2025.12.06

テレビを買い替えた

テレビが故障。2017年に購入したDXアンテナ製の40インチ液晶テレビ。1〜2年くらい前から突然再起動するなど不調の予兆はあったのですが、月曜日にとうとう電源が入らなくなりました。リモコンで電源を入れると電源ランプが赤から青に変わり画面にロゴが表示されるのですが、5秒くらいで電源が切れてしまいます。おそらく、起動時の回路チェックでNGになっているのでしょう。メーカーのDXアンテナは親会社の船井電機に吸収されて、その後に船井電機は大型の経済事件で破産するという数奇な運命を辿るメーカーなので修理も大変でしょうから買い替えることにしました。

まずはネット通販を発注しましたが、失敗です。とりあえず手っ取り早く代品をとネット通販サイトを探しました。発注翌々日に届く40インチの製品があったので発注。故障品の廃棄の検討は後回しにすることに。ところが、発注翌日に販売店から一方的に注文がキャンセルに。ネットで販売店のことを調べたら、どうやらサイト上の在庫表示は手持ち在庫ではなく取り寄せ見込みで表示しているよう。他で品薄の商品をこの販売店がたまたま在庫を持っていると思い発注したのに、騙された感が高いです。

故障し廃棄するテレビの扱いも苦戦。届かないネット通販を待っている間にテレビの捨て方も調べましたが、家電リサイクル法の縛りが厳しくて、しかも消費者に優しくないことがわかってきました。経済産業省の正しい処分早わかり!というサイトがあるのですが、けっきょくそのサイトでは何もわかりません。このサイトに来る人は制度の理念を知りたいのではなくて処分の仕方を知りたがっていることを経済産業省さんには理解していただきたいです。処分は(1)新しい商品を買うお店で引き取ってもらう(2)処分品を買ったお店で引き取ってもらう(3)指定引取場所に直接持ち込む の選択肢があるのですが、ネット通販でテレビで買うと(1)(2)は困難だし(3)は自ら輸送手段を持っていないと現実的ではありません。幸い故障したテレビは家電量販店で買ったので、なんとか店舗に持ち込めば(2)の選択が可能であることまではわかりました。

結局、購入も廃棄も家電量販店実店舗に行くことにしました。週末には予定があるため、在宅勤務の水曜日の定時が過ぎた時に、やりかけの仕事を放置して家電量販店への訪問を決行。シェアカーを借りて故障したテレビを積んで、若葉台方面の家電量販店に。FireTVの動きがモッサリしていて使いにくかったことから息子がスマートテレビを希望。家電量販店でフルHD40インチの棚を見るとそれほど選択肢が多くないことから、Hiseinseの40インチスマートテレビに決めました。段ボールに「NETFLIX」「YouTube」「prime video」と書いてあるのでスマートテレビだと思われます。4万円弱の買い物を即決です。(安いか?) で、これを持って帰るので古いテレビの引取をお願いしますと店員にお願いし、リサイクル手続きへ。引き出しから伝票が出てきて、名前と電話番号を記入、DXアンテナは他より1,000円ほど高くなりますという謎ルールを告げられ、6,000円ほどの支払いをします。40,000円ほどの品物を捨てるのに6,000円の支払いをするのはなかなか比率的に大きいですね。でも無事に故障機を廃棄でき、新品が手に入りました。

家に帰って、テレビの設置。8年前の同サイズテレビに比べてだいぶ軽くなった感覚があります。スタンドが細くなって、置き方に制約が出てしまいますね。細いスタンドは製品重量を軽くするための工夫だそうです。自デジとCSのアンテナ、LANケーブル、HDDのUSB、ビデオデッキとSwitchのHDMI、電源コードを接続して設置完了。段ボールと発泡スチロールの廃棄が面倒ですが、配線系の作業はそれほど大変ではありませんでした。古いテレビを抜線して持ち出し、その場所にそのまま置いただけなので、そりゃ簡単ですよね。FireTV Stickが不要になった分の配線だけがスッキリしました。テレビ本体の重量はだいぶ軽くなったでしょうか。スピーカーからの音質もずいぶんと軽くなってしまったのが残念です。

