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2020年12月の9件の記事

2020.12.31

『データ分析人材になる』

会社がデータ分析部署を立ち上げた。でも集められたのは文系人材(たぶんマーケティングと営業出身者が想定されているかと)ばかり。どうする?的な本です。

データ分析プロジェクトを本書独自の「5Dフレームワーク」で行う手順と、文系からのデータ分析人材の育て方が本書のテーマ。わかりやすい手順とスーパーマンを求めない人材育成。かなり現実的な解決手法の提示に思います。

データサイエンスとかAIとかブームだけど、ビジネス課題の抽出と解決は、やはりビジネスの視点。テクニカルな部分はツールに任せて、ビジネスとの接点に注力すべきというのはデータ分析の仕事だけでなく大事な視点だ。

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2020.12.26

データベーススペシャリストに合格した

IPAによる情報処理技術者試験のうち高度試験に分類されている区分のひとつ「データベーススペシャリスト」に合格しました。せっかくなので、合格までを振り返ってみることに。

2019年10月に同じく高度試験の「ITストラテジスト」を受験しました。結果は残念ながら不合格でした。でも、午前Ⅰは通過しているので「午前Ⅰ通過者」になることができました。この「午前Ⅰ」ですが、高度試験に共通の選択肢式試験で、それほど難易度が高いわけではないものの試験範囲が非常に広いことが難点です。結局、応用情報処理技術者試験の試験範囲を勉強しなければならず、とっても時間がかかるのです。そのため、午前Ⅰ通過者の資格がある2年間は、ぜひとも有意義に使いたいとのインセンティブが働きます。IPAもなかなかズルい商売をしているものです。翌年秋(2020年10月)はITストラテジストを受験するとして、春は何の試験で午前Ⅰ通過者を行使しようか?(午前Ⅰ通過者制度 IPA)

春にある高度試験の試験区分は、プロジェクトマネージャ、 データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、システム監査技術者、セキュリティスペシャリスト(情報処理安全確保支援士)です。仕事に役立ちそうなのはプロジェクトマネージャとシステム監査技術者ですが、いずれも論文試験がある区分。論文はITストラテジストの勉強で疲れ気味でもあったので論文をを避け、未経験分野の「データベーススペシャリスト」に挑戦することにしました。データベース理論と統計学をかじったら、データサイエンティスト的なセクシーな職業を名乗ることもできそうだし。

じゃ、何を勉強するか。まず取り組んだのはSQLです。まず取り組んだのはSQL ゼロからはじめるデータベース操作 第2版です。この本に従って自宅PCにPostgreSQLをインストールし、実際にデータベースを操作しながらSQL分を覚えました。また、同じ著者の達人に学ぶDB設計 徹底指南書でリレーショナルデータベースの理論を覚えました。

ここから、本格的に試験勉強っぽく勉強をしていきます。使ったのは情報処理教科書 データベーススペシャリストという参考書。というか、この分野の参考書は本書と「徹底攻略」シリーズの2拓っぽいですね。情報処理教科書は試験テクニックに偏っている気もしますが、達人に学ぶ~で理論を予習していた僕の場合は、ちょうどよかったか。

参考書を通読したら、過去問練習に入ります。これが、なかなかの曲者。ここで、データベーススペシャリストの出題の構成をおさらいしましょう。(正確な情報はIPAのサイトを見てね)
午前Ⅰ 4拓30問50分 IT分野全般 → 午前Ⅰ通過者は免除
午前Ⅱ 4拓25問40分 主にDB分野と少しのセキュリティ分野
午後Ⅰ 記述式 3問中2問選択90分 DB設計やスペック計算など
午後Ⅱ 記述式 2問中1問選択120分 DB設計やスペック計算など
過去問を解くので大変なのが、午後Ⅱ試験です。1問の制限時間が2時間なのです。しかも、過去問に慣れていない間は、制限時間内で解けません。問題文も長いです。例えば令和2年秋に実施された過去問を見てみると、問1:本文12ページ設問1ページ 問2:本文11ページ設問1ページ と、いずれも長い問題文を読まなければいけないことがわかります。で、答え合わせまで含めると丸半日を過去問1問に費やすことになります。隙間時間なんかでは勉強になりません。また、E-R図など図示で解答しなければいけない問題も多く、ちゃんとした解答用紙がないと過去問に取り組めないことも留意事項。市販の参考書では解答用紙がWEBからダウンロードできるようになっているので、そちらを活用して過去問に取り組むべきです。僕の場合、平日に午前Ⅱを25問か午後Ⅰを1問、休日に午後Ⅱを1問解いて、だいたい1週間で1年分の過去問を解き終わるペースで勉強を進めました。なお、過去問は問題文と正解はIPAのサイトで手に入れることができますが、解説は参考書のダウンロード特典に頼るすることになると思います。参考書を買うときは、ダウンロード特典の内容も気にしておきましょう。

