データベーススペシャリストに合格した
IPAによる情報処理技術者試験のうち高度試験に分類されている区分のひとつ「データベーススペシャリスト」に合格しました。せっかくなので、合格までを振り返ってみることに。
2019年10月に同じく高度試験の「ITストラテジスト」を受験しました。結果は残念ながら不合格でした。でも、午前Ⅰは通過しているので「午前Ⅰ通過者」になることができました。この「午前Ⅰ」ですが、高度試験に共通の選択肢式試験で、それほど難易度が高いわけではないものの試験範囲が非常に広いことが難点です。結局、応用情報処理技術者試験の試験範囲を勉強しなければならず、とっても時間がかかるのです。そのため、午前Ⅰ通過者の資格がある2年間は、ぜひとも有意義に使いたいとのインセンティブが働きます。IPAもなかなかズルい商売をしているものです。翌年秋(2020年10月)はITストラテジストを受験するとして、春は何の試験で午前Ⅰ通過者を行使しようか?(午前Ⅰ通過者制度 IPA)
春にある高度試験の試験区分は、プロジェクトマネージャ、 データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、システム監査技術者、セキュリティスペシャリスト(情報処理安全確保支援士)です。仕事に役立ちそうなのはプロジェクトマネージャとシステム監査技術者ですが、いずれも論文試験がある区分。論文はITストラテジストの勉強で疲れ気味でもあったので論文をを避け、未経験分野の「データベーススペシャリスト」に挑戦することにしました。データベース理論と統計学をかじったら、データサイエンティスト的なセクシーな職業を名乗ることもできそうだし。
じゃ、何を勉強するか。まず取り組んだのはSQLです。まず取り組んだのはSQL ゼロからはじめるデータベース操作 第2版です。この本に従って自宅PCにPostgreSQLをインストールし、実際にデータベースを操作しながらSQL分を覚えました。また、同じ著者の達人に学ぶDB設計 徹底指南書でリレーショナルデータベースの理論を覚えました。
ここから、本格的に試験勉強っぽく勉強をしていきます。使ったのは情報処理教科書 データベーススペシャリストという参考書。というか、この分野の参考書は本書と「徹底攻略」シリーズの2拓っぽいですね。情報処理教科書は試験テクニックに偏っている気もしますが、達人に学ぶ~で理論を予習していた僕の場合は、ちょうどよかったか。
参考書を通読したら、過去問練習に入ります。これが、なかなかの曲者。ここで、データベーススペシャリストの出題の構成をおさらいしましょう。(正確な情報はIPAのサイトを見てね)
午前Ⅰ 4拓30問50分 IT分野全般 → 午前Ⅰ通過者は免除
午前Ⅱ 4拓25問40分 主にDB分野と少しのセキュリティ分野
午後Ⅰ 記述式 3問中2問選択90分 DB設計やスペック計算など
午後Ⅱ 記述式 2問中1問選択120分 DB設計やスペック計算など
過去問を解くので大変なのが、午後Ⅱ試験です。1問の制限時間が2時間なのです。しかも、過去問に慣れていない間は、制限時間内で解けません。問題文も長いです。例えば令和2年秋に実施された過去問を見てみると、問1:本文12ページ設問1ページ 問2:本文11ページ設問1ページ と、いずれも長い問題文を読まなければいけないことがわかります。で、答え合わせまで含めると丸半日を過去問1問に費やすことになります。隙間時間なんかでは勉強になりません。また、E-R図など図示で解答しなければいけない問題も多く、ちゃんとした解答用紙がないと過去問に取り組めないことも留意事項。市販の参考書では解答用紙がWEBからダウンロードできるようになっているので、そちらを活用して過去問に取り組むべきです。僕の場合、平日に午前Ⅱを25問か午後Ⅰを1問、休日に午後Ⅱを1問解いて、だいたい1週間で1年分の過去問を解き終わるペースで勉強を進めました。なお、過去問は問題文と正解はIPAのサイトで手に入れることができますが、解説は参考書のダウンロード特典に頼るすることになると思います。参考書を買うときは、ダウンロード特典の内容も気にしておきましょう。
このペースで、4月19日(日)に実施される「春試験」に向けて順調に準備が進んでいました。
