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2016年10月の10件の記事

2016.10.27

正倉院展、春日大社国宝館

春日大社の20年に一度の式年造替のタイミングで宝物館が「国宝館」としてリニューアルしたとのニュースを目にしました。春日大社は歴史上の人物からの献上品が多く収められており、相当数の国宝が収蔵されているとのこと。うん、観たい。

奈良といえば、奈良国立博物館に収蔵されている仏像も迫力があり、久々に観たいよなあ。しかも、この季節の奈良国立博物館は「正倉院展」だ…もう行くしかないのでは?

と言っても急に旅行に出る日程は難しく、考えたのが日帰り。始発の新幹線で奈良に行けば、奈良国立博物館と春日大社は余裕で回れるんじゃないか?



若葉台4:39→新横浜6:00ひかり→京都8:10近鉄特急で8:50に奈良駅に到着。奈良国立博物館のオープンは9:30のため、ちょっと早い。途中の興福寺で時間をつぶします。




興福寺の東金堂を参拝。本尊の薬師如来こそ室町時代作の重文ですが、四天王や十二神将が国宝という贅沢な伽藍。これだけでも遠くまで来てよかったと思える場所です。隣の国宝館も阿修羅など国宝指定されている八部衆など、見応えたっぷりです。

ここから奈良公園を歩いて奈良国立博物館へ。


(写真は赤信号の横断歩道を渡る鹿)

正倉院展は混む印象があったのですが、開館直後の9:40頃で約10分待ちでした。館内はやや混雑。

今回のメイン展示「漆胡瓶」は、間近で見ると美しかった。丁寧に作られていて王宮の優雅さを今に伝えています。展示全般的には、何だか寄せ集め感が高く、通してみての印象が薄いですね。

このあと、なら仏像館へ。



メイン展示は播州浄土寺の阿弥陀如来立像。その前にも飛鳥時代や奈良時代の迫力ある仏像がずらりと揃ってて、パワースポットを形成してました。正倉院展に行った人はタダで入れるにもかかわらず、仏像館まで来る人が少ないのはもったいないですね。目を引いたのが、釈迦誕生の金像。そもそも赤ん坊だから可愛いし、10cmほどのミニサイズだし、レプリカをアクセサリーとして若い女性が着けてもいいのではなんて思ってしまいました。

春日大社へ。



参道の途中に真新しい美術館建築「国宝館」があります。


今日のお目当てはここなので、さっそく入りましょう。

入口に光のオブジェがあったのですが、もうひとつコンセプトがわからないまま次の部屋へ。大きな太鼓が展示されています。



この太鼓は40年前に作り直されたもので、文化財指定はありません。新しいこともあって色も鮮やか。迫力があります。

2階は刀剣や鎧兜の国宝指定されているものがずらり。刀剣の美術品を一生懸命観たことはないのですが、ここの刀剣の気合の入りようはすごいです。はやり遠路はるばる観に来てよかった。

春日大社本殿へ。式年造替の最終段階なのですが、新鮮な雰囲気で参拝できます。








新薬師寺に向かうため中祢宜の道を歩きます。他に歩行者がいません。さっきまであんな喧騒な観光地だったのに。





鹿も山岳地帯にいると印象が変わります。





新薬師寺に向かいつつ飯食うところ…と思ってたらカレーの匂い。その方向に向かうと、バイクスタンドのある飲食店がありました。オレ今日電車なんだけど。





しかも店内はサイン入りジャージとか飾ってあって、観光地なのに気合入りすぎ。





牛スジカレーはもう売り切れですとこのとで、ハンバーグカレーを注文。ハンバーグ、ちゃんと作ってあるやつだ。うまい。関西の自転車乗りはこのカレー目指して暗峠を越えて来るのか?






昼食後に新薬師寺。





静かな寺で、伽藍も堂内もスッキリしています。堂内は薬師如来と十二神将。きちんと施しを受けます。

帰りに奈良市立写真美術館に。






入江泰吉の文楽の写真と、森山大道・百々俊二の大阪の街スナップ。入江泰吉が文楽出入りの写真家だったなんて知らなかった。森山や百々の大阪を猥雑に切り取った写真は迫力あるし、神聖な感覚の新薬師寺の直後に見るとコントラストが強い。

14時過ぎですが、帰宅も遠いのでこの辺で切り上げることにします。









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2016.10.24

将棋日本シリーズ テーブルマークこども大会

小学校で将棋日本シリーズこども大会のチラシをもらって来た息子。対局すると無料で駒消しゴムもらえるんだよ!と。無料に弱い息子です。でもこの大会はJT杯の公開対局と一緒に開催されることもあり、僕自身も気になってたイベント。じゃあ行くかと思っていたら、息子が友だち2人も誘ってました。

