『港都横浜の誕生』
幕末期に鎖国を解き欧米との貿易が始まった頃の横浜港の経緯を書いた新書です。
アメリカに対し神奈川開港を約束しながら半ば強引に横浜港を築いていった様子が説明されています。横浜の造営がかなり博打に近い賭けだったことがわかります。とにかく作っておいて既成事実化するという手段です。
宿場として栄えていた神奈川に対し小さな農漁村だった横浜。元の住民を追い出して全くの白紙から街を造営できた、幕府にとって都合のいい場所だったわけなんですね。でも、重機のない江戸時代に短期間でこれだけの街を作り上げたのには感服です。
後半は、横浜港での貿易事情。上州、信州の養蚕がいかに横浜を支えていったかがわかります。八王子、原町田なんかもその生糸で栄えていますから、この時代の生糸パワーは恐るべしです。
最後に、不平等条約や英仏軍駐留に触れられています。山手への軍隊の駐留というのはなかなかイメージがわきませんが、最近まで本牧に米軍住宅が合ったことなんかをみても、軍事拠点としての横浜という面も持ち続けることになるのですね。
私は4年ほど横浜・関内で働いていたので、あの地が出来上がっていく様子を描く本書に感慨を覚えました。
港都横浜の誕生 / 石井孝 / 有隣堂 / ISBNなし
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