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2022.01.06

『卸売市場の現在と未来を考える』

卸売市場のことを勉強しなければいけなくなり、ググって買った本です。Kindle版が提供されておらず、紙の本になりました。

本書は卸売市場法の改正(2018年改正、2020年施行)における影響を分析した8本の論文集です。

この卸売市場法の改正の目的って何だったんだろう。形骸化していた条文を現状に合わせたようなことも書いてありましたが、目玉は規制緩和。産地→市場[卸業者→仲卸業者]→小売→消費者のそれぞれの役割を柔軟にして垣根を越えることを狙った法改正のように見えます。8本の論文とも、参加者の役割が固定化された従来の卸売市場法への懐古が見られます。日本独特の素晴らしい制度だったそうです。あまりこの本では触れられていませんが、農水産業の6次化(産地が生産だけでなく加工、流通の機能も持つことで農家や漁師の収入を上げていく)を目指した法改正だと、私には思えました。卸売市場が農家・漁師の収入増への取り組みを阻害していたと誰かが思っていたのではと。

しかし、現実にはマス消費財における多対多の取引は難しく、流通コストが膨らみます。豊洲や大田などの中央卸売市場のハブ機能を用いる取引の効率性の優位はそう簡単に揺るがない気がします。しかし、産地の法人化や農協の統合、スーパーマーケットの寡占化により卸売市場の効率性を凌ぐ市場外流通が形成される可能性も大いにあります。そうした中、市場参加者である卸や仲卸がバリューチェーンにおいてどのような価値を付与していくのか、知恵と努力が求められているのでしょう。

本書は法改正の説明論文に過ぎませんが、それを取り巻く環境や影響を読むことで「卸売市場」を学ぶことができました。

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