【スペック】
息子:小5、将棋歴3年、ウォーズ5級、千駄ヶ谷14級。指すのは学校で月1〜2度あるクラブくらい。
友だちA:小5、将棋歴数ヶ月、まだ金と銀の動きがあやふや。小学校のクラブでルール覚え中。
友だちB:小4。将棋歴2年くらい。千駄ヶ谷15級。ってか、過去に2度行って1勝したことがあるだけ。それ以外ではたぶんほとんど指してない。

まあ、かなり心配なメンバーです。特に友だちAは「ルールを知っていること」の出場基準が怪しいので前日に特訓w。

早朝から車で出発し、9時前にビッグサイトに到着。東棟地下の駐車場はすでに満車で、海沿いにある屋外駐車場に駐車。受付を済ませます。受付脇に行列。何の行列か係の人に聞いたら、プロ棋士と記念撮影できるとのこと。チラッと覗いたらなんと木村一基がいるではないか!早速子どもらを並ばせました。子ども3人と、木村一基八段、鈴木環那女流、安食総子女流とで記念撮影!

受付で対局席札を渡されたので、席を確認して観戦席で休憩。詰将棋でウォーミングアップかなと思ったらDSタイムになりました。ですよね。

チェスクロックの使い方を教えてもらって、10時過ぎに対局開始。1300局くらいが一斉に対局になるので、見事な光景です。



保護者は盤側まで寄れないので、少し遠巻きに見ることになります。それでも、熱戦の雰囲気だけは伝わってきます。

午前中は低学年、高学年に別れたリーグ戦で、3局指します。3勝した子だけが午後のトーナメント戦に出場できます。

息子:●○○
友だちA:●○●
友だちB:○●●
で、3人ともトーナメント出場はなりませんでした。しかし友だちAはようやく駒の動きを覚えたくらいなのに一つ勝ち星を取ることができたのがすごい。いろんな棋力の子が出場しているのでしょう。




会場の真ん中には対局前に子どもたちが書いた絵馬が飾られていました。




将棋対局前に書く絵馬なので当然将棋のことを書いた絵馬が多いのですが、それでも将棋以外のことを書く子どもがけっこういるんですね。



午後からは自由対局。対局すればするほど、そして勝ち星を重ねるほど「消しゴム」がもらえるので、息子にとってはこっちが本番かもしれません。2時間ほどで5勝4敗。これで時間切れとなってしまったようで、もう1局指したかったと残念がっていました。なお、友だちAは0勝12敗、友だちBは1勝10敗と、周囲はかなり強かったようです。僕なら心が折れそうな戦績ですが、二人とも楽しかったとの感想。子どもは柔軟だなあ。

このあと、低学年の部の決勝戦、高学年の部のあと、JT杯の決勝戦、佐藤天彦名人vs豊島将之七段の対局です。




目の前のステージで、貴族が、キュンが指してる! 対局者もすごいのですが、この対局は横の大盤で木村一基八段の解説というスペシャルなものでした。




木村先生の解説は、いつ聞いても面白いなあ。将棋を指せない妻も観戦を楽しんでました。

難しい局面で木村先生が封じ手を宣言したので、宣言後も封じ手まで佐藤名人が長考し、微妙な間。本当は棋士が控え室に入ってから観戦者は封じ手を考えるんでしょうけど、長考中に先に回答用紙に書いちゃいました。外れたけど。

結果は、後手豊島将之七段の勝ち。純銀製の「JT杯」、賞金500万円、コシヒカリ1年分が渡されました。純銀製の皿を娘が見て一言「あれ、いらなくない?」いやいや、大事なものですよ。娘に聞いたら、ご飯を食べるのに使いにくそうとのことですが、あのJT杯に実用性はありません。コシヒカリ1年分も実用性はどうかと思いますが。



なんだかんだと、会場を出たのが19時前で、帰宅が20時前。丸一日かけたイベントでした。疲れたが、充実していた。





【備考】

駐車場:9時ごろの時点で海沿いにの屋外駐車場に回されましたが、屋外はそれほど混雑してなく余裕がある感じでした。

席:ステージ前とステージ逆側に大量のパイプ椅子が用意されています。ステージにいちばん近いエリアだけは荷物での席取りNGの様子。全体でみてみれば、座るところがなくて困ることはない様子。ただテーブルがないので弁当を食べるのは難しいかも。昼食はオニギリがお勧め。館内の食堂は若干の混雑、館内のコンビニは大混雑です。

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2016.10.22

『詩、ってなに?』

Twitterの平田俊子さんのアカウントで気になったムック。詩の入門書かなと手に取りました.

