『土門拳 古寺を訪ねて』(斑鳩から奈良へ)(奈良西ノ京から室生へ)
4月の東京都写真美術館での土門拳の展覧会を観て、室生寺が気になっていた。7月15日、東海道新幹線と近鉄特急を乗り継いで室生寺を訪問した。真っ赤な翻波式衣文と黄金の白毫が心に残る金堂の釈迦如来、優しく微笑む弥勒堂の弥勒菩薩、青空に聳え立つ五重塔。土門がフィルムに収めたものを自らの眼で確かめることができた。そして、土門はどのような思いで仏像に対面したのか復習したくなり、一冊を人に借り、一冊を古本で取り寄せて読んだ。
本書は土門のエッセイと写真を文庫4冊に編集したもののうち2冊。聖徳太子の霊や鑑真随行者の仕事に思いを馳せるエッセイとともに、旅先で出会う人との会話も盛り込まれている。特に室生の人々との交流は深かったよう。土門は室生の人々の気持ちも境内写真に収めたのだろう。そんなことを思った、エッセイと写真の文庫本だった。
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