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2025年1月の11件の記事

2025.01.25

仏教講座で坐禅と写経

坂浜にある駒澤学園で、仏教講座という市民向け講座があります。坐禅体験と、仏教に関わる講義で構成されています。参加してみました。

ちょうどいい時間のバスがなく、歩いて行くことに。若葉台駅北口から上谷戸大橋を渡って歩きました。上谷戸大橋を渡ってる時に目的地が見えてるのが、なんとなくいいですね。

校門に入ろうとすると、ガードマンの人が「この先を左に曲がって池の先です」と。この時間に来るおじさんは仏教講座の人ばかりなんでしょう。


受付で記名をすると、大きめの和室に通されます。しばらく和室に座って待つと、講師兼僧侶の人から坐禅の簡単な説明を受けます。気さくな話し方。坐禅に大切な心掛けは、向き合うことのよう。今回の仏教講座参加者は20〜30人くらいかな。

2階の坐禅の部屋に案内され、適当な場所を決めて座ります。坐蒲(クッション)の端に尻を置き、膝とバランスを取って背筋を伸ばして座ります。結跏趺坐を試みましたが膝を痛めてしまいそうなので半跏趺坐に組み直し、壁に向かいます。30分間の坐禅です。

雑念にとらわれないというのが指導内容ですが、雑念だらけだなあと思いながら壁に向かいます。でも、何やら具体的だった雑念も後半になると輪郭を失い漠然とした雑念になってきているようです。何もしないで考えることも放棄する貴重な時間を、坐禅体験は与えてくれました。

大学の講義室に移動して、写経。写経の歴史の簡単な講義のあと、写経に向き合います。筆ペンではありますが、筆を使い慣れない僕にはたくさんの細かい字を書くのはなかなか大変でした。般若心経を写経しましたが、意味するところは分かりません。ただ、この文字に慣れない筆記用具で向き合うことで、一つのことに向き合うという心持ちを実践できたと思います。

https://www.komajo.ac.jp/extension/buddhism.html

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2025.01.23

『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う』

服を纏う。単なるルーティーンのことのこともあれば、強い意志を持って選んだ服を纏うこともある。都会の裏の小さなセレクトショップで選ぶなんてのは、強い意志をもって纏う服にしかできないことだ。試着室に来る女性を描く短編小説集。そういう切り口があったか。

気持ちを切り替えたい、恋人によく見られたい、服を纏う意思はそれぞれだ。纏って、幸せを掴みたい。

https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344421509/

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2025.01.18

『3ヶ月で改善!システム障害対応 実践ガイド』

JISTA(日本ITストラテジスト協会)関東支部で紹介された書籍。システム企画を担うITストラテジストとシステム運用を担うITマネージャーの職域は異なるはずなのですが、実際はどちらもSIerや情報システム部が担うので、人間は重複しているものなのです。

この本は、システム障害対応をもっと楽にしましょうというコンセプトです。障害対応をある程度こなして、実績はあって対応品質もそこそこあるんだけど、負担も大きくってなんとかしたいよね…という組織向きの処方箋です。許可書ではなくあくまで「実践ガイド」であり、網羅性は捨てて実効性の高い事項だけに集中して対応しようよという考えで書かれています。完璧を目指さずに、最初から3ヶ月で対応できるところだけ手を付けましょうという考え方もありますね。会社に説得はしづらいですが。

判断者と実行者を一致させたら早いし楽という記述がありましたが、実際の企業(特に上場企業やその子会社)では対応が難しいですね。それでは内部統制が取れない!と指摘されてしまいそうです。

飛翔社サイト

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2025.01.13

『雪のうた』

雪にちなんだ短歌のアンソロジー。

雪というのは、不思議。単に気象現象だし、多く降れば生活に支障を来たしたり、事故の原因になったりする。現にこの年末年始の東北日本海側では雪が災害になっています。

それでもなお、雪には幻想的な印象があり、美しいものと捉えます。世界を白に変えてしまう魔法、それが雪ですから。

頰の雪はらいてくれる指先をたとえば愛の温度と思う(俵万智)

雪が冷たいからこそ、指先の体温が際立つ。この体温を信じていいのか、雪に惑わされているだけなのか。雪のせいにして信じてしまえと心に言い聞かせる感情。雪ってこういう魔力がありますね。

遠くの雪国のニュースを見ているだけの我々も、いざこの地に雪が降ったら「ゆひら」と騒ぐのでしょうね。

体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ(穂村弘)

左右社サイト

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2025.01.11

『奇想の系譜』

昨年夏頃に美術史家の辻惟雄氏のインタビュー会があり、読もうと思っていたもの。本書は伊藤若冲を世に広めた書として有名ですが、それよりも気になったのが岩佐又兵衛の章。岩佐は伊丹城の武将荒木村重の子と伝えられており、伊丹市民なら荒木村重の謀反後の行方とともに気になりますよね。


