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2023.11.18

「コーヒーの科学」

コーヒーは嗜好品なので蘊蓄を語る人は多く、また蘊蓄を記す書籍も多い。しかし、この本はそういう蘊蓄本とは一線を画す。署名に「科学」の字が入っている。本を開いてみると実際に自然科学分野の視点でコーヒーのことが書かれている。アカネ科コーヒーノキの分類や遺伝、コーヒー豆の構造、味覚の感じ方とコーヒーの成分、焙煎におけるコーヒー豆内部の化学変化、抽出における二相分配、そして疫学の話まで。そして、どの分野もけっこう本気で述べているところがすごい。正直な感想を言うと、理系を拗らせている。はっきり言って、たかがコーヒーである。消費者としては、単に好みで飲んでいるだけで、人生がかかっているものでも何でもないのにだ。そんなことは著者も承知の上で、だからこそ本気に取り組んでいるのだろう。そこを楽しむ本である。

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