで図版をiPhoneで観るという使い方で読みました。紙の本のほうがよかったかな?

各章に歴史的背景という節がある。それぞれの絵画の時代背景を簡潔に説明している。このことで、絵画〜時代背景〜絵画の繋がりがわかる。企画の展覧会で画家の絵画をピンポイントで観ると、そのピンポイントしか鑑賞できない。それが、この本の歴史的背景を理解することで、絵画史の流れのなかの画家の位置付けを認識しながら絵画を鑑賞できるような気がする。詳しく絵画史を学ぶのは骨が折れるが、新書2冊という分量でコンパクトにまとまっているので、これなら理解できそう。

55年前の本だけど、文の古さを感じない。(カラー版出版にあたり言葉遣いなどを書き直したのかは不明。)マニアでない一般的な美術館来訪者に向けて、自然にわかりやすく解説してくれている本を読むことができました。

カラー版の図版のうち各章の扉の絵は、岩波書店のWEBサイトでも見ることができます。(太っ腹!)
https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/7207
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2024.07.25

『花と龍』


著者の父をモデルにした大河小説。日経土曜夕刊「文学周遊」を読んだときに気になっていた小説です。

ヤクザものの小説だと思っていたのですが、実際には青年実業家が若松の顔になるまでの成長物語。しかし沖仲仕(港湾荷役労働者)の物語であるため、常に隣にヤクザがいるという環境の物語ですが。

作者火野葦平は、そんな微妙な港湾荷役と暴力世界との関わりを、淫靡で危うい女ツボ振り士などの物語を交えて艶やかに汗臭く語ります。

小説の前半は、沖仲仕同士で仕事を奪い合う血なまぐさい描写。危険を顧みずに本線に乗り込み強引に荷役を始めてしまう。そんなことアリ?(当然現代ならナシ)な描写です。おいおいって思うのですが、明治期の港湾はある程度そういう側面もあったのかもしれません。

僕も20代の頃は港湾運送事業者に勤めていたのですが、さすがに平成の上場企業にはそういう側面はありませんでした。(どちらかというと令和になってからちょっと勤めた青果市場の仲卸のほうがそういう側面がありましたが、それは置いておいて。)でも、昔は取締役にヤクザがいたとか、そんな噂を耳にしたこともあります。

小説の話に戻って。前半がハチャメチャですが、後半になってハチャメチャにも節度を持つようになってきます。でも出来事の規模が大きくなり、劇場が放火されるとか若松市外中での暴力抗争が起きるとか、節度を持った戦争という感じになってきます。最後、うまくきれいにまとめたなと感心するくらい。作者自身も小説のモデルに入り込む、人生を掛けた大作を読むことができました。

あと、港湾運送事業とヤクザについて、いくつか生成AIに質問してみたので、書いておきます。真偽は定かではありません。

港湾運送事業者の創業の経緯

以下に、日本国内の主要な港湾運送事業者5社について、それぞれの創業時の港湾荷役業務に焦点を当てて詳しく記述します。

1. **日新株式会社 (Nisshin Co., Ltd.)**
日新株式会社は1938年に設立され、横浜港を拠点に港湾荷役業務を開始しました。当初の業務は、船舶からの貨物の荷下ろしと積み込みを中心に行われていました。戦後の経済復興期には、日本の貿易量が増加し、日新は輸出入貨物の取り扱いに注力しました。特に、木材や石炭、鉄鋼製品などの重工業関連の貨物の取り扱いが多く、これらの荷役業務を効率化するための設備投資を行いました。1950年代には、倉庫業務も開始し、荷役から保管、輸送まで一貫した物流サービスを提供するようになりました。

2. **上組株式会社 (Kamigumi Co., Ltd.)**
上組株式会社は1867年に神戸で創業し、港湾荷役業務を開始しました。当初は、神戸港に入港する外国船からの輸入貨物の荷下ろしが主な業務でした。これには、綿花や砂糖、茶などの貿易品が含まれており、これらの取り扱いには専門的な技術と経験が求められました。上組は、荷役作業を効率化するために人力の他に馬車やクレーンなどの設備を導入し、迅速かつ安全に貨物を取り扱う体制を整えました。明治時代には、鉄道との連携も強化し、国内輸送網を拡大しました。