山中常盤物語絵巻は岩佐又兵衛のことをネットなどで調べるとよく目にします。非常にグロテスクであり、村重謀反後の六条河原の処刑を連想してしまいます。ここで、本書での辻氏の解説が圧巻。グロテスクなものに引き寄せられてしまう文章です。


岩佐又兵衛のほか、狩野山雪、伊藤若冲、蘇我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳が取り上げられます。狩野派の本流や蔦重プロデュース浮世絵でなく、より印象の強烈な画家を選んで、辻氏の文章で読者を引き込みます。


<a href="https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480088772/">筑摩書店サイト</a>

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2025.01.05

『すべてひかりのために』


歌集。抽象絵画のような短歌が連なる。強く攻撃的な抽象絵画。それでいて、読後感は透明。根底には実生活に根ざした感情があるのだろう。感情を客観的に見つめて言葉にする技術をこの歌集で披露していると感じる。読み手にとって既視感がありつつ新鮮な感情の吐露である。短歌という形式に詰め込むべき感情を塩梅よく盛っている。


書肆侃侃房サイト

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横浜鶴見初詣散歩

先日読んだ本の著者が鶴見区の寺院の住職とのことで、その寺院を含めて散歩をしてみることに。

スタート地点は菊名駅。横浜線菊名駅は谷底にあり、狭い道路をバスが縫うように走る急峻な地形です。東側の尾根に上がったところにあるのが菊名山蓮勝寺。本堂手前にある毘沙門堂の毘沙門天は運慶作の日本三毘沙門とこのと。初詣と縁日の時のみの開帳とのことで、運よく拝めました。
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本殿は丸みを帯びた大屋根。菊名駅からほど近いにもかかわらず静かな境内です。
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蓮勝寺の横に川崎坂という坂道。由来などは書かれていませんが、神奈川方面から川崎方面に行くのに尾根道の方が都合がよかったのでしょうか。
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綱島街道も尾根まで上がってきたので、合流。右手(南西側)はとても深い谷戸になっています。街道から階段で谷戸に降りしばらく歩くと法隆寺。門前の銀杏の樹が立派です。黄葉の時期に再訪してみたい。こちらも本堂前は静かな空間。寒桜が咲いています。お賽銭を入れて合掌。しばし心を鎮めます。
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法隆寺から階段を登って綱島街道に戻ってきたところに法隆寺交差点。横浜北西線馬場ICも絡んでいる大きな交差点で信号の待ち時間が長いです。尾根の痩せた部分に位置する交差点で、見晴らしがいい交差点です。

ルミエール菊名(マンション)の東側の谷に降り立ちます。暗渠の始まりって場所がありました。
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この先は入江川遊水池。遊水池にはケアプラザの2階建てが下駄履きで建つほか、地面は野球の練習などで登録団体のみに使われているよう。物置がグランド面ではなく崖上に設置されており、越流時も物置(の中身)を保護する考えのようです。
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ここから、入江川せせらぎ緑道という暗渠歩道があります。再生処理水を一部歩道脇の水路に流す工夫がされています。せせらぎ緑道は入江川本流と右支流に設置されています。流路の幅にも変化を持たせ、短い区間で急流部や淀み部を楽しむことができます。
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入江川せせらぎ緑道が水道道と交わるところにあるのが健巧寺。臨港バスの転回場もあります。このあたりで昼食を摂ることに。中華料理店「新京」に入ります。地味な外見にも関わらず、僕が入ると満席になりました。地元で人気の街中華かな。チャーハンをいただきました。期待通りの街中華のチャーハン。
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健巧寺に。整った境内です。寺務所が大きく、墓地経営などの規模が大きいのでしょうか。本堂の背後に抱えている山もある程度大きいのかもしれません。本堂の前庭にある井戸を組む天秤が長い竹棒で、使うところを見てみたい。
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入江川せせらぎ緑道本流を少し上り、松陰寺に。門のアルミ扉が閉じられており立ち入り禁止かと思いましたが、自分で開けてちゃんと閉じて入るものらしい。賽銭箱が本堂前ではなく本堂内にあるので、靴を脱いで本堂に上がります。正座して合掌。畳に正座が落ち着きます。なお、本尊は東京国立博物館に寄託されています。本堂右にある建物の前の像の赤い顔が怖いです。
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東寺尾一丁目の谷を越えて、白幡神社に。この神社は麻を織らないとのこと。白幡様が麻畑に身を隠した時に麻で目を痛めたからとのことです。麻生区住民の僕としては、微妙なしきたり…神社のある山の頂上にはすべり台とブランコだけのちょっとした児童遊園があります。
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ここから第二京浜を渡って生麦方面に。岸谷公園入口の交差点は変なカーブを有していますが、すぐ近くで道路用の用地買収が進んでいるようなので、バス通りも改善されるのでしょう。その先の盛光堂さんで「岸谷もなか」を買い、散歩の補給です。
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生麦駅前に出てきました。ここは踏切が迫力ありますね。横須賀線・京浜東北線・東海道線を渡らなければいけない踏切で、長さも長いです。途中で待てるのは1台のみ。これでよく事故が起きないものだと(たまには起こるかもしれませんが)不思議に思います。
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生麦駅前の安養寺と岸谷杉山神社にお参り。杉山神社は参道が長いです。参道下の標高が3m、参道上の標高が30mなので、参道だけでかなり標高を稼ぐこともわかります。この石段、生麦沖の石を積み上げだんだとか。これは大変。石の量もかなりです。
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線路沿いの道を鶴見方面に戻り、龍泉寺に。多摩川八十八箇所だそうですが、そんなものがあるんですね。
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ここからも線路沿いの崖下道を鶴見方面に歩きます。花月園の跡地は宅地開発中。花月園の夢は儚く消えたのですね。
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鶴見駅も近くなり、総持寺へ。ここは曹洞宗総本山なので圧倒的に規模が大きい。山門すら、建物ですから。それでも1月5日ともなれば初詣客も少なく、落ち着いてお参りすることができました。広い敷地が気持ちいいです。この銅像は、一人だけ跪いていますが、背景はわかりません。
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鶴見駅まで歩いて、今日の散歩は終了です。お疲れさまでした。明日から2025年のお仕事だ!
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2025.01.04

