『ジョーカー』
いわゆる「無敵の人」の狂気と恐怖。
無敵の人とはネットスラングで、失うものが何もない、犯罪を起こして逮捕されようが何しようがダメージを受けない人のこと。
昼は看板持ちのピエロとして働き、夜はウケないコメディアンとしてステージに立つ精神病を患ったアーサー。救いようのない人生を痛々しく描く。もうこれだけで、観ている方はいっぱいいっぱいである。ツラい。仕事をクビになり、電車では気持ち悪いと乗客にバカにされ、泥沼である。
物語と並行して、市の財政難から福祉が打ち切られ、アーサーへの支援も打ち切られ、街の治安も悪化して貧富の差の拡大から、どうしようもなくなる。やはり、救いようがない。
結局、何も救われないず、事態は重篤化してエンディングを迎える。どちらかというと最悪のエンディングだが、それでもアーサーよくやった!と称賛してしまいそうな感情を呼ぶところがこの映画の怖いところだ。
アーサーはサイコパスとしては描かれていない。しかし、サイコパスの怖さをアーサーの復讐に見てしまう。
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