詩の基本や読み方、作り方が学べるのか期待して読み始めたものの、いきなり創作実習でした。創作過程が面白おかしく書かれていて楽しく読める本なのですが、残念ながら詩の基本を学ぶことはできませんでした。

小学生から高校生まで国語の授業で詩を学ぶものの、感性だけが全ての分野においては、何をどうしたら学べるのか全くわかりませんでした。そんなコンプレックスがあったからこそ飛びついた本書ですが、素人が詩を作っていく過程を見ていても、やはり僕には追いつけない世界だと理解することができたまでで、自分には詩は無理だと再認識したにすぎません。ある程度創作力がある人が読むと「そうそう、そういうところで悩んじゃうんだよね」と納得感を持って読むことができる気がします。

詩というジャンルはともかく、素人が物事を作り上げていく過程を描いたドキュメンタリーとしては、かなり楽しんで読むことができます。

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2016.10.21

Kindle Paperwhite(2013)を5.8.5にアップデート

Kindle Paperwhiteを使ってます。2014年10月に買ったのですが、2013年秋モデル。その顛末は2年前の記事で

Kindle Unlimitedが始まってKindle雑誌を読むことが増えたのですが、困ることが何点か。

ズーム機能が貧弱

固定レイアウト書籍では画面のピンチアウトまたはダブルタップで拡大表示ができるのですが、表示に数秒かかります。また、任意の場所を拡大表示できるわけではなく、定められた4ヶ所しか拡大表示されません。縦書き4段組の雑誌なら問題ないのですが、3段組の雑誌だと中段が途切れて読めません。送り順の問題で、横書き2段組の雑誌も読みづらいです。ズームで任意のスクロールが望まれます。

容量不足

最近、雑誌のダウンロードで容量不足警告が出るようになりました。読み終わった雑誌や漫画は「端末から削除」するようにしているのですが、それでも容量不足。困っていました。

そんななか、Paperwhiteにマンガモデルという大容量モデルが発表になりました。詳細を見てみると、ズーム&ピンチインという魅力的な機能があります。でも、この機能は従来機にもアップデート適用するらしい。なら、新モデルに手を出すほどでもない。

しかし、空き容量の関係か、僕のPaperwhiteにアップデートが落ちてこない。仕方ないからMacに繋げて強引にアップデートすることに。

Macでアップデートファイル(200MBくらい)をダウンロードし、USBでPaperwhiteを接続。するとFinderからストレージとしてファイルを見ることができるのですが、端末から削除したはずの雑誌データがあったり、新聞ファイルが600個以上あったり。表面上削除されていただけで、容量はガッツリ食ってたんですね。

手動で不要ファイルを削除し1GB以上の空き容量を確保、アップデートを適用しました。

で、結論から言うとズーム機能はあまり使い物にならなかったです。ズーム状態で任意の場所にスクロールできるようになったけど、画面表示の遅さは改善されず。これではスクロールごとに思考が停止してしまうので、スムーズな読書ができません。

やはり、雑誌類はiPadで読むことにし、Paperwhiteで読むのは文字主体の本と小型サイズ棋書だけにしておこう。

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2016.10.19

『永い言い訳』

西川美和原作・監督の映画作品。

作家衣笠幸夫が不倫をしている夜に、妻の夏子とその友人ゆきがバス事故で死ぬ。幸夫は淡々と妻の死という事実を受け入れ、ゆきの夫・陽一は感情を抑えられない。

物語の序盤では、幸夫は夏子への愛が冷めているから淡々としていると思わせているが、徐々にそれだけではない感情を見せてくる。ストレートに人を愛し、死を悲しむ陽一との対比で、幸夫は愛する対象も、自らの人生も、一人称の視点で深く入り込むことができないのだ。それでいて人との比較は怠らない。圧倒的に劣者だと思っていた陽一がときおり見せる幸せに、たまらなく嫉妬して感情が昂ぶってしまう。

第三者視点では冷静に、深く心を捉えることができる幸夫の描き方も面白い。その観察する対象としての西川美和は小説家という職業に何を見ているのか。幸夫の思いを陽一の息子・真平に代弁させ、真平の心の欠点(これは幸夫の心の欠点でもある)を幸夫に冷静に指摘させる恐ろしさが、この映画だった.