3月下旬に、IPAから突然の発表。令和2年度春試験の延期です。その後、延期から中止に変更となり、試験の開催の見通しが立たなくなってしまいました。どうするよ、僕の試験勉強。秋の試験で春秋区分同時開催だとITストラテジストとの兼ね合いも考えなければなりません。結局、4月19日に予定されていた試験のうち応用情報と高度4区分は10月18日(日)に実施、秋試験の高度区分(ITストラテジストを含む)は春試験に実施されることになりました。以後、春と秋が入れ替わったままで継続されるとのこと。
このままデータベーススペシャリスト試験の勉強を継続するのもモチベーションが保たないので、いったん視点を変更し、AWSクラウドプラクティショナー、AzureFundamentals、統計検定2級といったCBT形式の試験をいくつか受験し、延期後日程の3か月前となる7月下旬からデータベーススペシャリストに戻ってきました。ここまで来ると、ひたすた過去問の解き直しです。1週間で1年分を、最新から過去に遡って解いていくことの繰り返し。午後Ⅱの過去問は相変わらず苦痛です。
試験日は10月18日(日)、試験会場は専修大学生田校舎でした。午前Ⅰ免除のため、ちょっとだけゆっくりの朝です。向ヶ丘遊園駅から線路沿いの道が示されていましたが、気分を変えて生田緑地の中を突っ切って専修大学に向かうことに。こういう気分転換が必要です。裏から行った形になるので大学は見つかるものの入口が見つからず困惑したものの、ある程度余裕をもって会場前に到着。応用と高度だけなので、試験会場が人で溢れているような試験光景ではありませんでした。少し寂しい気にもなりますね。
午前Ⅰは難なく解けたかな。いくつか全く分からない問題もあったけど、合否ラインは6割なので、気にしないでおきましょう。午後Ⅰは問1と問3を選択。問2はISOLATIONレベル絡みの問題っぽく、一つ間違えたら連鎖的に間違えて大失敗しそうな予感がしたので。ちなみに問1は概念設計、問3はDWHからみの問題に見せかけて性能問題でした。意外と時間がかかり、時間ギリギリで解き終えました。時間不足で解答用紙が埋まらずに提出するのは手痛いですからね。午後Ⅰが終わって、かなりの疲労。よく考えたら、1日のうちに午後Ⅰ問題を2問解いたことがなかったですね。
で、午後Ⅱ試験です。解答用紙が先に配布されるので、解答用紙のフォーマットを見て、問題分野を想定しながら開始時間を待ちます。雰囲気的に問1が性能問題、問2が概念設計です。ここは、最初っから問2に決め打ちで取り組もう。試験開始。解答用紙から推測した問題分野はだいたい合ってそう。でも、問題文中に見たことのないようなフロー図で業務説明がされています。そのあたりにたどり着いたことには疲労が蓄積してきて、もう新しいことが頭に入る状態ではありません。もう何となくのイメージで業務を推測し、処理フローを埋めていくしかできない状態でした。(この問題文の24ページとか29ページの図を疲れているときに見てみてほしい) 本当にヘトヘトになって、午後Ⅱの試験を何とか時間内に解き終わりました。
試験勉強において「過去問1年分を1週間かけて」が、試験対策としては不十分だったと思い知りました。試験本番日は午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱを続けて実施することに思い至っていませんでした。ちゃんと40分、90分、120分の続いた時間を作り、練習しておくべきでした。この辺り、これから試験を受ける人には忠告しておきたいです。
12月25日、WEBサイトで結果発表がありました。
午前Ⅰ:免除
午前Ⅱ:92点 (100点満点 60点以上合格)
午後Ⅰ:81点 (100点満点 60点以上合格)
午後Ⅱ:68点 (100点満点 60点以上合格)
午後Ⅱはギリギリ感もありますが、無事合格することができました。これで、僕も「高度情報処理技術者」の仲間入りです。とっても、実態はデータベースのプロですって感じじゃないんですけどね。さて、ITストラテジストの勉強をどうしましょうか。
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