外部接続関係の調整を行います。USB接続の外付けHDDはフォーマットのし直しに。録画されていたデータは全て消去されてしまいました。そういう仕様なんですかね?僕の場合は大事な録画が入っていたわけではないので問題にならなかったですが、テレビの交換の際は注意が必要です。新しいテレビにはBlueToothが搭載されているので、外付けスピーカーを接続してみました。しかし、タイムラグがあって映像を聴くのには適しませんでした。Amazon Echo(スマートスピーカー)との連携ができるとのことでしたがやり方がすぐに理解できず。スマートフォンのAlexaアプリでHisenseのスキルを追加して、そこからデバイスを追加するというやり方でした。電源ON/OFF、音量調整、自デジのチャンネル変更はEchoに話しかけることでできるので、少しだけ便利になりました。AirPlayはまだ試していません。便利なのでしょうか。NHK one、Prime Video、U-NEXTのアカウント設定はスマホで行います。Youtubeはログインしろとうるさく困っていたのですが、息子のが捨てアカウントを使えるとのことで、テレビのYoutube専用のアカウントを設定しました。

2時間くらいで設置から設定まで完了。40インチFullHDから40インチFullHDへの買い替えなので見た目は対して変更ありませんが、ネットサービスを利用するのにFireTVの操作を行わずテレビのリモコンだけで済むようになった利便性は大きそうです。

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2025.11.15

珈琲屋 黒子

多摩センターに行く用事があり、せっかくだから近くを少しだけ散歩をしようかとGoogleMapを眺めていたら、永山駅と多摩センター駅の間くらい、買取大通りの近くにGoogleMapの評価が高い喫茶店があることに気づきました。なんでこんな中途半端なところに高評価の喫茶店?と疑問に思い、向かうことに。永山駅からこぐま保育園→デニーズ→北貝取小学校跡の経路で、貝取北センター(エステート貝取団地にある団地内商店街)まで、徒歩25分くらいです。11月中旬の晴れの日で、散歩にはちょうどいいくらいの気候と距離でよかったです。
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目的の喫茶店があるのは↑こんなところ。団地内商店街です。こういうところにあるのは福祉事業所のカフェだったりすることが多く、今回もそのような店舗を想像していましたが、店舗の外観はこんな感じでした。
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かなりおしゃれです。都会にある、本気のこだわりカフェっぽい店構え。店外にあるメニューを見ると、珈琲は10種類くらいのブレンド(いくつかはシングルオリジンかも)のホットコーヒーをドリップコーヒーで提供する、かなり気合の入った喫茶店です。デザートも最低限、珈琲だけで勝負している、ガチな感じです。このなかから「金獅子」をいただきました。ほわっと口の中に柔らかさが広がる、不思議な味覚の珈琲です。コーヒーの中のまろやかさだけ取り出したような感覚。こんな感覚のコーヒーは初めてかもしれません。これは、他の種類も試してみたいところ。

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駅から離れた団地の中という場所にも関わらず、店内は満席に近く、ひっきりなしにお客さんが訪れていました。素敵な喫茶店を見つけることができました。

珈琲屋 黒子

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『宝島』真藤順丈

沖縄の人が、終戦から本土復帰までの米軍占領時代に何を思い、どのように生きてきたのか。戦果アギヤーと呼ばれた米軍用品窃盗軍団の若者の視点から描いた小説です。日本人は沖縄人を犠牲にして沖縄を米軍に明け渡し、米軍は沖縄人を蔑んで凌辱して苦しめる。この状況を帰るために、自分達は放棄しなければいけないという観念に囚われ、暑い血を滾らせます。
単なるヤクザ映画ではなく、沖縄人の日本人・米軍人に対する猜疑心を絡ませて感情を複雑に描いたことが実験的でもあり、重層的でもある作品に仕上がっています。彼らにとっての英雄とは、何を解決してくれる人物なのか。そして、安全な場所でぬくぬくとしているのでは英雄になれない、英雄になるには自ら危険な場所に飛び込んでいかなければいけない焦りが原動力のハードボイルド系の楽しみも味わえる作品でした。
いろんな思いが、コザ騒動に向かっていくのだという前知識はありながらの読書(聴書?)でしたが、徐々に時代がコザ騒動に近づいていく緊張感をもって聴き続ける感覚も面白かったです。
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講談社文庫サイト