永い言い訳


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2016.10.17

『挑戦と逆転の切り札』

JR東日本が発行するクレジットカード「ビューカード」の立ち上げから成功までを描いたドキュメンタリー。一人の職員の定年退職を機にカード事業を振り返る体裁で書かれています。

ビューカードはSuicaオートチャージ対象であるカードであることから首都圏に住む勤労世代に非常に使い勝手がよく、人気が高いカードです。Suica一体型クレジットカード「ビューSuica」なんて反則ギリギリのカードも出しているのですが、このカードの反則具合は本文にも記載されていますね。

この本は著者がクレジットカードの研究家であることから「ビューカード」に寄った物語になっていますが、ビューカードの成功は本文にも書かれている通り、Suicaの成功に付随したものだと考えるのが適切でしょう。ただ、単なる乗車券サービスだったSuicaが、今は非接触ICカード決済の主役になっている現在の状況は、ビューカードの活躍からは切り離せません。今や、アップル社ですらSuica決済は日本になくてはならないインフラだと認識してiPhone7にFelica搭載を決めたくらいですから。

そんなわけですごいのはSuicaなので、もっとSuicaの成功体験を盛り込んでほしょかったのですが、その辺が本書では足りない。

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『ハドソン川の奇跡』

2009年1月に発生したUSエアウェイズ1549便不時着水事故を題材にしたクリントイーストウッド映画。トムクルーズ主演でもあるので、ハリウッド大作ですね。

飛行機事故の映画だというから、エンジン停止から着水までの3分半のパニックを焦点にした物語かと思っていたら、話の焦点は事故後の調査委員会。エンジン停止後にサレンバーガー機長がハドソン川着水を決めたのですが、実は空港に着陸可能だったのでは?という調査委員会の疑問が、映画の焦点です。

正直言って、河川への着水はあの状況下で次善の策だったでしょう。最善は、素早く判断して空港に着陸すること。事故調査委員会は間断なく最善な判断を機長が下すことを期待していることに、パイロットの厳しさを感じました。事務職では考えられない厳しい職場です。

飛行機墜落の危機が迫る機内での機長、副機長、乗務員、乗客の行動。映画はあくまで演技ですが、その統率にも迫力がありました。飛行機に乗っている全員が、機長の判断に向かって一丸とならなければ、155名全員の救出には至らなかったのかと思うと、改めてハドソン川の奇跡の奇跡性に驚きます。

ハドソン川の奇跡

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2016.10.08

『インストア・マーチャンダイジング 第2版』

インストア・マーチャンダイジングとは、小売業の売り場で行う販売促進活動のこと。売り場づくりの基本のキです。

来店客の買上げ点数を増し、一品単価を上げる施策についての基本的な考え方が整理してわかりやすく書かれています。他の類する教科書類と比べ記載内容に特筆すべきところがない書籍ですが、それこそがベーシックな教科書として必要なことなんでしょう。

概念と理論が丁寧に描かれているのですが、実践例が少ないのが難点。実践例は小売業の独自のノウハウであり、そのノウハウが優位性そのものですから、こういう一般的な書籍に書いてしまうのは難しく、現地に見に行けってことなんでしょうけど。

客同線の長化に結構な紙幅が割かれています。客同線が長いと認知消費も増え、買上げ点数増加の効果があります。この章を読みながら、IKEAでの買い物を思い出しました。IKEAは何ヶ所か近道があるものの、基本的には「全て」の売り場を通過してレジに向かいます。IKEAに行くと、かなり長い距離を歩かされるという印象。ISMの理論に基づくものだとわかっても、あれを客に強要するのはいきすぎではないかと…

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2016.10.05

『オーバー・フェンス』




佐藤泰志という作家の小説とのこと。残念ながら、この作家は知らないが、キネマ旬報の記事で興味を持ったので劇場に。

職業訓練校に通うオダギリジョーが主役。40代、バツイチ、無職。この属性だけでも場末感がたっぷり詰まっているが、海沿いのウンザリする厚い雲に覆われた街が、場末感をさらに増してくれる。

イかれた女(蒼井優)、クズ男。こういう人間を見て、オダギリジョーは自分は普通の人間だと思いストーリーは進む。いや、ストーリーなんか進まず重い空気の時間が流れるだけ。

エンディング直前の、登場人物が各々の形で次に進むのが観客にとっての救いである。

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2016.10.01

『東京ロンダリング』


部屋死などの訳あり物件に一定期間住み、形式上訳あり物件(心理的瑕疵物件)じゃなくして家主に返す仕事をする女性、という設定。そんな女性なので当然の事ながら不幸な人生を歩んでるわけで、主人公は離婚で家を追われたというシチュエーションです。

一定期間住むことが仕事なので、転々とすることになる。自分の拠点なんかなく、フラフラと彷徨って生きる様が描かれます。

そして、現実と夢の境界を失っての物語の後半。サスペンス調にしたいのかしたくないのかわからない中途半端さを感じてしまうのですが、ここで「彷徨い」の感覚を感じることができるエンディングです。


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