『組織の失敗学』
日経BPのサイト「IT Pro」で紹介されていた本です。サイトで危機管理について、精神論ではない現実的な問題提示がされているので気になって手に取りました。
本書の冒頭辺りから「感情論では危機管理はできない」なんて記述があり、まさしくと納得します。危機管理を気合で乗り切るのは非科学的だし、何らかの事故が発生した際に担当者の気が緩んでいるせいにしたところで仕方がありません。マスコミなんかは精神論で語るのが大好きで、それによって様々な事象の本質を覆い隠していますね。
そういう精神論や感情論を排して、実際に起きた事故やヒヤリハットを冷静かつ客観的に評価することは事故防止には必須です。そのための事例が本書では平易に簡潔に、しかもポイントを押さえて記述されていて勉強になりました。
「失敗しないようにするには、決断しないことが一番である。」なんてことも書かれていました。本書にも書かれていますが、リスクを取らないことが組織にとっては最大のリスクなんですが、減点主義が主流の社会にあって各個人にとっての最大利得戦略は「何もしない」のが現実なんですよね…。チャレンジする者に報いる社会はいつ訪れるのか。
トップこそ最前線での陣頭指揮を。これが世間受けしやすいしマスコミでも賞賛されるのですが、危機管理上はNGであることが示されています。蒲生氏郷(先頭に立って戦う武将)と織田信長(本陣の安全なところで戦略を指揮する武将)の例も挙げています。でも実際には賞賛されるべきトップ像をマスコミが勝手に作り上げているので、もはや織田信長型のトップを戴くのは難しくなっているんでしょうね。
本旨とは若干逸れますがサトー3行提案の紹介で「127文字の分量で…社員の文章力は自然に向上する。」なんて文言が気になりました。ツイッターで文章力が向上したようにはとても思えないので。
あと「閉店の3条件」
・店員の声が小さい
・店員が私語をする
・店の掃除ができていない
なんかも本旨とは関係ないけど覚えときましょう。ただし掃除をすれば店がよくなるってわけではなく、店員が掃除をするような店舗環境が店舗継続には必要で、声の大きさ、私語、掃除は店舗活性の現象面でしかないってことを忘れないように。
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