『ハッピー★アイスクリーム』
雑誌『ねむらない樹』で短歌が掲載されていて気になった歌人、加藤千恵。さっそく調べて、歌集をKindleで購入しました。
歌集だと思って開くと、短編小説集だった。ローティーン向けの軽い恋愛小説に、鋭いアクセントとして短歌が差し込まれている。青春臭い加藤千恵の短歌が、よりピンクの青春の小説に斬り込んでいくようだ。
全体として、小説は淡く幼い。短歌は青春の奥にある不安を鋭く表現している、大人が描いた子供心のよう。
後半が歌集。あとがきによると、歌集として出版したものに、あとから短編小説を加筆したらしい。幼く感じる小説部分が大人になってからの作品で、鋭く書かれた短歌が高校生の頃に詠まれたもの。この関係が意外。加藤千恵の他の作品を知らないが、短歌を詠んだ高校生時代の気持ちを下敷きに短歌を浮かび上がらせようと、高校生っぽい小説を仕立てたのだろうか。