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2022年7月の4件の記事

2022.07.27

『Web世代が知らないエンタープライズシステム設計』


コンピュータシステム=COBOLで書かれたもの時代の業務システムを、イベントドリブンでUIファーストなWebアプリを作ってるエンジニアも知っといてねって始まりだが、実際にはデータ設計が命の考え方、データドリブンというより、データベースドリブンな考え方の紹介の本でした。

数年前にノリで勉強したデータベーススペシャリストも、こんなの実務で使わないよなあ…と思う作業を繰り返していましたが、業務システムのSIer側SEは誰かがやってるわけで、しかもデータベース設計こそが肝だという本書のような主張もあるわけです。

事業会社側SEをやってるとなかなか気付かない視点ですが、せっかくER図や関係スキーマを書きまくる訓練をやったので、本書のような視点でもシステムを見るべきですね。

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2022.07.14

『棋士の勝負哲学』


朝日新聞の将棋記者が、人気棋士の考えを聞き取り、人間ドラマとして描いたエッセイ集。

ここしばらくの棋界の関心ごとは、AIと藤井聡太。ほとんどの棋士の関心もそこにある。棋士によっては絶望的とも言える環境かもしれない。しかし、棋士たちはその環境下で自分自身がやるべきこと、見出すべき立ち位置の確保に努力をする。その努力はサラリーマンがやってるものとは比べ物にならないくらい、人生を賭した努力なんだと、本書から伝わってくる。

本書を土台に連盟アプリから流れてくる棋譜を読むと、棋譜の重さが違ってきそうだ。

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『身体を売ったらサヨウナラ』


鈴木涼美なんだろう?と興味を持ったのは作品が芥川賞候補になったからなのかAV新法にコメントを出していたからなのかは今となってはわからない。何かのきっかけでAmazonのお気に入りリストに登録していたのを、Kindleでダウンロードして読んだ。

慶応湘南藤沢キャンパス→東大院→日経新聞記者というキラキラな学職歴だが、ここに水商売やAV出演などの経歴も加わる。よくこんなに濃い人生を歩むことができるなと感心する。そんな人生の、自堕落で退廃的な部分を切り取って描いたエッセイ集みたいな本。

ワザと馬鹿っぽく読みづらい文章で人と社会を馬鹿にしたことを書き続ける。こういう文章を読んで著者に共感を示すことでストレスを解消するのは楽しい。でも、そんなのは雑誌の1記事程度の分量で充分だ。本1冊は多すぎた。

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『ベイビー・ブローカー』


是枝裕和監督の韓国映画。乳児を手に入れて売却するという裏稼業を珍道中ものに仕立て上げている。

子を捨てたい母親、金を稼ぐだけでなく売った子の将来も気にするブローカー、正義を果たさなければならない警察。これらが絶妙に絡み合いながらの珍道中となる。

珍道中に孤児院を登場させることで、人身売買という重い罪人であるブローカーを人情溢れる主人公にしている。観客をこっち側に引き込んでから、結末に持っていく。

ベイビー・ブローカー

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