『この世界の片隅に』
呉の空襲と広島の原爆を、一人の女性の目を通して描いたアニメ映画。戦争映画として名が通ってるが、女性の生き方という視点で観た。
トロく、人に委ねて人生を歩んでいく主人公のすず。その対比に置かれるのが、利発で自ら人生を決めて突き進む義姉の径子。その二人が、戦局の激化に伴って徐々に切羽詰まった状況が訪れるのにどう対応していくのか。
すずが主人公である以上、観客はすずに感情移入して映画を観ることになる。トロいすずに、難局を背負わせるのは抵抗がある。しかし、難局は否応なく訪れる、すずの、すずの身近の人の人生を切り裂いていく。ただ、難局の最中でも日常があり、そこには幸せも笑いもある。その取り混ぜ方が、ちょうど良い鑑賞後感になってる。
写実主義のアニメ映画だが、君の名は。とは違う絵の印象。君の名は。が細かく作り込んでいる絵だったのに対し、本作は水彩画風の柔らかい絵に仕上げていて、すずの性格に溶け込みやすい画面の印象を与える。呉空襲も、広島原爆も、夢で見た危機感という印象。太田川の相生橋の人攫いも、夢なのか。
この世界の片隅に
| 固定リンク
コメント