『世界標準の経営理論』
ビジネス誌や新聞などでの紹介も多く、広告の露出も多かったので気になっていた本です。しかし、印刷媒体で832ページというボリュームでとても読み切れないと思っていたので見送っていたのですが、長い自宅待機期間を機にKindleで読み始めました。
せっかく経営理論を網羅したと謳う本なので、腰を据えてきっちり読もうと、章ごとにノートに整理しながら読み進めるという、かなり時間のかかる読み方をしました。章あたり1時間半~2時間くらいかかるので、自宅待機期間のかなりをこの本に費やしたと言っても、言い過ぎではないような。
読み始めるまでの印象で、経営理論=フレームワーク、この本でビジネスフレームワークをきっちりと覚えるぞ!と読み始めて、さっそく期待を裏切られます。この本では、フレームワークは学びません。フレームワークは現象の整理であり、理論ではないからです。
で、この本は「理論」を開設する本です。
経済学ベースの経営理論
↓
心理学ベースの経営理論
↓
社会学ベースの経営理論
と順に各論を読んだあと、「ビジネスを説明できる経営理論はない」で締めくくられます。序盤にフレームワークでないことで裏切られ、終盤にビジネスを説明できる経営理論はないと裏切られで、ちょっと凹みそうになりますが、それでも本書はそうとうな価値があります。
会社員が「経営理論」に触れる機会は、あまりありません。ビジネスの現場では今日覚えて今日使えるツールが必要なので、いちいち理論から遡って意思決定するようなことはないからです。この本で説明されている理論は、ビジネス現場で使えるものというよりはリベラルアーツに近いものですから。でも、今回のコロナ自粛で時間ができ、理論まで遡って学ぶことができたのは幸運だったかと。
結局「自転車の乗り方を教わりに行ったら筋トレだけして帰ってきた」みたいな結果になりました。それはそれでよし。
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