3. **東洋運輸株式会社 (Toyo Transport Co., Ltd.)**
東洋運輸株式会社は1948年に設立され、東京港を中心に港湾荷役業務を開始しました。創業時は、戦後の復興期であり、主に復興資材や生活必需品の輸入貨物の荷下ろしを行っていました。これには、建築資材や機械設備、食料品などが含まれ、これらの貨物の効率的な取り扱いが求められました。東洋運輸は、これらのニーズに対応するために、港湾での荷役設備を整備し、クレーンやフォークリフトを導入するなどして作業効率を向上させました。1950年代には、物流業務の範囲を拡大し、輸送および倉庫業務も手掛けるようになりました。

4. **宇徳株式会社 (Utokyo Co., Ltd.)**
宇徳株式会社は1890年に横浜で創業され、港湾荷役業務を開始しました。創業当初は、横浜港における外国船からの輸入貨物の荷下ろしを主な業務としていました。これには、石炭や鉄鉱石、綿花、茶葉などの貿易品が含まれていました。宇徳は、港湾での荷役作業を効率化するために、初期からクレーンや荷役機械を導入し、手作業による荷役から機械化へと移行しました。20世紀初頭には、輸出貨物の取り扱いも増加し、港湾物流の専門企業として成長しました。戦後の復興期には、港湾運送業務の範囲を全国的に拡大し、国際物流にも進出しました。

5. **丸全昭和運輸株式会社 (Maruzen Showa Unyu Co., Ltd.)**
丸全昭和運輸株式会社は1937年に設立され、当初は東京港と横浜港を拠点に港湾荷役業務を行っていました。創業時は、主に輸出入貨物の荷役作業を中心に展開しており、輸入では石炭や鉄鉱石、輸出では工業製品や農産物などが含まれていました。丸全昭和運輸は、港湾での荷役作業を効率化するために、クレーンやフォークリフトなどの機械を導入し、作業の迅速化と安全性の向上を図りました。戦後の高度経済成長期には、国内外の物流ニーズに応えるためにサービスを拡大し、総合物流企業としての地位を確立しました。

港湾運送事業者の人足の集め方

以下に、主要な港湾運送事業者5社が創業当初にどのように人足を集めていたかについて詳しく記述します。

1. **日新株式会社 (Nisshin Co., Ltd.)**
日新株式会社は1938年に横浜港を拠点に港湾荷役業務を開始しました。当時の港湾荷役はほとんどが手作業で行われており、人足の確保が重要でした。日新は、港湾周辺の労働市場で日雇い労働者を募集し、荷役作業に従事させました。また、地元の労働組合や仲介業者とも連携し、必要な労働力を確保しました。これらの人足は、日雇い契約を結び、一定の賃金を支払うことで労働力を安定的に確保していました。戦後の経済復興期には、労働需要が増加し、さらなる人足の確保が求められるようになりました。

2. **上組株式会社 (Kamigumi Co., Ltd.)**
上組株式会社は1867年に神戸で創業し、当初は港湾荷役業務を中心に展開していました。創業当初の荷役作業は全て手作業で行われており、大量の人足が必要でした。上組は、港湾周辺に居住する農村出身者や移住者を対象に日雇い労働者を募集しました。地元の労働市場を活用し、雇用仲介業者や地元の自治体とも連携して人足を確保していました。労働者は朝早くから港湾に集まり、荷役作業を行うために雇われました。また、上組は労働者の福利厚生にも配慮し、労働環境の改善に努めました。

3. **東洋運輸株式会社 (Toyo Transport Co., Ltd.)**
東洋運輸株式会社は1948年に設立され、東京港を中心に港湾荷役業務を開始しました。創業当初の荷役作業は手作業が主体であり、多くの人足が必要でした。東洋運輸は、港湾周辺の労働市場で日雇い労働者を募集し、地元の労働組合や仲介業者とも連携して労働力を確保していました。労働者は港湾周辺の集積所に集まり、作業の指示を受けて荷役作業に従事しました。東洋運輸は、労働者の安全確保や労働環境の改善にも努め、労働者の定着を図りました。

