『建築を読む』
建築を題材にした随筆です。近代建築への回顧思想が強く、現代建築(特に大規模建造物)をこき下ろす論調です。
今の日本の社会において、建築は経済行為に他なりません。デザインは集客のため。資産効率を上げるために、所与の条件内で床面積を最大にするのは当然。このように、建築が資本主義の環境に置かれている、ということが、著者は気に食わないらしいです。
巻末近くで、横浜の関内が取り上げられていました。この地は、明治から昭和まで文化の入り口だった場所。著者の語る横浜は根岸線開通前の、桜木町が終点だった時代。その時代のことはわかりませんが、僕が南仲通で勤めていた1998年〜2002年の4年半でも、関内の街は大きく変わりました。赤レンガやらなんやらの完成もありますが、街を見ていて寂しかったのが、関内オフィス街にマンションが出来始めたこと。すでに、オフィスとしての価値を、関内の街は失ってしまっていることを見せつけられてしまいました。
私が新宿に通うようになってからも横浜は変化中。みなとみらい線開通が大きいですね。もう、古き良き横浜を見ることはできないでしょうが、新たな価値を身につけた街に成長してもらいたいです。
建築を読む アーバンランドスケープ Tokyo-Yokohama / 梅本洋一 / 青土社 / ISBN4791763092
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