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2019年2月の4件の記事

2019.02.19

『ちいさな独裁者』



脱走した上等兵が偶然に士官の制服を得て大尉を名乗り生き延びてゆくストーリー。

この映画を観て、大きな二つの要素を感じた。

まず一つは、外見(この場合は制服)が権威付けに非常に重要であること。現代社会は随分とリベラルになったが、大戦時の軍隊においては階級が非常に大切であり、たかが制服(の徽章)でこれだけ大切な事柄を決めてしまう力を持ってしまうんだと。

二つめが、戦争の非常事態性。ヘロルトは逃げ延びる手段を得たいだけなのに、大尉になりすますことで大尉になりきるしか生き延びる方法がなくなってしまっている。そして自分が生き延びるために大量虐殺をせざるを得ない状況に追い込まれている。自分自身が脱走兵にもかかわらず、大量の脱走兵を即決裁判で処刑してしまうなど、観ていて気持ち悪くなる。平時での仮定の役割が暴力に発展してしまう『[エス]』(スタンフォード監獄実験)などの事例すらあるので、戦時ならあり得るのかと思ってしまうことこそ異常なのかもしれない。

後半で踊り子が歌う「春に5月は一度しか来ない」をヘラルドがどう聴いていたか。いつかは破滅がくる大尉生活をビクビクしながら聴いていたことだろう。

ロケ隊が現代の街頭で憲兵による略奪を演じるエンディングが、この映画の気持ち悪さを増幅させて終わる。

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2019.02.12

『Who Was Steve Jobs?』



英語のリーディングに慣れる目的でWalter Isacsonの『Steve Jobs』を読み始めたけど、意外と英語が難しく読み進まない。Lexile1080なんだけど、もっと高いのではと感じるくらい。3分の1くらいでいったん中断し、もっと簡単な本を読むことに。たぶん一度読んだことのあるだが、いわゆる「多読」にはちょうどいいだろうとPenguin Booksの『Who Was Steve Jobs?』をダウンロード。

こちらはかなりすんなり読めた。ただ内容はIsacsonのものより当然かなり薄く、端折りまくり。小学生向きの伝記ものなのだろうから、まあそんなもんか。スティーブ・ジョブズの功績を(というか個人向けパソコンの歴史を)ざっと復習するのにちょうどいいという感じ。

このシリーズくらいの難易度が、TOEIC600点代後半の僕が多読するにはちょうどいいのだろうか。あと何冊かこのシリーズを読んで足慣らししてからIsacsonに戻るかな。

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2019.02.04

『将棋「初段になれるかな」会議』


将棋ウォーズ初段と3級の著者たちがプロに教えを乞うという企画。対談集のような形式。

ウォーズ1級前後って、将棋もだいぶ覚えそこそこ強くなったけど、なんとなく壁に突き当たってるなあというくらいでしょうか。そんな中途半端に強いな棋力からどういう方向性で考えていけばいいかの指南書です。

棋書を読んだらあれもこれも覚えろって感じになりますが、高野六段はプロにしかできないことをバッサリ捨てこの棋力の人が覚えるべき技術に絞って解説。そうそう、こういうピンポイント指導がほしかったんだ。

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横浜地裁に行ってみた



何度か東京地裁に傍聴に行ってますが、自分ちの管轄である横浜地裁って行ったことないなと、ふと。

電車を乗り継ぎ横浜地裁に行ってきました。朝8時半に家を出れば10時開廷の期日に余裕だろと思ってたら、日本大通り駅に着いたのが9時50分。10時開廷に間に合わないと面倒なんだよなと早歩きで地裁に。

開廷情報は1階ロビーに紙が掲示してあるだけ。検索機で検索する東京地裁とは随分と違います。東京は企業関係の訴訟も多く、高裁も兼ねているから設備も違うんでしょうかね。(もっと地方に行ったら、どうなんだろう?)

細々とした訴訟が連続で行われる法廷に。今回は建物明渡訴訟が多いイメージ。一つは原告がURで被告が一般男性の訴訟。こちらは裁判官が和解を持ち掛け、原告被告とも応じる意向。男性が継続して居住したい意思を持っているようで、未納賃料の弁済方法を詰めて和解することになりそう。

別の建物明渡請求訴訟(被告は出頭せず)では、被告からの連絡を裁判所も原告も受けていないものの9月〜1月までの賃料の入金があったため訴状の一部を減縮するというのがありました。これで賃料が全部支払われてるんだから、訴訟となる原因がなくなったんでは?と思うのですが…これは訴状を見てみたい一件。

原告が日本学生支援機構、被告が一般女性という訴訟がありました。こちらは既に和解案が出ていての期日で、209万円(元金169万円+遅延損害金38万円+α)を平成50年までの9,000円231回払いという和解が成立しました。あと20年もの超長期の分割払いに驚きましたが、奨学金の返済なので元々が長い弁済計画だったのを延滞したので遅延損害金込みで仕切り直したと考えるのが妥当なんでしょうね。

原告が個人で被告が国の、損害賠償請求訴訟がありました。原告席は1人、被告席は13人というパイプ椅子裁判。前に座った3人が代理人弁護士で後ろの10人が役人かなあ。そもそも国って代理人を立てるんだろうか?傍聴では何を争ってるのかわかりませんでした。騒音に関する技術資料の理解に時間がかかる旨を裁判官が話していたので、たぶん騒音被害絡みなんでしょう。

原告が個人事業主の個人、被告が横浜市という訴訟がありました。事件名は失念。カイロプラクティックが地方税法でいう請負契約に当たるかが争点らしく、裁判所が被告の市に対し法律構成を解釈を求めていました。

11時に殺人事件(裁判員裁判)の初公判があったのですが、こちらは満席で傍聴できず。横浜地裁も人気の事件には人が集まるんですね。

最後に傍聴したのが、銅線返還等請求事件。なんだかわからない事件名。どうやらキュービクルの撤去工事に伴い持ち去ったはずの銅線を返してくれっていう訴訟らしい。原告が本人訴訟っぽく、法律構成が明確でないとの裁判官のお小言。他人物売買の解除か、寄託物返還請求かとのことで原告は寄託物返還請求であると回答。しかし持ち去った銅線は現存しないとの被告の話から、仮に原告勝訴しても強制執行が不可との裁判官の話があり、予備的請求の損害賠償請求にならないか?との裁判官の質問にウヤムヤで終わっちゃいました。被告代理人が「現場でシミズさんの言ったことの信憑性がそもそも怪しいので、キュービクルの仕様書を調べてほしい。」と原告に要求。これらのことから推測するに、撤去工事の際にシミズさんが「このキュービクルなら銅線が300キロあるで」と言ったので、じゃあ300キロの銅線を返せよ!と言っている、というところでしょうか。みなさん、現場で出まかせにヘタなこと言うもんじゃありませんね。

帰りに通った赤レンガは、随分と賑わっていました。


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