『橋の科学』
今年4月に、新名神高速道路有馬川橋架設中に橋桁が落下する事故がありました。Wikipedia
6月に、この事故の原因が、東側地盤の沈下によるものだと報道がありました。桁間124mもの長い構造物に対し、たった4cm傾いただけで橋桁落下という大事故に至るってのは、かなりの難工事のように思えます。そもそも橋ってどうやって作るんだ?と疑問に思い、ブルーバックスを手に取りました。
ブルーバックスらしく、橋の種類、橋の歴史、橋の工法をわかりやすく説明してくれています。
本で詳しく説明しているのは「アーチ橋」「吊り橋」「斜張橋」といった、見た目にも難しい橋の作り方。有馬川橋のような単純な桁橋は読者の興味もあまり惹かないのでしょう。それでも、送り出し工法については少し説明がありました。
(1) 橋台と橋脚をつくる
(2) 手延機を組み立て桁の一部をつくる
(3) 桁をつぎたしながら押し出してゆく
(4) すべて押し出してから桁が架かると手延機を外し、サンドルを抜く
有馬川橋の事故は(4)の工程の準備段階で発生したっぽいのですが、よくわかりませんでした…
本書の著者は土木学会関西支部で、らしく明石海峡大橋を大アピールしています。海中での工事、求められる精度、それを長い年月かけて技術を蓄積し、震災後の神戸・淡路に見事な吊り橋を架けました。この工事の成功と、有馬川橋での失敗。難しいところですが、こういう経験をもとに橋梁工事技術がさらに発展していくんでしょう。
これからは橋梁新設だけでなく、架け替えや補修などあらたな分野にも取り組んでいかなければならないのですね。
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