このペースで、4月19日(日)に実施される「春試験」に向けて順調に準備が進んでいました。

3月下旬に、IPAから突然の発表。令和2年度春試験の延期です。その後、延期から中止に変更となり、試験の開催の見通しが立たなくなってしまいました。どうするよ、僕の試験勉強。秋の試験で春秋区分同時開催だとITストラテジストとの兼ね合いも考えなければなりません。結局、4月19日に予定されていた試験のうち応用情報と高度4区分は10月18日(日)に実施、秋試験の高度区分(ITストラテジストを含む)は春試験に実施されることになりました。以後、春と秋が入れ替わったままで継続されるとのこと。

このままデータベーススペシャリスト試験の勉強を継続するのもモチベーションが保たないので、いったん視点を変更し、AWSクラウドプラクティショナー、AzureFundamentals、統計検定2級といったCBT形式の試験をいくつか受験し、延期後日程の3か月前となる7月下旬からデータベーススペシャリストに戻ってきました。ここまで来ると、ひたすた過去問の解き直しです。1週間で1年分を、最新から過去に遡って解いていくことの繰り返し。午後Ⅱの過去問は相変わらず苦痛です。

試験日は10月18日(日)、試験会場は専修大学生田校舎でした。午前Ⅰ免除のため、ちょっとだけゆっくりの朝です。向ヶ丘遊園駅から線路沿いの道が示されていましたが、気分を変えて生田緑地の中を突っ切って専修大学に向かうことに。こういう気分転換が必要です。裏から行った形になるので大学は見つかるものの入口が見つからず困惑したものの、ある程度余裕をもって会場前に到着。応用と高度だけなので、試験会場が人で溢れているような試験光景ではありませんでした。少し寂しい気にもなりますね。

午前Ⅰは難なく解けたかな。いくつか全く分からない問題もあったけど、合否ラインは6割なので、気にしないでおきましょう。午後Ⅰは問1と問3を選択。問2はISOLATIONレベル絡みの問題っぽく、一つ間違えたら連鎖的に間違えて大失敗しそうな予感がしたので。ちなみに問1は概念設計、問3はDWHからみの問題に見せかけて性能問題でした。意外と時間がかかり、時間ギリギリで解き終えました。時間不足で解答用紙が埋まらずに提出するのは手痛いですからね。午後Ⅰが終わって、かなりの疲労。よく考えたら、1日のうちに午後Ⅰ問題を2問解いたことがなかったですね。

で、午後Ⅱ試験です。解答用紙が先に配布されるので、解答用紙のフォーマットを見て、問題分野を想定しながら開始時間を待ちます。雰囲気的に問1が性能問題、問2が概念設計です。ここは、最初っから問2に決め打ちで取り組もう。試験開始。解答用紙から推測した問題分野はだいたい合ってそう。でも、問題文中に見たことのないようなフロー図で業務説明がされています。そのあたりにたどり着いたことには疲労が蓄積してきて、もう新しいことが頭に入る状態ではありません。もう何となくのイメージで業務を推測し、処理フローを埋めていくしかできない状態でした。(この問題文の24ページとか29ページの図を疲れているときに見てみてほしい) 本当にヘトヘトになって、午後Ⅱの試験を何とか時間内に解き終わりました。

試験勉強において「過去問1年分を1週間かけて」が、試験対策としては不十分だったと思い知りました。試験本番日は午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱを続けて実施することに思い至っていませんでした。ちゃんと40分、90分、120分の続いた時間を作り、練習しておくべきでした。この辺り、これから試験を受ける人には忠告しておきたいです。

12月25日、WEBサイトで結果発表がありました。
午前Ⅰ:免除
午前Ⅱ:92点 (100点満点 60点以上合格)
午後Ⅰ:81点 (100点満点 60点以上合格)
午後Ⅱ:68点 (100点満点 60点以上合格)
午後Ⅱはギリギリ感もありますが、無事合格することができました。これで、僕も「高度情報処理技術者」の仲間入りです。とっても、実態はデータベースのプロですって感じじゃないんですけどね。さて、ITストラテジストの勉強をどうしましょうか。

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『あしたはうんと遠くへいこう』

破天荒な生き方の女性を描いた小説。角田光代による、「対岸」にいる人を描いた小説と言えよう。

主人公は父を蔑んでいるのか。そんな父の生き方を許さないのか。父が気付いた家庭から逃げ、地に足を付けることなく生きていくのか。そんな葛藤が見え隠れし、そんな葛藤から逃げるように行先のない生き方を続ける。いいんだ、うんと遠くに行けば。そういう著者のメッセージなんだろう。

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『あなたには帰る家がある』

山本文緖による、夫婦を描いた小説。設定からして、複数の夫婦や家族が登場して、ぜったいにドロドロになる下地が整えらえる。小説の展開は、案の定だ。妻が家に閉じ籠っていることに対する価値観が発火点。この辺、よく似た視点でドロドロになった小説を読んだなと思ったら、同じ著者の「眠れるラプンツェル」だったな。マンション住まいでの「猫」「自転車置き場」「生協」なんていう、眠れるラプンツェルでも出てきたアイテムも登場。複数の小説を読むことで価値観を重畳し、印象に残る読後感を持たせる作戦だろうか。

