『朝が来る』
子どもが欲しくても妊娠できない夫婦と、望まない妊娠をした女性を描いた小説です。タイトルにある「朝」は、出口があるのかどうかすらわからないトンネルを歩いていてようやく見つけた出口のようなイメージを表現しています。
小説の序盤に出てくる武蔵小杉高層マンションのエリート夫婦の話が主題になると思いきや、別の線がこの小説の主題でした。序盤の書き出しは、読者を欺いているように思える。もう少し素直に書けなかったのか。
ひかりについては、人生のレールをどんどん踏み外し、どうしようもない人生を歩んでいく女性として描かれている。親に用意されていたレールが窮屈すぎ、そんなレールの上の人生はつまらないと、わざわざ脱線したのだ。レールの上をキチンと歩んでカッコイイ姉を見たときの落胆が、著者のエリートに対する意識を感じることができて面白い。
小説自体の完成度はそれほど高いとは思えないけど、知らなかった社会問題を知ることができた、読んでよかったなと思う小説でした。
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