『実力も運のうち 能力主義は正義か?』
病気療養から復帰したスポーツ選手が全国大会で優勝して五輪出場権を取った時のインタビューが「努力は必ず報われる」だった。しかし、ここまで同種目で努力を続けたにも関わらず五輪切符を掴めなかった選手がたくさんいる中での優勝だったことも忘れてはならない。報われたのは、この選手1人だ。
ところで、白熱講義でお馴染みのマイケルサンデル。ベストセラーだった「これから正義の話をしよう」ではサンデル自身のスタンスはあまり示さずに読者に考えさせるスタイルを取っていたが、本書ではサンデルのスタンスは明確だ。実力や結果による報酬は不公平であると。
課題は、2点。まず、各人の競争のスタート地点が平等でないこと。そして、競争の結果が社会生活を送る上での格差として相応しいのかという問題。
競い合うことで皆が幸せになれるという教育を受け、競い合うことが正義だと思い込んでいた。しかし、現実には競い合うことで敗者を作り出しているのではないか。そんな思いが何となくあった。この本で衝撃を受けた考え方が、平等な(ように見える)競争に敗れたものは自己責任を押し付けることになってしまうということ。もう、救いようがないのだ。
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