『反逆』
荒木村重の有岡城の戦いがどう描かれるのか興味を持って今クールの大河ドラマ「軍師 勘兵衛」を観ているのですが、主人公は当然有岡城の荒木村重ではなく姫路城の黒田孝高です。やはり荒木村重中心の物語に触れてみたいと、中古本を探し、遠藤周作の戦国ものを購入。
本書は、摂津の豪族であった荒木村重が織田信長の家臣になるところから始まり、荒木村重の謀反(有岡城の戦い)、明智光秀の謀反(本能寺の変)、信長没後の羽柴秀吉と柴田勝家の覇権争い(賤ヶ岳の戦い)までを描いています。
信長の強権的な支配拡大の戦略と、そのやり方に潜む家臣の不満・恐れが有岡城であり、本能寺であるのだということがよく掴めます。
本書は小説というよりも、歴史文献に記載されている事実を繋ぎ合わせ一つのストーリーに仕上げているという体裁です。途中途中で遠藤周作による解説が入っていて、純粋に小説として読むことはできません。ずいぶんと古い文章に感じたのですが、新聞連載が1988年頃ですから、そんなに古いものではないのですね。
荒木村重は有岡城主で信長方に攻められたと小学校の頃に習っていたので、伊丹地方の小豪族程度にしか認識していませんでした。しかし、こうやって歴史小説を読むと、池田城家臣からスタートして摂津一国を治める有力戦国大名になっていたということを知りました。小学校の先生たちは、荒木村重を過小評価しているなぁ。謀反ののちに一族を捨てて逃げ延びた卑怯な武将であるとの評価が強い村重ですが、この小説によると家臣のために危険を冒し備中に向かったとの表現。歴史の評価が視点によりまちまちだなと感じました。
で、今夜のNHK大河ドラマではようやく有岡城の戦いが描かれますが、村重はどのように描かれるでしょうか。
| 固定リンク
コメント