『我が友、スミス』
スミスとは筋トレマシンの名前。ジムでのスミスマシンの席取りあたりから物語は始まるが、話はどんどんストイックになっていく。淡々と描かれているので、ストイックさがなんでもないように思う。よく考えてみると、けっこうな異常人。それを思わせないさらっとした書きっぷりが、かえって面白い。
最大限までストイックさを高めておいて、最後のシーンがやってくる。どうして靴を脱いだか。そこに来るまでに溜まりに溜まっていたものは何だったのか。それは、それまでの物語の中のところどころに埋め込まれている。そして、読者もそのことを若干だけ胸に引っかかりながら読み進めてきたはずだ。
競技に、そして人生に何を求めているのか、ふと振り返りたくなる時がある。
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