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2022.05.30

『関西スーパー争奪 混迷の200日』


関西スーパー・H2Oリテイリング対オーケーの買収対決を書籍にまとめたもの。関西スーパーは私の育った伊丹市を本拠地にしており馴染み深いスーパー。伊丹市中野に住んでいた僕は、普段の買い物は食品スーパーである「関西スーパー桜台店」、週末の買い物は「イズミヤ昆陽店」のパターンになっていて、H2Oの描くドミナントそのものの地区だったのかもしれない。

本書前半は、H2O陣営、オーケー陣営それぞれが株主の切り崩しを行なっていく物語。食品卸の葛藤が描かれる。それぞれの会社が自らの株主に説明責任を果たすことを考慮しつつ、取引継続の為の投票行動も求められる。もう、どっちを選択しても株主代表訴訟のリスクを孕む上で決定しなければいけない。喧嘩に巻き込まれてしまった感が高いのではないだろうか。

後半は、委任状を提出後に株主総会に出席したある株主(丸久の清水副社長だと思われる)の票の扱いの法廷闘争。(訴訟ではなく仮処分申請の扱いが裁判所で争われた。) 形式か、実質を採るべきか。この辺り報道では過激に劇場型に語られていたが、双方の代理人弁護士や検査役、裁判官は争点整理をして冷静に速やかに判断していたんだなと感心する。一審二審で判断が分かれたってのはあるが、流されない司法がある国に生きててよかった。

さて、本番はこれから。関西スーパーが、イズミヤが、どれだけよくなるか。一連の騒動で目標を大きく引き上げられてしまっている。

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