『スリー・ビルボード』
娘を強姦殺人された母親が、警察の捜査が進まないことに苛立って街はずれの道端に「RAPED WHILE DYING」「AND STILL NO ARRESTS?」「HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY?」という過激な広告看板を掲出することから起こるドラマ。昨今の日本の報道のような怠慢な警察対住民の構図なら看板は警察叩きの格好のアイテムといて動くのでしょうが、作中では住民に慕われている警察署長に喧嘩を売った母親という構図になり、主人公は村じゅうを敵に回すことになります。
そして、母親の怒り、上司や組織を馬鹿にされた警察官などいろんな怒りがぶつかり合い、増幅し、手に負えなくなってきます。作中「Anger begets anger」というセリフがありましたが、まさにそう。この静かな過熱具合と突然の暴力が見もの。冷静を装いながら憎悪の念を撒き散らすマクドーマンドは頼もしい演技ながら不気味にすら感じます。
ミズーリ州という場所が全米(特に東海岸や西海岸地方)からどのように見られているのかが分かると、もう少し作品を理解できるのではないか。黒人差別の捉え方など、ミズーリ州ってこういうものだよねという共通認識を持った観客を想定しているのでは?
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