『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
大ヒットしている、村上春樹の新しい小説です。半歩遅れながら書店入口の山積み平置きから手に取りました。
青春時代の回想、こじらせた哲学、胡散臭く高い教養、大げさな比喩。春樹ワールドをストレートに楽しめる小説に仕上がっています。
恵まれた経済環境と恵まれた知性により深い思考を持ってしまい、世間一般との拒絶感に繋がってしまうというのが村上春樹のパターンで、そういうのがかっこいいよなと思えるような書き方をうまく通しています。
衝撃的な事件と、日常のなんでもない出来事を並列で同等に扱ってシニカルさを醸成する技術もすごい。
冷めて読んでしまうとあまりに香ばしいいので、この小説はキチンと春樹ワールドに浸って読む必要があります。存分に春樹ワールドを楽しんでください。
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