4. **宇徳株式会社 (Utokyo Co., Ltd.)**
宇徳株式会社は1890年に横浜で創業し、港湾荷役業務を開始しました。当初は、輸入貨物の荷下ろしを主に行っており、手作業が中心でした。宇徳は、港湾周辺の労働市場で日雇い労働者を募集し、労働力を確保していました。また、地元の労働組合や仲介業者とも連携し、必要な人足を安定的に確保するための体制を整えました。労働者は日々の雇用契約を結び、一定の賃金を支払われて荷役作業に従事しました。宇徳は、労働者の安全と健康に配慮し、労働環境の改善にも努めました。

5. **丸全昭和運輸株式会社 (Maruzen Showa Unyu Co., Ltd.)**
丸全昭和運輸株式会社は1937年に設立され、東京港と横浜港を拠点に港湾荷役業務を行っていました。創業当初は、手作業による荷役作業が主流であり、多くの人足が必要でした。丸全昭和運輸は、港湾周辺の労働市場で日雇い労働者を募集し、地元の労働組合や仲介業者とも連携して労働力を確保していました。労働者は朝早くから港湾に集まり、荷役作業に従事しました。丸全昭和運輸は、労働者の安全確保や労働環境の改善に努め、労働者の定着と安定的な労働力の確保を図りました。

これらの企業は、それぞれの創業当初において、手作業による港湾荷役業務を行い、必要な人足を確保するために地元の労働市場や労働組合、仲介業者と連携していました。また、労働者の福利厚生や労働環境の改善にも努めることで、安定した労働力を確保していました。

港湾運送事業者と暴力団の結び付き

日本の港湾運送事業者と暴力団との結びつきについては、歴史的に複雑な背景があります。以下は、一般的な状況と結びつきを述べるものであり、特定の企業についての詳細な事実や証拠に基づくものではありません。

### 一般的な背景と結びつき

戦後の日本において、港湾労働は非常に過酷で危険なものでした。多くの労働者が日雇いで働き、労働条件も厳しいものでした。こうした状況下で、労働者をまとめ上げるために、しばしば暴力団が介在しました。暴力団は、労働者の仲介や管理を行うことで、港湾運送事業者と結びつくことがありました。

### 具体的な結びつきの例

1. **労働者の供給と管理**
暴力団は、日雇い労働者を集め、彼らの労働を管理する役割を果たすことがありました。これにより、港湾運送事業者は必要な労働力を安定的に確保することができました。暴力団は労働者から手数料を徴収し、労働者を統制することで、港湾での労働力の供給を実質的にコントロールしていました。

2. **労働紛争の解決**
港湾労働はしばしば過酷な労働条件や低賃金を巡って紛争が起こることがありました。暴力団はこうした紛争の調停役を果たし、事業者と労働者の間の問題を解決することがありました。これにより、事業者は労働紛争の迅速な解決を図り、業務の円滑化を図ることができました。

3. **セキュリティの提供**
暴力団は、港湾地域での安全保障や保護を提供する役割を担うことがありました。これにより、港湾運送事業者は貨物や施設の安全を確保し、不測の事態に対する防御策を講じることができました。

### 業績向上への影響

これらの結びつきにより、港湾運送事業者は以下のような利益を享受することができました:

1. **安定した労働力の確保**
労働者の確保と管理が容易になり、労働力不足による業務停滞を防ぐことができました。

2. **労働紛争の迅速な解決**
労働紛争が迅速に解決されることで、業務の中断や遅延が最小限に抑えられました。

3. **セキュリティの強化**
暴力団による保護により、港湾での犯罪や不測の事態が減少し、事業の安定運営が可能となりました。

### 現代の状況

現在では、暴力団との結びつきは法的に厳しく取り締まられており、多くの企業はコンプライアンスの徹底を図っています。暴力団排除条例などにより、港湾運送事業者と暴力団との関係は厳しく規制されており、違法な結びつきは減少しています。

このように、港湾運送事業者と暴力団との歴史的な結びつきは、過去の労働環境や社会状況に起因するものであり、現代では法的規制のもとで改善が進んでいます。

特定の事業者について詳しく

上組株式会社と山口組との関係について、以下の内容を詳しく記述します。

### 背景

上組株式会社は、1867年に神戸で創業された港湾運送事業者です。神戸港を拠点に、港湾荷役業務を中心に事業を展開してきました。一方、山口組は1915年に神戸で設立された日本最大の暴力団です。戦後の混乱期から高度経済成長期にかけて、山口組は神戸を中心に勢力を拡大していきました。

