『日々是好日』
基本的に何も起こらず、ただ日が過ぎて行く映画。ここに映画の題目である「日日是好日」が生きてくる。
おっちょこちょいの典子役に黒木華がよく似合う。茶道初心者の失敗あるあるを演じるところから始まるが、失敗を演じるごとに劇場客席後方から年配女性の笑い声が沸き起こる。彼女たちは珍しく茶道の映画ということで習い事仲間で観に来ているのか、表千家で動員がかかっているのか。彼女たちも「最初はそこを失敗するんだよね」と習い始めた頃を思い出しているんだろうか。私自身も大学生の頃に大学茶道部にいて劇中の黒木華と同じ立場を経験しているので、若い頃を懐かしむのに十分だった。
受け身な人生を歩み自分自身を悲観しがちな典子が、環境が与える苦楽こそが好日であり、その苦楽こそが人生の味わいだと感じて行くさまが淡々とスクリーンで描かれる。その積み重ねで、後半にジワっと来るようになっている。序盤の初釜の干支茶碗の下りもうまく作ってある。
映画公開前に助演の樹木希林が亡くなってしまったことで、観客にとって「日日是好日」がより重くなってしまった感があるが、それも含めて日日是好日であり、一期一会であろう。
長々と書いてしまったが、結論としては、黒木華かわいい。
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