『熔ける』
バカラ賭博で会社から100億円の借り入れを行なって有罪になった大王製紙の井川意高元社長の自伝的な本です。本書のサブタイトルには「大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」とあります。
前半は大王製紙という大会社の若い経営者として、どう仕事に取り組んできたかに紙幅を割いています。大会社の経営者として、かなりキチンとした経営を行なってきたという自負があるのだということがわかります。家庭用紙事業の立て直しのあたりは、経営書としてもなかなか面白い。紙おむつブランドの「フレンド」から「GOO.N」への転換などは、マーケティングの視点でもっと詳しく分析している資料があっても楽しいかもしれない。
六本木・麻布での交友録は、あまりうまく書けているとは思えないという印象。この文章では、けっきょくは「俺は有名人と飲んでるんだぜ」という自慢話にしかならない。週刊誌などでバッシングされたことに対する弁明なんだろうけど、成功しているとは思えないです。
そして、バカラ賭博へ嵌まっていくシーン。カジノという場所の特殊性と、いかに客を高揚させる場が作られているのかということがわかります。非常に紳士的に作ってある魔物の巣窟という印象です。特別待遇を受けている心地よさがうまく利用し、金銭感覚を麻痺させるようになっているのですね。
カードの現金化の話題もチラリと。結局ダイナースのブラックとアメックスのチタンは停止させられたようですけど、そりゃぁ現金化に使っちゃったらなぁ。
一般人には体験できない、大会社のコントロールとカジノでのVIP待遇。それを自身の体験談としてまとめられているので、なかなか読み応えのある本でした。
| 固定リンク


コメント