『ドライブ・マイ・カー』
村上春樹の原作を濱口竜介が映画化したもの。芝居が舞台なので、芝居がかった台詞が耳に残る。その芝居がかった台詞が、劇中劇だけでなくストーリーでも使われているのが濱口の意図したところか。
原作を読んでいないので、村上春樹が書いた台詞と濱口竜介が付け足した「春樹」っぽさの区別はできない。しかし、芝居じみたセリフに村上春樹のクサさをうまく混ぜ込んでいる。しかも、常に芝居っぽさを醸し出すことで、物語の緊張を維持し続ける。前半にイベントを多く盛り込み、あとから思い起こしてみればただ淡々と風景が流れるだけだったシーンでも緊張を維持し続ける不思議な構成だった。
悲劇からの立ち直りを描くヒューマンドラマと言えばそれまでだが、ミュージカルにも似た演出で観客を飽きさせない、不思議な作品だった。
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