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2025.11.09

『サイコパスから見た世界』デイヴィッド・ギレスピー著/栗木さつき訳

以前の職場で、サイコパスへの対応に苦労したことが何度かあります。最も苦労したのは従来から悪名高い従業員の異動受け入れがあったことです。産休・育休明けの社員復帰を産休前の部署が要員充足を理由に断ったことから悲劇が始まりました。復職を断る本当の理由がその社員の扱いが面倒だからというのは誰の目にも明らかでしたが、人事が元職場での復職謝絶を受け入れて僕の職場への復職を決めてしまいました。これで、僕の苦悩が決まってしまいました。わがままなシフト希望や仕事の選り好みなど、職場での彼女の振る舞いは目に余るものがありました。他の従業員とのバランス(当時は育児中の女性への支援策に対する独身中高年女性の反発も強かったこともありましたが)を取るために彼女の希望を断ることも多々でしたが、僕の不在時に部署やフロアで大声で僕への不満を言い回っていると周囲から報告を受けました。(彼女は本書のジャスミンほど狡猾ではなく直属の上司である僕と課内くらいにしか視野が広がっていなかったのではないかと思います。)彼女に関するエピソードは尽きず、彼女への対応で僕は精神的にかなり衰弱してしまいました。同時期に他の従業員の疾患、休職もあり、被害は僕だけでなかったと言えるでしょう。対応策に困った僕が人事に相談するも、部署内で対処すべき問題であり、会社としては関与しない、カウンセリングの提供なども行わないとの一本槍で逃走の姿勢を崩しませんでした。そうして、事態は改善することなく時間ばかりが過ぎていきました。最終的に人事は問題を解消することでの対応ではなく、問題が発生する場所を変えるだけの対応を取り、僕はこの問題への対処から逃れることができました。この頃はサイコパスとはそもそも関わるるべきでないという知識もなく、上司である以上はこの問題に取り組まざるを得ないという責任を感じていました。本書を読んでから当時のことを思い起こすと、当時の対応がよくなかったことがわかります。こうなったら会社のためとか周囲のためとかは放っておき、自らの身を守ることを最優先に考えなければならなかったのですね。決定的なのは、サイコパスは決して治ることがないということ。僕は決して治らないものに対して改善の幻想を見ていました。本書に書いてある内容を予め知っていれば、当時の僕の対応は大きく変わっていたことでしょう。
別視点で本書で考えさせられたことがあります。こちらは自分自身のこと。本当は、自分には人に共感する能力なんて持っていなくて、共感すべき状況と共感の仕方を後天的に学んだだけではないかということ。実は自分はサイコパスなんだけど、そうであると社会生活に不便が生じることを過去に学んでいて(本書に出てくる本物のサイコパスはそんな学びをすることはできませんが)、単に学んだ通りに反応することで本当の自分を隠して生きているような気がして怖く感じてしまいました。本書を読んだ他の人たちは、この視点ではどのように思っているのかがとても気になります。
ところで、著者はかなりドナルド・トランプ嫌いですね。「そのウソのなかには〜メラニア・トランプは史上もっとも人気のあるファースト・レディである、などが含まれる」という文章に吹きそうになってしまいそうでした。そこは主観的な要素が大きく、それをウソと断言するのは相当トランプ嫌いじゃないとできないですよね。
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Little Black Dog (リトル・ブラック・ドッグ)

