『なぜ貧しい国はなくならないのか』
開発経済学というジャンルだそうです。発展途上国の貧困を減らすための処方箋を考える学問。
著者は発展途上国における農業政策が専門らしいが、農業に限らず開発経済を平易にまとめた書籍になっています。
発展途上国は現実的には農業国であり、農業の生産性向上が貧困の解決になる。そのためには生産技術の知識習得も必要だし、機械化・インフラ整備(灌漑設備など)の資本投資も必要だし、化学肥料の投入も必要です。(著者はしつこいくらい化学肥料の必要性について繰り返し語っていますが、現場感覚として、とても効果があるんでしょうね。) 先進国が援助したり、途上国政府が経済発展のために投資したりするときに、どこに重点を置き、どんな順序で行えばいいかの考えの整理になります。
本書で強く主張しているのが、農地の再配分計画は行ってはならないこと。日本の戦後の農地改革で行った政策ですね。まあ、その後の日本の農業を見ていると、確かに失敗だったなぁと思わずにいられません。たまたま日本は戦前の資産的・人的(教育など)蓄積を生かして工業を発展させることができて経済的に成功したけど、農業国だったら最貧国家になっていたのかもしれません。
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