『禅 シンプル生活のすすめ』

年末頃の東洋経済ONLINEで曹洞宗僧侶の枡野俊明氏のコラムが流れていた。
ちなみに、東洋経済ONLINEのコラムはこちら
禅が教える「ずっと不安が減らない人」の根本原因
あなたの中に眠る「使える短所」と「使えない長所」
周りが「気にならなくなる」"自分を生きる"練習
禅が教える「居場所」と「孤独」のほどよいバランス

そう、自分がいま必要な心の持ち方ってこういうことなのかもしれないと思い、枡野氏の著作を探してこの本を読みました。
この本は「ボーッとする時間をもつ」「変わることを恐れない」「今このときに力を出し切る」など、人生訓を100個並べ、それぞれの簡単な解説を平易に、しかし時に禅語を交えて書いてあります。一つ一つがけっこう重いしっかりとした人生訓の言葉なのですが、それが100個も並べられると…と思ったのですが、意外とサラッと読めてしまいました。よく言われる教訓を納得しやすく述べられているだけですので、読む負荷は低いです。心を無にして一つのことに集中する。このあたりから、実践したいところです。

三笠書房サイト

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『廃市』


福永武彦の短編小説集。

「未来都市」ずいぶん実験的な小説と感じました。全ての人間が理想的で幸福な、完全で未来的な都市(国家)を描く。これって戦後日本から見た北朝鮮のことではないでしょうか。理想世界からの脱出と理想世界の小さな綻びからの破滅。完璧なものを避けて壊す、そういう挑戦的な小説でした。

「廃市」複雑に絡み合いながらなんとか維持できていたものが綻んでで壊れていく様子を作中主体はすぐ横で眺めているという物語。いや、すでに壊れていたことを確かめる過程を描いているのかもしれない。壊れゆくものは、美しい。

新潮社サイト

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『物理で広がる鉄道の魅力』


物理×鉄道ということでタイトルに興味を持ち手に取りました。ローレンツ力など物理っぽい話も出てきますが、実際には機械工学の基礎的な話を、鉄道をネタに幅広く扱っている本でした。著者は物理学者。で、鉄道が趣味なのでしょう。専門分野と趣味との接点を求めて作成した書物だと思われます。
蒸気機関、モーター、内燃機関の原理にページが割かれています。蒸気機関のシリンダー内部で起きている現象は、まさしく熱力学の分野ですね。VVVFインバータなんかは、パワー半導体の原理があってこその技術。土木分野まで物理と絡めて語られていて、なかなかに視野が広い本になっていると思います。磁気切符の裏の磁場まで触れられていますが、そこまで来ると「鉄道」か?

丸善サイト

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2025.01.03

『はじめての近現代短歌史』

明治以降現代(2020年代)までの短歌史の本。

第1部で時代ごとに有名な短歌を時代を遡って紹介し、短歌史の見通しをつけてから、第2部の時代ごとの歌壇の特徴を詳説してくれています。


僕が短歌を作り始めてから2年ほど経ちますが、悩んでいるのが短歌にどれほど空想を持ち込むことが許されるかということです。この本で近現代短歌の文脈を理解すると、今の短歌界では虚構に拒否反応を示させるのだろうと悟りました。中年男性が女子高生と偽って作品発表した「事件」、健在の父の死を悼む連作を発表した「事件」への反応を見ても、そういう流れなのでしょう。


この本では、フェミニズムを強く感じます。筆者が女性歌人の地位を非常に気にしている文章です。中立に近現代史を学ぶためには、その点を差し引いて読む必要がありそうです。


前衛短歌以降は筆者の主観も強く入っているように思いますが、それを差し引いても近現代短歌の流れを俯瞰するのにはいい教材だと思います。整理しながらきちんと再読したい本です。


<a href="https://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2708.html">草思社サイト</a>

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