娘を浴室で溺死させた母親の裁判を描く小説。この裁判に主人公である2歳児の母が補充裁判員として裁判に参加することで、主人公と被告の心理を重ね合わせながら、母親という難しい立場を描きます。
自分は夫から、親から、姑から何を期待されているのか。その期待には応えられているのか。「普通」って何だ。その普通のことが、自分はできているのか。考えるうちに劣等感に苛まされ、それを否定するためにムキになる。そしてだんだん自分をコントロールできなくなる。
人間のイヤな部分をこれでもかと見せつけるのが角田光代の小説の醍醐味なんだろうか。読んでて不愉快なんだが、やめられない小説。
最後の数ページで、ようやく救われました。
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