個人的には、茄子田太郎の記述が気持ち悪く、そこにばっかり引きずられてしまった印象。

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『論理的に考え、書く力』

物を書くときの論理的思考法を説いた本だと思ってKindleにダウンロードした。バーバラミント的なものを期待して。中身は全然違いました。教育論の本です。

僕が「センター試験」の2期生。その頃の国公立大学の入試は、1月にマークシート式のセンター試験を受け、その翌月に大学ごとの記述式試験を受ける流れでした。私立大学は最初っから大学独自の記述式試験を受験するのだったと思う。(結局私立大学は受験しなかったので、試験制度をはっきりとは覚えていないのですが。)毎年のニュースにセンター試験が取り上げられるので、この方式がずっと続いているんだと思っていました。しかし、この本を読んでいると、最近の大学入試はそのようではないようですね。どうやら、「記述式試験」が省略されているようです。

人生でいちばん集中的に勉強する「大学受験」は、人生における勉強を大きく方向付ける制度です。そのため、大学受験の試験方法が受験を経験した人間の思考方法に影響を与えてもおかしくない。で、この本を読んでいると、最近の若者(と言ってもこの本は7年も前の本だけど)は「選択肢式」の試験に特化して訓練を積んでおり、記述式試験に必要な論理的思考力を養っていない、となるわけです。

ようやく、最近の「大学入試が変わる」「知識偏重から思考力へ」などの報道の背景がわかってきました。記述式試験の省略により訓練を省いた「ゆとり」を元に戻そうとしているのですね。これって、選択肢式のセンター試験が悪いのじゃなくて、記述式試験での二次選抜を省いた大学が悪いんじゃないの?と思うのですが、どうなんでしょうか。

バーバラミントなんかよりも、もっと以前の問題でした。

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2020.12.14

『ネットビジネス進化論』


漠然と「ネットビジネス」と言われている分野の物事に対し、体型立てて分類し、それぞれの分野の背景や状況を語った本。この分野で先頭を切って走ってきた著者の主観が強い部分もありますが、この世界を外観するのにちょうどよかった内容でした。

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『事業をエンジニアリングする技術者たち』


WEB広告運営会社VOYAGEグループの技術者への、仕事への取り組み方などに関するインタビューをまとめたもの。

ドキュメントなし、とにかくやってみる的な開発方針。教科書に書いてある考え方に真っ向反対する方針に驚きです。アジャイル手法でもない、腕力勝負。小さく短期的なプロダクトならありなのかもしれないですが、上場している会社のシステム開発手法がこんなんだとは驚きました。スピード重視の体制を取ると、自ずとこうなるのでしょうか。

この会社、いろんな監査はどうやって切り抜けてるんだ?

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2020.12.02

『システム思考がモノ・コトづくりを変える』


最近流行りの「DX」(デジタルトランスフォーメーション)を行うための方法論を記した本。これもアンリミで見つけて落としたもの。

ビジネスを考えるのに、工学的アプローチを採るべきだと説く。具体的には、機能要求と非機能要求を分けて考え、表面的な要求(ドリル)ではなく真の要求(穴)を見出すべきだと。また、ビジネスで解かなければいけない課題は要素が複雑に絡み合うことから適切な分析技法が必要であり、OPM(オブジェクト・プロセス・メソドロジー)やシステムダイナミクスを推奨しています。

これらの手法は一般的でなく、正直言って本書の簡単な説明だけで始められるものではありません。まだビジネスフレームワークとして広く認知されていないので実務で使いづらいという難点もあります。(よく知られたビジネスフレームワークをプレゼンで使うと便利なのは、聞く相手もそのビジネスフレームワークを知っているから、つまり共通言語だからです。)筆者らは、きっとこれらの手法の認識を広め、DXブームに乗って共通言語にしたいんだろうな…

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2020.12.01

『彼女は頭が悪いから』


Kindle Unlimitedのリストを見ていたら、ずいぶんひどいタイトルの本が目に留まった。「彼女は頭が悪いから」表紙も醜悪である。内容も醜悪であり、ここまで含めて著者姫野カオルコの意図通りだろう。

東大生が他学の女子大生に集団暴行した事件を元に書いた小説だと言う。小説では、東大生が他学の人間をいかに蔑み、自分たちの優越感を快感としてきたかを描く。

実際の東大生はここまでひどく他者を侮辱的に見ないだろうし、ほとんどの人間が堅実に生きているとは思う。他大の学生だって、そこまで劣等感を抱きながら生きてはいまい。小説においては東大生、他大生、家族などの周囲の学歴に対する感覚をデフォルメして、読者の気分が悪くなるように書き上げた。著者の思惑通りの読後感にしてやられた。

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