『こちらあみ子』
映画『花束のような恋をした』から今村夏子『ピクニック』を読んだ流れで、同じ本に収録されている『こちらあみ子』を読んだ。
人から見て世間がどう見えているかなんて分からない。自分の からの視点が世界の全てである。そして、その視点が正しく唯一であることを疑わない。じゃ、その視点が知的障害者ならどうか。そこに挑戦した小説が『こちらあみ子』なのだと思う。知的障害者を描いた小説はたくさんあるだろうが、一人称視点で描いた小説はなかなかないのではないか。無知ゆえ、残酷さを感じずに生きるあみ子。しかし読み手にとっては救いようのない残酷さが心に残る。
とんでもなく不快な読後感を残す作品である。よくここまで挑んだなと。
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