飲食店が次々と閉店してしまったはるひ野駅入口交差点付近ですが、ドミノピザ跡地に「LBD」という看板が掛かっていることに気付きました。
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線路側の駐車場から見たところ飲食店のようですが、まだ詳細はわかりません。店内のほとんどが厨房だったドミノとは違い客席に広くスペースをとっているようです。駐車場、線路に向けて開放的な店内だと想像します。南面が都県道に接していて日光の遮光のために道路側が壁になっているこの建物の構造をどのように克服するかに興味がありますが、飲食店に期待していたので繁盛してほしいです。
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求人広告では火曜定休の8:30〜21:00のシフト制勤務時間で「アメリカン・スタイルの朝食、サンドイッチ、 肉料理など」「客席40席」だそうです。

▼ 2025/11/9 13:20追記

再度店舗の様子を見に行ったところ、店内から店主さんが出てきて挨拶されました。何ができるのかお聞きしたところ、アメリカンスタイルのレストランで牛・豚・鳥の肉料理を提供するほか、サンドイッチ、アメリカンスタイルの朝食(ウインナやソーセージ+卵料理)とのこと。営業時間は先の8時30分〜21時(上掲の勤務時間と同じですね。)とのこと。店内に招き入れてくださり、店内の様子も拝見できました。4人がけ丸テーブルが7卓、4人がけカウンターテーブルが2卓、4人がけソファ席が1卓の40席構成です。店内中央には大型モニターをせっち。スポーツ観戦などの用途を検討されているとことです。店内の写真を撮影していいですか?とお聞きしたところ、わざわざ照明まで点けて撮影許可をいただきました。

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大きな窓の前に電車が通ることを店主は気にされているようですが、たまに電車が通ることは景色のいいアクセントになると、僕は思います。お子さまたちも喜びそうですしね。

来週か再来週にオープン見込みとのこと。開店が楽しみです。


Little Black Dog 川崎市麻生区黒川815-2

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2025.11.02

『ひとつの机、ふたつの制服』

進学校の受験に失敗して、進学校の夜間部に通うことになった女子高校生。全日部の同級生と友達になるものの、常について回る劣等感との付き合い方を描いた映画です。ニコールキッドマンも、裕福な家庭で育ち全日制に通う友達も、手の届かないところにいるのか。母子家庭で貧困、母親の微妙な価値観が、エリート層から取り残されている感覚をより増幅させます。現代でなく、90年代後半の台湾という時代設定もいい。現実感と非現実感のちょうどよい混ざり具合でした。東洋的な競争社会は熾烈だけど、それぞれが苦難を乗り越えられればみんなに幸せが訪れる期待。

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2025.10.31

屋形船に乗った

昼休みに晴海運河沿いを歩くと、よく屋形船を見かけます。いつもは陸上から見る運河や隅田川だけど、船上で杯を傾けながら感じるよさそうと、うらやましく思いながら見ていました。先日、屋形船での宴会の機会がありました。職場に委託先として来ていた人の契約切れに伴う送別会。そこそこ高い会費での参加者募集でしたが、さっそく手を上げました。18時30分に晴海乗船場(朝潮運河乗船場)を出航。まずは佃水門、相生橋を通って隅田川。様々な立派な鉄橋をくぐって浅草まで遡上。スカイツリー脇でいったん停泊です。屋形船の屋根に登り、スカイツリーを堪能。下流方向はライトアップされた橋梁が重なって見えて、水面近くにいる景色の醍醐味です。スペーシアがゆっくり隅田川を渡っていく様子を眺め、特急の座席から見る屋形船ってどんなだろうと思いを馳せます。下流方面に。しばらく宴で外の景色を忘れていましたが、住吉水門で佃・月島地区に近付いていることに気付きました。月島水門越しに見えるオフィスビル、勝鬨橋など見慣れた場所を違う角度から見れて、興奮です。豊海を過ぎると、海。晴海信号所の「F」点滅が輝いています。船は台場沖に。ここは屋形船停泊の定番の場所になっているらしく、たくさんの屋形船の中のひとつとなって佇みます。酔った顔に秋の夜の風。東京港内とは言え、海の風は心地よいです。台場を出港するとまもなく晴海。宴も船も、楽しい時間でした。

