広告関係のクリエイターたちの、プレゼンにまつわる小話集と言ったところでしょうか。ちょっと自慢げに実績が取り混ぜられているのも、カッコイイ系の仕事をしている方々のご愛嬌ということで。
たくさんの人の文章が載っていますが、概ね共通している筋は、
1. 競合プレゼンは嫌い
2. プレゼンは、自分サイズで。(誇張・PowerPointは嫌い)
3. 広告枠を欲しいからプレゼンするんじゃなく、クライアントの製品を売れるようにしたいからプレゼンする。
といったところでしょうか。
この本を読んでいると、競合プレゼンはかなりひどいことのように書かれています。確かに、競合プレゼンを行わず、常に特命で広告を発注するのだったら、広告展開も過去-現在-未来通して筋の通ったものになるでしょうし、発注担当者も製作者のクセや考え方を理解した上で発注できるので、同じ労力でより実のある作品を作り上げることができます。
しかし、この本で費用のことが取り上げられていないことが気になります。費用は発注者の最大関心事ですが、特命発注だと、その発注費用が適正価格なのか否か、判断できません。この本に寄稿しているクリエイターたちは自分達が特命受注した案件に対して提示する対価は適正だと思っているでしょうが、発注者はどうも価格が膨らみすぎているのでは…と、思っていることでしょう。
ただ、競合プレゼンがクリエイターに過大な負担をかけ、トータルで見ると(クリエイターが真に良心的であった場合)広告単価が上がってしまうという費用面でのデメリットも、あることは事実でしょう。
私は広告業界で働いているわけではありませんが、でもこのことと同様のジレンマは自分の仕事で抱えています。特命発注・競合プレゼンの他に、発注先とのさらによい関係の持ち方があるのかもしれません。(一番いいのが、発注先が真に良心的である場合の特命発注なのですが)
最近、プレゼンというものをしていませんね。以前の職場では、案件の承認をもらうのに社内プレゼンを行って、部長や役員に投資を納得してもらわなければいけませんでしたが、今の職場ではなぜだかそういうことなしに案件が進んでいきます。
以前の職場の頃はまだみんながPowerPointを使っているという状況ではなく、PowerPointでプレゼン資料を作って役員に持っていったりするとやたら受けがよかったのを覚えています。今はプレゼン資料を作成することもなく、会社の自分のパソコンにはPowerPointがインストールすらされていません。
ただし、プレゼンを受けることは相変わらず多いですね。そのときは間違いなくPowerPointです。A4版めいっぱいにカラーレーザーで印刷した資料を数十枚渡されてのプレゼンです。しかも、渡された資料と同じものを、プロジェクターで投影します。PowerPointは見た目を圧倒する力はありますが、非常に情報密度が少ない資料形態でもあります。正直、30枚のPowerPointでも、自分の知りたい情報はWordでA4版1枚に収まることが多いです。プロジェクターで投影するのはPowerPointで、手元資料はWordでなんてプレゼンになってくれないでしょうかね。
書評とか言いながら、とちゅうからは愚痴モードでした。失礼いたしました m(__)m
ひとつ上のプレゼン。/眞木準/インプレス/ISBN4844320807