### 上組と山口組の関係

1. **労働力の供給と管理**
戦後、港湾労働は非常に過酷なもので、多くの労働者が日雇いで働いていました。上組は、必要な労働力を確保するために、山口組を通じて労働者を集めることがありました。山口組は、港湾周辺で労働者を集め、これを上組に供給することで、労働者の仲介役を果たしていました。このような関係により、上組は安定的に労働力を確保することができました。

2. **労働紛争の解決**
港湾労働はしばしば厳しい労働条件や低賃金を巡って紛争が発生しました。山口組はこうした紛争の調停役を果たし、上組と労働者の間の問題を解決する役割を担いました。山口組の介入により、労働紛争が迅速に解決されることがあり、上組は業務の中断を最小限に抑えることができました。

3. **セキュリティの提供**
山口組は港湾地域での安全保障や保護を提供し、上組の事業運営を支援しました。これにより、港湾での犯罪やトラブルが減少し、上組は安心して業務を遂行することができました。山口組の影響力により、港湾での秩序が保たれたとされます。

### 業績向上への影響

これらの結びつきにより、上組は以下のような利益を享受しました:

1. **安定した労働力の確保**
山口組を通じて安定的に労働力を確保することで、港湾荷役業務の円滑な遂行が可能となりました。

2. **労働紛争の迅速な解決**
労働紛争が迅速に解決されることで、業務の中断や遅延が最小限に抑えられました。

3. **セキュリティの強化**
山口組による保護により、港湾での犯罪や不測の事態が減少し、事業の安定運営が可能となりました。

### 現代の状況

現在では、暴力団との結びつきは法的に厳しく取り締まられており、多くの企業はコンプライアンスの徹底を図っています。暴力団排除条例などにより、港湾運送事業者と暴力団との関係は厳しく規制されており、違法な結びつきは減少しています。上組もまた、現代の法的規制のもとで健全な経営を目指し、コンプライアンスの強化を進めています。

このように、上組と山口組の関係は、過去の社会状況や労働環境に起因するものであり、現代では法的規制のもとで改善が進んでいます。

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2024.06.25

『人生相談を哲学する』

日経木曜夕刊の明日への話題を連載している哲学者、森岡正博氏。反出生主義のエッセーなどが面白く、著書を手に取りました。

本書は朝日新聞の人生相談投稿コーナーの著者自身の回答を振り返り、さらに深く考察を加えることに挑戦している本です。


個々の相談は置いておいて、その深い回答から、いくつか考えさせられることがありました。


■ 愛

本書には「好き」の概念が登場しませんが、少し前から愛してるのと好きとの違いって何だろうと疑問に思っていました。本書で愛について触れられていたので、それをヒントに愛と好きの違いを僕なりに解釈。

愛:対象に幸せになってほしいと思うこと

好き:対象を手に入れたいと思うこと

このような解釈はどうでしょうか。違うという意見もたくさんありそうですが、現時点での僕の解釈です。ただし愛してるのは複雑な概念で、「自らの手によって」対象に幸せになってほしいというエゴイスティックな感情を持つことが多々あるのではないでしょうか。そうなると愛は暴力的な要素もはらんできます。自己中心的にならない愛の気持ちを持ちたいですね。


■ 嫉妬


自慢をすることはよくないこと。よく言われることだけど、つい。このことの本質はどこにあるんだろうと考えたとき「比較」という言葉が思い浮かびます。ネットでは、幸せになるためには他人と比較しないことみたいな感じで語られることもある「比較」です。


(1) 喜びを味わいたい

(2) 自分が優位であることの主張(マウント)

自慢の目的はこの2つでしょうか。(1)はよい自慢、(2)は悪い自慢に感じます。この差はどこにあるのか。なかなか難しいところですが、まずはマウントを取ることを戒めるところからでしょうか。


■ 手段


他人を自分の目的を達成するための手段として使わない。カントの有名な言葉らしく、どうやら高校倫理の教科書にあるものらしいです。この概念を知らなかったことは恥ずかしい。これが社会のルールであるなら、今までの生き方を悔い改めなければならない。過ぎ去ったことはともかく、これから先は肝に銘じて。自分の人生に関わる人に対し、ちゃんと愛を持って接することを心掛けることが大切なようだと学びました。


