八日目の蟬
永作博美主演で公開された映画の原作です。公開映画原作本は書店の目立つところに平積みされるので、つい手に取ってしまいます。
恋人の赤ん坊を誘拐して、逃亡生活を送るというストーリー。
常に綱渡り、背水の状態で生き抜いていかなければいけません。誘拐した赤ん坊と一緒にいたい一心で生き延びていく希和子の姿に、ハラハラさせられます。
人の行為によって、自分の人生を大きく変えられてしまう。そうした時に、何を受け入れてその後を生きていくのか。そういうことを考えさせられます。恋人に捨てられた希和子、我が子を誘拐された両親、誘拐された赤ん坊…その他、他人の所業により大きくゆがめられた人物が数多く登場し、人生がぶつかり合います。
そういうことがあって今の自分の人生と受け入れられるか、本来の自分の人生はこうであるべきはずだったと考えるか。本当の自分をどこに求めるかという価値観を、この小説で突き付けられます。
この小説、未解決のままの疑問が残る部分があります。作者の意図でしょうか。実は、小説の中に答えが書いてあったのを見逃していたのか…
救われて終わる登場人物、救われないで終わる登場人物。こうやって重さを残して小説を終わらせてしまうのは、角田光代の持ち味なんでしょうね。
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