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2013.09.05

『労働組合運動とはなにか-絆のある働き方をもとめて』


近年の労働形態の正規/非正規の分類で、労働組合=正規労働者の利権維持組織のイメージが強くなっていると感じています。強者の寄り合いであったり、既得権益保護であったり、かなり悪いイメージです。じゃ、そもそもの労働組合とは?と思って手に取った本です。

この本では、最初に労働組合に関する基本的知識、次に欧米での労働組合の歴史、そして日本での労働組合の歴史が語られています。

このあたりを読んでいると、筆者が労働組合に求めているのは労使闘争のための組合だという感想を持ちました。そして、労働の価値いかんに関わらず企業や社会が生活保障をするべきであるという論調です。

労働者は成果による報酬や昇進を求めてはおらず、平凡で単調な仕事で平凡に生活することを求めている、というのがこの本の根本にある思想です。近年の、インセンティブによる労働価値の向上を求める労使関係は否定されています。もう、ここが私の考えと全く違い、この本全体が受け入れ難く感じてしまいました。

本書の後半になるとその思想はより濃く反映されていきます。成果を得た労働者は成果を得ることができなかった労働者を守るため身銭を切るべきだという理論にまで展開されています。こういうのはさすがに労働運動で行なうものではなく、公共(すなわち税と社会福祉)での再分配で実現するべきものだろうと思うのです。

でも、バブル以前の業界横並び、護送船団、産別労組といった体制は著者の思う社会主義的な体制に近いものがあり、それゆえ近年の自由主義的な風潮を危機と捉えているのでしょう。

実際、自由主義的な風潮に疲れてきている労働者も多く感じます。この風潮を打破するのが労働組合なのか別の手段なのかはわかりませんし、そもそも打破する必要があるものかもわかりません。でも、著者の主張も世の中の主張のうちで大事なものだとは感じておきましょう。

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