『女子高生誘拐飼育事件』
先月の歌会でストックホルム症候群の歌が評に出た。エロい中年男性にとってストックホルム症候群と言えば「完全なる飼育」ではないだろうか。竹中直人と小島聖の映画は衝撃的だった。この映画は1965年に発生した女子高生籠の鳥事件をモチーフとしている。同じ事件をモチーフとした小説があったので、Kindleで開いてみた。
小説の文体に攻撃性を感じる。この文体で、ストーリーの刺々しさを感じる。犯人の人格の描き方も悪意に寄せて書いてあり、被害者の順応とのコントラスタを際立たせる。
犯人も被害者も、最初から破綻した関係と知りながら、終局が来なければいいのにと祈りながら時間を過ごす。ヒヤリとしながら読み進める感情は、こちらも犯人に感情移入してしまっているのだろうか。
著者が犯人の心情、被害者の心情にどれだけ寄って書くことができていたか。文体は荒いが、その荒さゆえ、寄り添い具合は読者に委ねられているのかもしれない。
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