『ツ、イ、ラ、ク』
幼少期の性の認識から、物語は始まる。エピソードが冗長かとも思えるが、先に続く物語の重みを持たせるための積み重ねである。
夜10時半のポスト前。そこに幸福が待っているわけではないのは互いにわかっていること。そこに向かっていることをすでに後悔し、それでも引き返せないのだ。不幸を吸い寄せているのは愛なのか快楽なのか。
終盤のグランドホテル的な場面の捉え方が難しい。登場人物一人一人が中学校でどのような言動をしていたか、終盤には覚えていないし。遡って確認したり再読したりすると、終盤の同級生の離合のシーンを捉えることができるのだろうか。小中学生の頃に持っていた性愛や倫理観は大人になって大きく変化しているし、しかし今の感性は小中学生の頃の延長であることも事実。
ラストシーンのポスト前。堕ちるところまで堕ちても、もはや罪悪はないはずだ。それでも、罪悪に落ちてゆく余韻を残す。
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