『奇想の系譜』
昨年夏頃に美術史家の辻惟雄氏のインタビュー会があり、読もうと思っていたもの。本書は伊藤若冲を世に広めた書として有名ですが、それよりも気になったのが岩佐又兵衛の章。岩佐は伊丹城の武将荒木村重の子と伝えられており、伊丹市民なら荒木村重の謀反後の行方とともに気になりますよね。
山中常盤物語絵巻は岩佐又兵衛のことをネットなどで調べるとよく目にします。非常にグロテスクであり、村重謀反後の六条河原の処刑を連想してしまいます。ここで、本書での辻氏の解説が圧巻。グロテスクなものに引き寄せられてしまう文章です。
岩佐又兵衛のほか、狩野山雪、伊藤若冲、蘇我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳が取り上げられます。狩野派の本流や蔦重プロデュース浮世絵でなく、より印象の強烈な画家を選んで、辻氏の文章で読者を引き込みます。
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