『組織設計のマネジメント』
組織論関係の読書が続いています。
今回のはやや古く、2002年に書かれたものです。
本書では、まず組織デザインにおける「スターモデル」を提唱しています。「戦略」「構造」「プロセス」「リウォード」「人材」の5つを組織デザインの際に考慮すべき要員のチェックリストとしています。
スターモデルをふまえた上で、専門化・組織の形状・パワーの配分・部門の設定という組織の構成要件を設計していきます。
その「専門化」のなかで気になった部分があるので引用します。
(単純な低レベルのタスク以外の)低いレベルから中庸レベルのスキルが求められる職位では、調整のスピードと容易さを高めるために、できるだけ専門化の度合いを減らし、ローテーションを増やす方向に向かっている。一方、高度のスキルが求められる職位では、深い知識の活用を促すために専門化の度を深める方向に動いている。(p.22)
人材の専門化の度合いをどう設計するかというのは、企業の組織設計でもかなり悩むところだと思います。人材を特定業務に専門化させ集中させたほうが、当該特定業務ミクロ視点での効率は上がります。しかし、業務を細分化し人材を狭い分野に固定化すると、コミュニケーションの増大を招きマクロ視点での非効率となってしまいます。企業が特定業務のスペシャリストを養成するか、多能スキルを備えたゼネラリストを養成するか、その各々の業務の特性や企業の業種・規模・業界におけるポジション・企業の戦略と合わせて考慮しなければいけないのだと思います。
第4章では横断的プロセスについて解説がなされています。企業内の業務は、機能別組織・製品別組織・顧客別組織・地域別組織のいずれの形態を取ろうとも、組織横断的な業務が発生したり、予め定めた組織の権限と責任にうまく当てはまらない事象が生じたりしがちです。そういうことが起こらないように相当厳密に組織の権限と責任を設計するのは一つの手段ですが、そうすると組織活動の柔軟性を失ってしまいます。
ここで、何らかの「横断的プロセス」が必要とされます。本書では横断的プロセスを、自発的・eコーディネーション・公式的グループ・インテグレーター・マトリックス組織と5つの類型を挙げ、最初に挙げたものがよりマネジメントの時間と困難度が低く、後ろにいくほど高いと紹介しています。企業活動においては現実的にはこの類型のいずれか(に近い)横断的プロセスを用いて、組織間協業で事象を解決していかなければなりません。適時適切な横断的プロセスを起動させることができる仕掛けをどう盛り込むかが、組織デザインや人材育成プランを設計する上で重要だと学びました。
本書の後半は顧客重視の組織設計やバーチャル組織といった比較的汎用性の低い、流行りの組織形態が紹介されています。このあたりは読み物として。
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