『花束みたいな恋をした』
家に籠っててAmazon Echoから繰り返し流れてくるAwesome City Clubの勿忘。どうしても気になって、映画館に足を運んだ。しかし、作品中に勿忘が流れてくることもなく。
菅田将暉と有村架純が出会う。気侭に生きて、心に余裕を持ちながら。しかし、社会に出なければ、働かなければ、責任を持たなければいけない重圧とともに失われてゆく恋人への気遣い。文学や芸術への無関心で、心が削られてゆく様子を描いている。何せパズドラしか楽しめない。恋愛なんていう人を相手にした複雑なものには向き合えないんだろう。
後半の物語は、冷静な描き方だ。自分のことにそんなに客観的になれるのか。ハッピーエンドと言っていいのか。
4年間が残した価値観の共有。菅田と有村は文学などの芸術分野での価値観共有にて近付いたと描かれている。文学好きの描写は鼻に付く。村上春樹のようにわざと鼻に付くように描かれているのではないところが微妙で、単に嫌味になっている。このあと、今村夏子『ピクニック』への共感を強要させ、価値観が異なる人間を「ピクニックを読んで何も感じない人間」と蔑む。出会った頃の同じ分野が好きで話が合う同士がエスカレートして、同じことに共感する同士を目指してしまうと、難しいんだろうなと。
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