『人質の朗読会』
外国の山奥の観光地での人質事件の人質たちが、自分の人生を振り返ったエピソードを一夜に一人、朗読するというシチュエーションで、その朗読内容が短編小説的に描かれています。
それぞれ、特異なエピソードが繰り広げられます。渾身のエピソード。生命の危機にある状態で振り絞った人生観を、本気でぶつけた感じが伝わってきて、面白いやら重いやら。
僕が同じシチュエーションなら、どんなエピソードをどう朗読するか。まったく想像がつきません。実際には文章の素人がこれだけの文章を書き上げるのは無理で、どうしても小川洋子の文章力が発揮されてしまっています。しかし、小川洋子にしても、人生の危機における半生のエピソードを描くというのは冒険で、かなり難しいことに挑戦したんだろうと感じます。それだけに、読後にじわじわと襲ってくる感動は、なかなかのものでした。
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