『イーロン・マスク』
テスラ創業者イーロン・マスクの伝記本。存命でかつまだまだこれからも何をしでかすかわからない人物の伝記本を出版するとは、なかなかに大胆である。著者はスティーブ・ジョブズの伝記本を書いたウォルター・アイザックソン。この著者ゆえ、かなりの誇張や大げさなどがあるかもしれないが、物語として面白おかしく読みたい我々には、アイザックソンの書きぶりが楽しみなのだ。
本書は95章からなる。それだけ聞くと、そんな小分けにしなくても…と思うが、一章一章が、スリリングな物語である。よくまあこれだけいろいろなことをやるもんだと感心してしまう。普通の人生を送っていたら、このうち一章ぶんを生きるかどうかわからないくらい。もはや、バイタリティとかそんな言葉では言い表せないパワーを持っているんだろうな、マスクは。リスクを好む生き方をする人はどこかで潰れてしまって這い上がれなくなる印象を持っているが、マスクは次々と成功を収めている。これが、どういう能力によるものなのか、本書でもその答えは示されていない。市井に生きる人間として、どれだけきちんと生きていけるかを考えている人間として、イーロン・マスクの生き方は対極にあるもの。実在の人間とは思えないが、エンタメとして面白い。ツイッター(現:X)買収で少しだけ僕の生きている世界に干渉してきた存在であるが、それも含めて楽しませてもらおう。
| 固定リンク
コメント