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2025.10.26

『運慶 祈りの空間 - 興福寺北円堂』

東京国立博物館で開催されている運慶展に行ってきました。タイトルに人気仏師の運慶を押し出していますが、弥勒如来坐像の修理完成を機会に北円堂3像と四天王像の展覧会、受けを狙わなかったら興福寺北円堂がメインタイトルになっていたはずの展覧会です。

北円堂の本尊の弥勒如来、脇仏の位置にある無著(むじゃく)菩薩と世親(せしん)菩薩、四天王立像のいずれも国宝の7体だけの、かなり割り切った展覧会です。八角系の北円堂の内部を模して弥勒・無著・世親を中央に置き、四方に四天王を置く大胆なレイアウト。東京に居ながら、空間を満喫できる展示でした。そして、各像を四方どの角度からでも鑑賞できる、弥勒に至っては後背すら取り外した状態での展示で全方位から観客が取り囲みます。少し遠巻きに、観客が像を囲んで見惚れるのを見るのも面白かったり。

四天王は想像以上に肉付きがよい。広目天や多聞天はひねった腰の余分な脂肪が浮いているところまで表現されています。そんな豊かな身体付きの四天王ですが、手の描写が力強い。握手したらこちらが潰されてしまいそうな固そうな指と、手の甲に浮き出た血管。多聞天の宝塔だけを見つめる視線。たった一つのものを全力で守る意気が伝わります。

中央に配置された弥勒如来は四天王に比べて圧倒的に穏やか。56億7千万年の悟りののちの表情は誰も敵いません。指もしなやか。ただ黙ってこの印相で守ってもらいたい。そう思わせる運慶の作品をすてきな空間で楽しみました。


東京国立博物館

https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2706

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2025.10.25

『秒速5センチメートル』

新海誠アニメ映画の実写版。たまには青春映画を観たいなと思っていた僕の心に直球で刺さりました。大人になって振り返る青春は活動的で心躍る輝かしいもの。しかし青春の当人たちの心は不安で溢れている。そんな不安の中で交わした約束は輪郭を失い花弁と雪の区別すら付かなくなって秒速5センチメートルで舞い降りるのです。
IT土方プログラマとして働いていたままだったら、貴樹はちゃんとした大人だったのでしょうか。新しい環境に移り、明里が期待している大人になったんだろうな。みんな、自分の居場所がわからず彷徨っていても、いつかは自分の居場所を見つけられる。そんな希望を持ってもいいのではないだろうかと映画を見て感じました。
桜の参宮橋公園と雪の岩舟駅。新海流の「エモい」風景は実写版でも期待通りにエモく表現してくれててうれしかったです。参宮橋公園、代々木八幡宮、新宿公園と新宿勤務時代によく寄った場所が多く映り、ロケ地も気になる映画でした。そして、ラストシーンの参宮橋3号踏切のシーンは、新海誠の別の作品からの引用ですね。そんなずるいことする?(電柱の看板「春の小川」が気になってラストシーンどころではなくなりそうでしたけど。)
実写版秒速5センチメートル

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2025.10.24

『青い壺』有吉佐和子

偶然のように焼き上がった青磁の経筒。勝ちがあるのかないのか不安定な状態で、人から人へ渡ってゆく。時に愛でられ、時に見捨てられ、時に疎まれて。これは青磁の経筒の壺だけでなく、人生にも言えることではないでしょうか。輝く時もあれば色褪せて埃を被って奥に仕舞い込まれてしまうこともある。青磁の経筒は時折り見出され表舞台に姿を現しますが、人生は一度奥に仕舞われてしまうと、表に現れる機会は訪れません。この小説は、そんな日陰になってしまった人生を冷酷に表現しています。特に、戦後という時代背景を用いて没落する資産家を描いた様子が、いやらしい。このいやらしさが有吉佐和子の文章の醍醐味でもあります。青い壺を通して様々な日陰の残酷な人生の影を有吉佐和子の文章で楽しんでもらいたいです。そして、ハンカチ落としのような青い壺を次に受け取るのは、あなたかもしれない。Tempimaget88kqb

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