「哲学」という仰々しい分野の本書ですが、世間で生きていくための心構えを学ぶ本でした。思いもしない人生相談に、いい答えをしていただきました。

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2024.06.18

『星の子』

 いわゆる「宗教二世」である中学生が、生きづらいながらも家族とともに生きてゆく物語。


宗教にはまっている両親との距離感、宗教に対して白い目で見ている世間との距離感。主人公ちひろの宗教への思いを描かないまま、宗教に関わる周辺の出来事のみを無表情に描く文体が不気味である。今村夏子の悪意であり、醍醐味でもあるのだろう。


周囲から見て、明らかに不遇な状況を描く。主人公がその状況を不遇だと思ってるのか否か、作品中で答えを出さないところが悪意。何を正解として読めばいいか、まったくわからない。幸福にも不幸にも正解はないのだ。


読者は、友人や先生が主人公を救ってくれと祈りながら読み進める。しかし、そんなものは救いにならないのだ。学校生活を全否定された主人公の感想は「片思いは終わった」と、ずれにずれまくっている。最初から救いなんか求めていないんだと、はっとする。


この小説の終わり方がハッピーエンドなのかバッドエンドなのかもわからず、モヤモヤとしながらの読了となった。今村夏子の思惑通りにはまってしまっているのだろう。

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2024.06.16

荻窪

荻窪で歌林の会の東京歌会が開催されるので、その前に荻窪辺りを少し散策しました。

荻窪駅の少し南側を歩こうと思ったので、中央線荻窪駅まで行くのではなく、千歳烏山駅からバスに乗ることにしました。関東バス荻58系統という初めて乗るバスです。途中上高井戸一丁目から井の頭線高井戸駅までは環状8号線を通りますが、それ以外は狭い道路をかなり頑張って走ってるイメージです。

▼ 関東バス
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降りたのは荻窪二丁目。住宅街の中のバス停です。ここで降りた理由は地図アプリでこの歩道を見つけたから。

▼ 暗渠通路
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明らかに暗渠上の歩道なのですが、ここまで狭い水路をきちんと歩道として維持しているのが珍しいなと思います。歩いて行くと、水路合流地点だなあという場所もありました。

▼ 水路合流地点
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遠くには丘の上の建物的なものも見えますね。右側の工事中の部分は電源開発(J-POWER)の社宅跡地です。

▼工事現場横の暗渠通路からの遠景
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そのうち善福寺川にでます。橋の下にそこそこ大きな排水管があり、橋がかかるような道路も暗渠なんだなというのがわかります。

▼ 橋の下の排水管
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善福寺川から少し入ったところに工事中の公園があります。荻外荘(てきがいそう)という近衛文麿の旧宅。2024年12月を目標に復原工事が進行中です。

▼ 荻外荘の工事現場
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さらに住宅街を中に入っていったところ、少し斜面になっているところに「角川庭園」があります。こちらは角川書店創始者の角川源義の旧宅。杉並区の公園として開放されています。

▼ 前庭から旧邸
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▼ 芝生にネジバナです。手入れがよく行き届いているきれいな庭園です。
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▼ 書斎から庭園を望む
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ランチは近くのお蕎麦屋さん「玉川」で親子丼セット。ここは飲み屋としての性質のほうが強いでしょうか。お昼11時半頃でしたが、隣のテーブルでは飲み会をやっていました。

▼ 親子丼セット
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お昼ご飯を食べたあとは「大田黒公園」へ。音楽評論家の大田黒元雄氏の旧邸が杉並区の公園として開放されています。9000平米ほどの大きな屋敷跡地です。庭園内に高低があり、池泉回遊式庭園として立派に整備されています。たまに芝生開放があるようです。

▼ 入口のイチョウ並木
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▼ 園内の小川
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▼ 離れの洋館
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▼ 洋館の中からの景色
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大田黒公園を出て荻窪駅を目指しますが、またもや暗渠通路がありました。ここを歩いてみることに。塀から樹木が飛び出ていたり、なかなか味わい深い暗渠通路です。
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荻窪駅前に出てきました。歩道に設置してあるトランスボックスに俳句が。杉並区ちょっと頑張っているみたい。

▼ 俳句トランスボックス
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線路を超えて、北口側に出てきました。目的地に近づいたので、今日はこれまでです。歌会、がんばりましょう。

▼ 荻窪駅北口の光景
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